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第五話 アコムの宇宙人け?

自分にできそうな依頼を、ぼちぼちこなしてみた。


{冒険者パーティーの荷物持ち&倒した獲物の運搬}


2トンダンプでついていって、フォークリフトで積み、ギルドでダンプアップして降ろすだけ。


{港の船着場の補修、補強工事}


型枠と鉄筋を組みまくって、

無限に生コンの出てくるミキサー車で…立派な貿易港にしてやった。


{街の孤児達の保護&治安の向上}


ふつーに保育所と職業訓練校と職安が一体になった建物、

港町斡旋所(複合施設)ビルを三階建てで建設した。



依頼をこなすたびに、色が変わってゆくギルドカード。

受付の女性に尋ねると、俺のランクは、すでに【伝説級冒険者オリハルコンアベンジャーの称号になっていたそうだが…

当の本人は、「荷揚げとコンクリ打ちしただけだが?」という顔である。


冒険者ねぇ…

俺なにか冒険したっけ?


謎技術によりモヤモヤと虹色のオーラを常に放つ俺のギルドカード…

財布に入れてケツポケットにしまっても、

ずっと肛門からレインボーな屁が出てるみたいで

…ちっとも良くない。



そんなこんなで日々を過ごしていたある日。


「ふーむ…ダンジョンにエスカレーターをつけろってか?」

(そんなことはまったく書いてない)


自分に出来そうな(面白そうな)依頼を眺めていた昼下がり…


顔色の悪い人がギルドに入ってきた。


「…?なんだったっけ?」


何かで既視感のある女性を…


「あれだわ…サラ金のコマーシャルの…」


数十年前のCM風の青い顔と長い耳…


「アコムの宇宙人け?」



「ららら〜無人君〜♪…っておい!」

ヨタヨタとギルドに入ってきた青い耳長は、つまずいて転びそうになる。


周りに人もいなかったので、咄嗟に腕を出し抱えてやる。

♡むにゅり…♡


温かくハリのある感触。


「おっぱb…」

ガイィィィィィィィン!!


後ろからトゥエラがマチェットの平面で殴ってきたようだった。


とりあえず捕まりたくはないので、

受付嬢を手招きし、アコム嬢を休ませてやるように頼んだ。



ややあって、ギルド併設の酒場カウンター。

なぜか俺が内側に立って、白衣に身を固め、肉寿司を握っている。


この装備は以前、感染症コロナが流行った頃、白い巨塔の中でひたすら、

アクリル板とアルミフレームで飛散防止パーテーションを作っていた時の服だ。


平常運転のトゥエラの口に、

肉巻き軍艦ウニ(必死で工夫した)

「ウニク、召し上がれ」

突っ込んでやる。


蕩けるようなドワ子……少し目を細め、モチャモチャと咀嚼し、

美味しさ半分不満85パーみたいな顔で…遠くを見つめた。


「食えないほどマズくはないべ?いまいち生臭いけど」


と宥める。



なぜ俺がこんなことをしてるのか…


ギルド内はパニック状態だった。


巫女ダークエルフ様!」

慌てふためく受付嬢、禿げた空軍の大佐っぽい(イメージ)大男が大声で指示を飛ばしたりしていた。


受付や酒場にいた従業員達まで、散らすようにどこかへいなくなった。


「いやいや、メシ作れし」


仕方がないので、身を清め(アルコール除菌ティッシュ)白衣を纏い、晩飯を作り始めた。



意識も朦朧としてるようなアコムちゃんだったが、

とりあえず冷蔵庫から出した(樹海の川の水)を汲んで飲ませてやると…


「あ…あぁぁ…!」

なにやらペカペカと光だし…


「あぁぁざざえあcがkgkヵkrkfんさきkwkgkdkぇkほじゅjwj」


元気になったらしい。



そして現在。

トゥエラと同じような勢いで、肉寿司、ユッケ、石焼ビビンバ…冷麺までも

ペロリと完食し、深刻そうな顔で思い詰めてるアコム嬢さん。


「それで…その…胸触ったのはわざとではなくてだな…」


極上の柔らかさを脳内に形状記憶した上で、

訴えられても困るので弁明してみる。


アコム原告がゆっくりと顔をあげ、俺を断罪しはじめる。


「ういえjsんgkぎをくぉlgjsぶ」


「だから、転んだら可哀想だと思って、反射的に」


「tsgwvfみょおqlどえんs」


「おとーさんたすけてほしーみたいだよ?」


ほほう…


トゥエラが通訳してくれた。



とりあえず飯も食ったし、ゆっくり晩酌もしたいので…

アコム嬢(利害のない他人)はほっておき車に帰った。


ダークエルフとか間近で見てしまったせいで、トゥエラも含め…

リネ2懐かしいわ。


とやさぐれ、寝落ちするまで呑んだ。


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