第二話
ギルドの職員が寝泊まりするための部屋を、特別に貸してもらい、ようやくひと心地ついた。
食材は豊富にあった。なので、併設された酒場に提供して、代わりに適当に食わせてもらう。
娘たちは部屋でくつろぎ、おっさんは明日からの仕事を確認すべく、ふらっと依頼掲示板の前に立った。
屋根の修理…庭の手入れ…害虫駆除。
魔物の討伐…素材の搬入…商人の護衛…
薬草採集…街中清掃…剣技の指導…?
ありとあらゆる依頼が隙間なく貼ってある。
それを眺めたおっさんは、
「生きてくにはさすけねーね」
と独りごちる。
明けて翌日——
娘たちも一緒に連れて、街の外へダンプで出発した。
薬草とやらが群生しているのは、少し離れた森の中らしい。
おっさんは、アクセルを踏み込みながらブンブンと車を走らせる。
一時間ほど走ったところで、森が見えてきた。
徒歩ならば、なかなかの距離であろう。
膝丈ほどの雑草が一面に広がり、
奥には鬱蒼とした樹々が連なっている。
……樹海ほどではないが、十分に深い。
手元には、萎びたサンプルの草が数種類。
だがどれも似たり寄ったりで、特徴に乏しい。
「こんでは…みつかんねーべ」
早々に諦めたおっさんは、腰袋からラジコン草刈り機を召喚する。
売り土地の維持管理に始まり、河川の法面工事、
さらには夏場のスキー場の草刈りまで——
どんな現場でも頼れる、大工ならではの便利道具である。
草むらに放たれた異世界草刈りマシン、
起動音は——
「ヴァァァァァァァァァァァンッッ!!」
けたたましく吠え、地面をえぐるように進む。
…薬草は採取から逃げる習性があるらしく、
一面の草刈りが終わった頃には、ひとかたまりになり、震えていた。
子供達は大はしゃぎで駆け回り、捕まえた薬草を土嚢袋に詰めてゆく。
イクラとハラスのおにぎりで腹を満たし、
夕方近くまで作業をすると、
ダンプにはコンパネで側壁を立てねば積みきれないほどの袋が積載された。
街に戻り、ギルド裏手の処理場までダンプで乗り付けると——
顎が地面に落ちそうなほど驚いたライオンが立ち尽くしていた。
まぁまぁの金貨を貰えたので、宿屋でも紹介してもらおうかと、受付嬢に尋ねると、借家や中古物件などもあるとの事。
今からでは遅いので、今夜は宿舎に泊めてもらい、明日見に行く事にした。
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酒場はメシもあるのだが、どちらかというとツマミの様な物が多いので、調理場の隅を借りパスタを茹でる。
軟体魔石を食べやすい大きさにスライスし、森苺は半分に切る。
ボウルに、刻み薬草、魔石の搾り汁、濾過魔石、荒越し魔石を混ぜ合わせ、麺を加えてよく混ぜる。そこに森蜥蜴の水煮とチーズとトマトを乗せれば完成!
「山の恵み、ジェノベーゼパスタだ。くいっちぃ!」




