表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/265

第一話 大工のおっさん転生(?)する

素人の矛盾の多い文ですが、

どうぞ宜しくお願いします。

「なんだっぺ?」


目を開けると、森だった。


今さっきまで現場で仕事をしていたのだが…

ちょっと頭痛が痛い気がしたが、

とりあえず体を起こしてみる。

なんでこんな所で寝ていたのだろうか?


辺りからは「ギャァギャァ」と鳥?

の様な変な声が聞こえる。


ガサガサと草が揺れる音もしてちょっと怖い。

というか…木がデカい。

なんだこれ?


一般的な建売住宅くらいの太さがある。

いや…四角くはないが。


そんな巨木が、上を見上げても天辺も見えないような巨木が…


竹藪たけやぶくらいの密集度で生えている。


取り敢えず、状況を確認せねば。

おっさんは、ついさっきまで木造住宅の新築工事現場で、外壁サイディングを貼っていたのだ。


つまりおっさんは大工だ。


年齢は……五十路が近い、とでも言っておこう。


さんとうばん(約1M×3M)と呼ばれるまぁまぁ重い、大きな板を建物の外周に施工していたのだ。


それは覚えている。


んで?


たしか……


そうだ猫だ。

現場で毎日見かける、すらっとした白猫。


懐っこくてめんごい、メシの時間になると、

「ミーミー」と強請ねだりにくるので、

「みー君、なんか食うけ?」

と可愛がっていた。


弁当に入っているウインナーとシュウマイと、

玉子焼きを食わせてやったら…


おっさんのメシはゆかりご飯になっていた。


まぁそれはいい。

おっさんが森にいる理由だ。


そう、そのみー君が、落ちてきたのだ。

人様の一生のローンを組んでお買い上げになった新築の、屋根の上で昼寝でもしていたのか?


カラスがギャーと鳴き、みー君がしゃーとかふーとか騒ぎ、バタバタガシャガシャと暴れ、


おっさんに降ってきた。


仮設足場があるからってあんなとこまで登るなよ…


と文句を言う暇もなく、おっさんはみー君をキャッチした。


空中で。


何かを掴んだということは、

何かを放したということだ。


そんな哲学はどうでもいいが、


だっこしたみー君と共に背中から地面に墜落し…



そのおっさんの首に、さんとうばん が落ちてきた。


チョンパである。


だいたいを思い出したおっさん。

だが…

「なんで森なんだっぺ?」


マイペースであった。


とりあえず…辺りを見回し、自らの体を確認し、

さっきまでの作業服。

いつもの腰袋。

頭にはヘルメット。


現場スタイルである。


おっさんは家に帰ればパジャマだし、

休日はジャージなので。


人生で最も多く着てる普段着(作業着)である。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


とりあえず……

携帯をポケットから出す。

圏外だ。

アプリの方位磁石は?


洗濯機みたいに回ってる…


あんちゅーだっぺなんということでしょう


おっさんの趣味は、酒となろうだ。


どれ程読んだかわからない。

突然転生したとしても、たぶん大丈夫。


そう思っていた。

そしてよくある森スタートだ。


「ゴブリンとかいんだっぺか?」


訛った東北弁で呟きながら、

森の密集度がヤバすぎて、太陽も見えなくかなり暗いため、


だが、外壁の施行中に持っているはずもない、

懐中電灯を…


腰袋から出した。


一瞬、?と思ったが、まぁ大抵の道具は常に入れている腰袋だ。


たまたま入ってたとしても不思議ではない。


辺りを照らして、取り敢えずドラゴンとかが襲ってくるわけではなさそうなので、ホッとする。


胸ポケットを触ると煙草(KOOL)もある。


おっさんはサーフィンはしたことはないが、

知り合いに貰ったサーフボードは、

愛車ハイエースの天井に飾ってある。


要するに、丘サーファーである。


サーファーはKOOLを吸う。

なので、おっさんも吸う。

それだけの話だ。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


首チョンパの記憶が現実だとするなら、

おっさんはこの森で生き延びねばならない。


何度も死にたくはない。


ここが異世界とやらだと仮定するならば、


モンスターだの盗賊だのが襲ってくるかもしれない。


今すぐに出来る防衛手段…


拠点的な物の建築か?


だが…


現場や愛車に殆どの道具は置いてあった。


腰袋にあるハンマーやバールなどの手道具だけあっても…


せめて高い場所に避難できれば…と

いつもの癖で、腰袋に手を入れると、


ガシッ…と


何かを掴んだ。


「なんだべ?」


手を引き上げると…



梯子が出てきた。



ニュルニュルと。


約3メートルの、

だがこれは序章で、

伸ばせば6メートルになる、


二連梯子が、腰袋から出てきた。


「んなわけあんめー」


笑いそうになるが、現実?である。


夢ではない。

それは間違いない。


だって腰とか痛いし…


そして、枝ぶりのよさそうな巨木に、梯子を立て掛け、


滑車式になっているロープを引けば、スライドして伸びてゆくハシゴ。


だが見た感じ、おっさんが乗れそうな太い枝は、かなり高い。


梯子ではちょっと無理か…

と思いつつ、それでもロープを引くと…


『カシャンカシャンカシャンカシャンカシャン』


と……



50メートルくらい伸びた。



「んなわけあんめー」


またぼやくが、


伸びたものは仕方がない。


よく見る、打ちっぱなしゴルフ練習場。

あそこに建っている鉄塔。


あれくらいの高さになった梯子に…


おっさんは登り始めた。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


とりあえずの安全地帯を得た。


『おっさんを丸呑みする芋虫』


とかはいないようだ。


そして、枝と言ったが…


ここは対面二車線道路くらいある。


テントも余裕で張れそうだ。


まさかね、と思いながら腰袋に手を…


「出るんだわ…天幕」


バサリと広がり、生きているかの様に枝に固定される。



あんちゅ(なんという)ーだっぺ(ことでしょう)





二度目の方言が森に消えていった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ