1-4 朝焼け
スカルツァの黒魔法が地面を裂き、腐った骨が一体、また一体と這い出してくる。
その中には、まだ錆びた剣を握りしめた者や、鎧の一部をまとった者もいた。
「まさか……! あれは……」
グラムの表情が凍りつく。骸骨の額には、ラサラ王国の紋章が残されていた。
さらに一体、盾を構えた骸骨の姿が浮かぶ。その盾には、グラムと同じ部隊章があった。
「ヒューイ……ラン……アスラ……お前たちまで……」
スカルツァが嗤う。
「お前が守れなかった、戦友たちだ。誇り高き英雄は、今や我が下僕となった」
「貴様……貴様ァァァッ!!」
怒りと悲しみがグラムの魂を震わせる。
「骸骨騎士たちは僕らに任せてくださいッス!」
タクマ、リュウジ、リン、テルキがコンビネーションで元仲間の亡骸と対峙する。
「それにしても、骸骨のザコを連れて来る演出はあったと思うが『墓場から昔の仲間を蘇らせる』なんてムカつくイベントはなかったよな?」
「ああ、これでは、死者への冒涜になってしまう。このシナリオはスカルツァの憎悪が増幅されている……ということなのか!?」
確かに本来のゲーム進行とは何かがズレている。
視界が焼けるように白くなり、そして──光の奔流がグラムの中で爆発した。
「戦士グラム・ライナルト! 今ここに、誓いを果たす!!」
「あの時の敗北──《ブラッドカース》では、お前を屈服させられなかった。だが今は違う。完全な“呪血”をこの身に刻んだ……グラム、我の屍を越えてみせろ……」
そして、一騎打ち。
髑髏騎士スカルツァが先手を取る。
「お前の過去など、死の灰でもう一度塗りつぶしてやろう……《シャドー・アッシュ》!」
スカルツァが両手を広げると、地面から黒い霧が溢れ、無数の骸骨の腕が剣を振り上げ、グラムを包囲した。
「グラム、来るぞ!」
しかしグラムは一歩も引かない。剣に炎を纏わせ、全身を回転させる。
「ライジング・グレイヴ《封炎》!!」
灼熱の竜巻が灰と骸骨の腕の群れを吹き飛ばし、スカルツァの背後を薙いだ。
「ならば、これを喰らえ……《ブラッディ・クロス》!!」
二刀流の双剣が交差し、血のように赤黒い波動が放たれる。グラムは咄嗟に剣をクロスさせ、ガードするが——その手には、もう一本の剣が。
「両手にストームブリンガーだと!?」
スカルツァが驚愕する。
「そう、鍬とフライパン持ってたからな。片手持ちに仕様変更しておいたんだよ」
タクマが笑みを浮かべた。
「そして俺の三日月ムネチカをストームブリンガー仕様に変えて、ファル経由で渡したのさ」
「そんな伏線回収、アリ!?」
リンが叫ぶ。
「ブリンガー・フォール《斬乱》!!」
グラムの二本の大剣が、嵐のように振るわれる。骸骨たちは断末魔と共に吹き飛び、スカルツァもまた、炎に包まれ、静かに崩れ落ちていった。
*
夜明け。焼け跡に立ち尽くす一同の表情には、疲労と、そして確かな手応えがあった。
「ありがとうよ! 私の剣とタクマ殿の剣が——仲間の未来を切り開くのだな!」
「それを言うなら、グラムの剣と俺の企画がエンブレIIIの未来を切り開く、だな」
朝焼けの下、焼け跡の上で、少し焦げ臭いサンドイッチを囲んだ一同は、ようやく安堵した笑顔を交わすのだった。