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駄弁り

「最近、きららちゃん来ませんねぇ~」


 結崎が頬杖を付きながら、新作フレーバーのフラペチーノをちゅーちゅーしていた。

 ……ベリーベリーストロベリーってなんやねん。いちごいっぱいって書いとけ。


 休憩室でだらけるの、俺の役目でしょうが。ところで数年前に騒がれたAIに仕事を奪われるって件、どこいった? はよ店長職奪って、はよ。


「バイト君さあ、今休憩時間じゃないでしょ。売場戻りなさい」

「え~、お客さんいないじゃないですかぁ~?」


 祝日明けの雨模様とくれば、客入りが悪い。稀によくある暇な時間だ。


「人件費超過って怒られるし、もう上がっていいよ」

「そんなっ、今月のバイト代で推しのライブ行くんですから! ギリギリなのにひどいっ。これ、パワハラですよね!?」


 JKが青春を謳歌するのも金がかかる。ガッツリ遊びたいなら、二、三万平気で飛んじゃう。なるほど、パパ活は不滅だなと思いました。


「よし、分かった! 俺が代わりに帰ろう! 早退よっしゃぁああアアアーーっっ!」


 可及的速やかに荷物をまとめ、俺はドアを勢いよく開け放った。ギシリと鈍い音を立てるも、知ったこっちゃない。俺は、俺は自由だっ!

「定時上がりができる……こんなに嬉しいことはない……っ!」


 残業が慢性化した奉公先、八時間労働が早退扱い。狂ってるッピ!


「ちょっと本気で帰る気ですか、先輩!? 結奈ちゃんがひとりぼっちになっちゃいますけど!」

「いつも騒がしいんだから、たまに喧騒から離れておひとり様を味わいたまえ」


 帰っても、風呂入って飯食って寝るだけにあらず。そんな心躍る生活にときめいたものの、必死なバイトに妨害されて現実へ引き戻されてしまう。ハァー、クソデカため息。


 そんなんじゃ、キャリアアップできないよ? 時給50円上げようと思ったのになー。

 俺は渋々デスクへ戻り、明日の避難訓練のお知らせに目を通していく。ブラック企業から逃げる方法、書いてなかった。労災を引き起こす団体こそ第一級災害や!


「さっきの話! きららちゃんですってば、きららちゃん。最近、全然来ませんね。ケンカしたんですか?」

「……きらら、ちゃん?」


 俺が首を傾げると、天羽は目を丸くして。


「それ、本気で言ってるんですか! 信じられない。あんなに仲良かったくせに」

「それ、本気で言ってるのか? 孤独なソロに仲良しなど不在。友達いないぜ」


 なお食い下がる視線に根負け。かいつまんで説明した。


「あの生意気ロリなら念願叶い、知己を手に入れたんだ。約束が達成されたゆえ、もう訪れまい。今頃、バラ色の小学校ライフさ」

「……チキって何です? チェキの親戚?」


 俺は、やれやれと肩をすくめるばかり。

 クソガキとは、すでに袂をチョッキンしている。近況など全く以って不干渉。


「残念だなぁ~。せっかく先輩みたいなへそ曲がりの相手してる子が現れたのに、もうギブアップされちゃったか。わたし、結構期待してたんですけどね」

「お構いなく。お節介は、保険とクレジットのメッセージだけで十分間に合ってるよ」


「え、まだまだ結奈ちゃんと一緒がいいんですか!? ほんと仕方がありませんねぇ~、まったく」

「本当にっ、お構いなく!」


 話を聞かないバイトめ。労働意欲に欠けるので、評価シート×っと。ランクダウンにつき、今月の時給50円引きな。

 来月の給料振り込み日、結崎にお金足りないと泣きつかれたのは別の話である。

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