表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/279

第十九話

「呆けて立ち尽くすおっさんの背後から──


**トロォ…**っと黄身を口元に垂らしながら、リリがネックレスを差し出してきた。


「これ……あのお方の物です……」


そう言って、王城の方向を指差す。


ようやく話が見えてきたおっさんは、

受け取ったペンダントを、姫に向かってひらひらと掲げてみせた。


すると──


王城のバルコニーで、

姫が号泣しながら飛び跳ねていた。


執事らしき人物に肩を抱かれていたが、

どう見ても感情がキャパオーバーしている。


「……めんどくせ」


とおっさんは呟き、

腰袋から現場空撮用のドローンを取り出す。


ネックレスを紐でくくりつけ、

パソコンを開いて遠隔操作──


しゅるるる……と音を立てて飛び立ったドローンは、

澄んだ朝の空をスーッと滑っていき、

王城のバルコニーへと向かっていった。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


姫にぶつけないよう、

慎重にバルコニーへ着陸させたドローンは、

キュルキュルとプロペラ音を弱め、そっと静止する。


姫がそっと近づき、

ネックレスを胸に抱きしめるのを画面越しに見届け──


「……任務完了っと」


おっさんは安堵のため息をついて、部屋へ戻った。


その後、姫の姿はしばらく現れなかった。


だからおっさんは……


朝酒と、

コーヒーと二度寝と、

昼酒と、

気まぐれなDIYにまみれた日々へと、

晩酌で、

ゆるやかに沈んでいくことになる。


──しばし、自堕落モードである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ