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自由滑の勝負と胸の中の約束


大阪の自由滑当日、朝の道顿堀はまだ薄暗く、アイスアリーナの入口にはコンビニの温かいコーンスープを持った選手たちが、手をこすりながら集まっている。

全日本ジュニア選手権 関西ブロック予選最終日——珏は俊介と金塑龍に囲まれ、選手待合室で自由滑(FS)のプログラム「四季 夏」のメモを指でなぞる。


「昨日のショートで77.4点を取ったから、今日のフリーは65点以上でトップ争いができる。」金塑龍が計算ノートを開き、重点を示す。「君の構成はジュニアとは思えないほど高難度だ——3A+3Tと3Lz+3Loを後半に集中させ、10%の加点を狙う。ただ、体力が落ちやすいので、助走前に10秒休んで呼吸を整える時間を必ず作る。」

珏は頷き、スマホで翔太から送られた「母さんが絵を見ながら笑っていた」というメッセージを確かめる。「母さんの絵、今日もポケットに入れてきた。」少年が胸を軽く叩くと、俊介が肩を拍く。「それなら、きっと大丈夫だ。」


大会广播が響く。「男子シングル自由滑、第三グループ出場者、最終ウォーミングに入ってください!」

珏はスケートを履き、氷上に滑り出すと、寺岡隼人が手を振って近づく。「カク、昨日のショート、すごかった!俺は今日、滑走の柔らかさを活かすプログラムにしたんだ——3Aは一回だけだけど、ピラウェット旋回を入れた!」青い練習着の少年は興奮して跳ね上がり、軽やかな滑行練習を始める。

隣で橘健太が3Lzを試す。エッジをつくタイミングは精確だが、着地時に足元を滑らせて軸がぶれる。「ちっ…」橘は氷を軽く叩き、金塑龍の方向を見る——彼は陳竹コーチに厳しく指導され、「ジュニアで勝たなければシニアに上がれない」と背負っている。再挑戦すると、今度は安定して落ちる。

「橘の3Lz、エッジの深さが足りない。」金塑龍が珏に小声で分析する。「君は起跳時に体重を後ろ足にかけ、エッジを明確に保て。それができれば、GOE(実行点)が上がる。」


ウォーミングが終わり、自由滑が開始される。

最初に出場するのは石黒蓮。関西の新星は「月光」を背景音楽に滑り、3T+2Tの連跳やピラウェット旋回を安定して決めるが、体力不足で最後の3Sが転倒。最終点数は128.5点(技術点58.2+演技点70.3−0.5転倒減点)で、場内から温かい拍手が起こる。

「石黒くん、よく頑張ったね!」珏が場辺で声をかけると、少年は泣きそうな顔で頷く。「珏くんも、頑張って!」


次は寺岡隼人。「風の谷のナウシカ」の音楽が流れ、少年は柔らかい滑行で場内を回り、3T+3Tの連跳を安定して決める。3Aは転倒したが、後半の3S+2Tを挽回。最終点数は132.7点(技術点62.5+演技点70.2)で、寺岡は喜んで跳び上がる。

「俺、滑走が認められたんだ!」寺岡が珏の背中を軽く叩くと、珏は笑いながら応える。「すごい!でも、俺が勝つよ。」


続いて橘健太が出場。「ラ・カンパネラ」の旋律に合わせ、3Lz+3Tの連跳を華やかに決める——エッジの深さが改善され、GOEが+3.8。だが体力が落ちて最後の3Lo+2Tが転倒。最終点数は135.2点(技術点68.7+演技点66.5−0.5転倒減点)で、橘はがっかりして場辺に座る。


最後に珏の順番が来る。

少年は深呼吸をし、ポケットの母の絵に手を合わせる。音楽「四季 夏」が流れ始め、珏は助走を加速して最初の3A+3Tを挑む——音楽の重音に合わせて起跳し、3Aが空に優雅な弧を描き、会場の息が詰まる瞬間に着地。エッジを深く切って滑り出すと、場内から小さな歓声が響く。

「いい跳び!後半のジャンプに加点があるから、技術点は高くなる!」俊介が録画を撮る手を震わせる。

続く3Lz+3Loでは、第一跳の着地反動を活かしてスムーズにつなぎ、タイミングが完璧。スピンの部分では、金塑龍が指導した「腕を風に乗せるような動き」で審判の目を引き、最後のベルマン旋回で場内の歓声が最大になる。


珏が場辺に滑り戻ると、金塑龍がタオルを渡す。「全ての技術を完璧に決めた——後半のジャンプ加点とGOEが合わせて+7.3だ。」

kiss&cryエリアで待つ間、珏はスマホで翔太に「もうすぐ点数が出る」とメッセージを送る。广播が点数を発表する瞬間、会場は静まる。

「張珏選手、技術点69.8(基礎点62.5+GOE+7.3)、演技点63.5、合計133.3点!」

「現在第一位は、張珏選手の133.3点です!」

俊介と金塑龍が抱き合う。珏は氷上に滑り出し、思わず跳び上がって喜ぶ。


橘健太が珏の前に立ち止まる。拳を握り締めながら、少しほほえむ。「この勝負、認めた。君の3A+3T、本当にすごかった。」彼は「次は全国大会で、俺が勝つ」と言うが、目には「強い対手がいてよかった」という光が宿る。

珏は手を握る。「全国大会で見ていろ。俺が勝つ。」


夕暮れがアイスアリーナに差し込み、氷面に金色の光が反射する。

珏は母の絵を取り出し、小声に呟く。「母さん、全国大会に行けるよ。約束、守った。」

俊介が手を搭ける。「全国大会でも、きっと勝てる。」

少年は頷き、全国大会への決意を胸に込める。



読んでくれてありがとう!

もし珏の自由滑と全国大会への進出が気になったら、ブックマーク&高評価で応援してくれると超嬉しいです

今後の展開もお楽しみに!

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