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夏期休暇⑥

 


 カーテンから差し込む光が眩しくて目が覚め、チラッと横を見てみると拓人はまだ寝ていた。あたしはそっとベッドから出て拓人を起こさないよう台所へ向かう。


「んー、ねむぅ」


 拓人部活あるって言ってたし、朝食作んなきゃ。


 みんな続々と起きてきて、今日は各自予定があるみたい……でポツンッと取り残させるあたし。急遽休みになったわけだし仕方ないか。掃除とか片付けでもする? いや、ぶっちゃけしたくない。家でのんびりする? うん、したい。


 でも、せっかくの休みだし……ていうか、本来長期休暇なはずなのに誰かさんのせいで無くなってるんですけどね。


 美玖と梨花に会いたいなぁ。


「連絡してみよ」


 ・・・はい、撃沈っ!! そんなこったろうなとは思ってたけどさ!? 2人とも今日は彼氏とデートなんだって~。へえー、デェェトねえ。いいねえー、楽しそうだねえ。


「リア充羨ましいな、オイ」


 美玖と梨花が彼氏と愛を育んでいる間、あたしは何かを育むどころか、何か大切なものを着々と失っていってるっていうのに──。泣ける。


「となると、胡桃ちゃんと純君もおそらくデートとかしてるよね~」


 前田先輩……は上杉先輩がいるしなぁ。


「あの2人がデートとか想像もつかないな」


 咲良ちゃんはこの休暇中海外に戻るって言ってたっけ。咲良ちゃんはすぐ海外へ戻ると思いきや、『野暮用があるから、それが終わるまでは天馬に残るね』……らしい。


 必然的に宗次郎もサーバント継続なんだけど、宗次郎ってサーバントになりたくなくて一般にいたんだよね? なんで嫌がらず咲良ちゃんのサーバント継続するんだろう。とか、疑問はあるけど所詮は他人事。


 あまり干渉するのもよくないしね。あたしだったら干渉してほしくないもん、家庭の事情とかさ。干渉されるのが本当に嫌いだった。


「……ま、たまにはゴロゴロしてもいっかー」


 ベッドへ飛び込み、全く使いこなせていないSNSでみんなの投稿を眺める。


「相変わらず胡散臭い」


 九条の王子様スマイルに鳥肌が立つ……と思いきや、“レンズ越しのお前を離さない”と言わんばかりのキメ顔にドキッとさせられるのはあたしだけじゃないはず。


「……うん、休みの日まで九条の顔とか見たくないわ」


 スマホを枕元に置いて目を瞑った。


 ── 数時間後


「── い。舞? おーい、舞!!」

「ん~」


 名前を呼ばれて目を開けると、あたしの顔を覗き込んでいたのは拓人だった。


「おいおい、玄関の鍵開けっぱで寝こけんなよ……」


 大丈夫、盗むもん何もないから。ていうか、なんかすんごく寝てた気がする。


「今何時?」

「ぼちぼち17時」

「……え、マジ?」

「マジ」


 あたし……死んでた? さすがに寝すぎでは?


「あれ、律達は?」

「まだいないっぽい。湊さんから〖舞と連絡がつかないって柊弥君から連絡が来た。で、俺も舞に連絡してんだけど返事来ねーし、ちょっくら家見てきてくれないか? 合鍵持ってるだろ? 俺達も後ちょいで家着くから〗って電話が来て、今ここに俺がいるってわけ」


 あたしはスマホを手にとって、恐る恐るスマホを確認してみると……怒涛の九条柊弥ラッシュの痕跡が。


 ま、まあ……直接家に訪問して来なかったってことは、本当に忙しいんだろうな。その忙しい合間にこんなにも連絡してきてたわけ? ていうか、ちゃっかり霧島さんからも連絡入ってるし……。


「あ、ああ、ごめんね? 拓人。お手数おかけしました……ははは」

「何時から寝てたわけ?」

「分かんないけど多分10時前には寝てた」

「ヤバすぎんだろ」

「それな」


 すると、あたしのスマホがブーンブーンッと振動し始めた。電話の相手はもちろん……九条。


「ちょっとごめん」

「どーぞ?」


 通話ボタンを押すと、なぜか無言の間があってそれがめちゃくちゃ怖い。


 〖あ、あのぉ……〗

 〖お前なにしてた〗


 これは激おこモードだな。


 〖死んだように寝てました〗

 〖あ? んなわけねぇだろ〗

 〖いや、本当なんだって。多分死んでたんだと思う〗

 〖ふざけてんの? お前〗

 〖だから、本当なんだって〗

 〖ナメた真似してんじゃねぇよ〗

 〖だからぁ……なんっもしてないって〗

 〖だったら“証拠”寄越せ〗

 〖はあ? 〗

 〖何もしてねえって"証拠"〗

 〖寝てた証拠って何よ!! そんなのあるわけないでしょ!? あほくさ〗

 〖まあ、いい。馬鹿と話してると疲れるわ。こっちで勝手に調べる〗


 ブチッ!! と電話を切られた。


 ・・・え、調べるとは? いや、調べるって何を? どうやって何を調べるって?


「こわっ」

「大丈夫?」

「え、ああ……うん」


 こうしてあたしの夏季休暇(急遽休みになった1日)は、日頃の疲労やストレスを緩和すべく、睡眠で幕を閉じましたとさ。



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