懐旧
どこにでもあるかは
わからないけれど
ありふれたような
つまらない話で
夕日が沈んでいく
海が近くにある街で
青春時代を
暮らしていたあの頃
潮風によって
錆びてしまった校舎
校庭でした花火の煙が
揺れるように舞い上がる
慣れない仕草で
寄り添い合う二人
冷やかされてかく汗と
眩しく光るライト
夕日が沈む頃
自転車で坂を下る
いつものように
海までの道を転がる
ふらふらとする
私たちの自転車を
面倒くさそうに
車が追い越していく
怖がる私をよそにあなたは
微笑みながら右手のブレーキを緩める
終わらない夏の風が
私をおいてあなたを連れ去る
他にもたくさんの
思い出があるけれど
それは二人だけの
私たちだけの秘密