表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/280

第三話 屋根ないんだがな

一日中働き、汗と加齢と粉塵にまみれた臭いおっさんは、風呂に飛び込む。

「ゔぁぁぁぁぁぁ…」


風情や侘び寂びを大事にする男ではあるが、


「いやはぁー風呂はユニットバスに限るわぁ〜」


などと身も蓋もないことをのたまう。


岩風呂や檜風呂などが嫌いなわけではない。


「清潔な方がいいじゃんねー♪」


職人失格である。


女子用も別に組み立ててやったので、向こうのほうからはしゃぐ声が聞こえる。

「晩飯はどうすっかなぁ」

日中重労働だったため、カロリーの高いメニューでもいいのだが…

「結構暑かったしなー」

ざばぁっと湯船から上がり、教育上芳かんばしくない格好で星空の下を彷徨うろつく。


伸び切ったヨレヨレのパジャマを着たおっさんは、

それでも申し訳程度にエプロンを羽織り

「冷やし中華にすっか」

…冷蔵庫を漁り始める。


ネギと生姜をみじん切りにし、各種(砂糖、酢、醤油、)魔石(レモン汁、ごま油)と水をよく混ぜタレを作る。


ブタコマ肉に酒を垂らし薄力粉をまぶし揉み込む。

沸騰した鍋でさっと湯掻き、ジップロックにしまい氷水にダイブ。

「茹でたあと冷やして置いた中華麺がこちらに御座います。」

料理番組のような手際で、

皿に食感のいい葉野菜と麺を重ね合わせるようにミルフィーユ状に盛り、

タレを回せば完成。


おっさんは一点豪華主義これでいいやなので何品も作るのは苦手なのだが…

育ち盛りの女子達にこれだけでいいのだろうか?


「餃子でも焼くか…」

盛り付け終わった冷やし中華を加湿冷蔵庫に保管し、もう一品。

ニラとキャベツを細かくし、ミンサーをゴリゴリ回し現れたムカデの挽肉を…


ぱぱっと混ぜて皮に包みジャっと焼く。


「ほいエビプリップリ餃子でございます。」


テーブルに並べ、子供達の髪を乾かしてやり、

みんな揃ってはい、頂きます。


おっさんは紫蘇焼酎とんちくりんのロックである。

おっさんによく似合う酒である。


子供達にはバナナオレ。


魔石汁バニラビーンズたらりとを垂らした本格派。


もりもり食べる子供達を眺め、ほっこり寛ぐ。




「屋根ないんだがな」


頭上は降って来るような星空であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ