シエル、悶絶する
騎士団を戦闘不能に追い込んだザーグはすぐに拠点に向かいスギスガに報告した。
「えー、スギスガ卿シエル君の脱退につきましては」
「分かっておる、わしは彼は自由に生きていいと思っとる」
「ではシエル君は正式に脱退と言うことで...」
「あぁ」
「ま、わたし達は騎士団とは違う愛を受け入れ自由を愛す、素晴らしいじゃない?」
「まぁな」
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「あ、あぁ、あぁ」
ルーデリアは自室で天井を見上げていた。
上層部は精神状態が不安定だと判断しルーデリアを騎士団から脱退させることを閣議決定した。
ルーデリアは騎士団の建物から出ると。
下を向きながら歩き王都を抜けた。
「絶対に...見つけだす.....」
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山奥に住み始めて2週間、小屋を建てて住み始めた。
近くの村には家具屋や食料品を売っている店など生活には困らない。
「どうしたの?」
エルデラが声を掛けてくる。
「いや、平和だなぁって思ってさ」
エルデラが笑う。
「何がおかしいんだ?」
「いえ、確かになーて思ってさ」
俺達はキスをする。
なんやかんやあり。この場所を見つけ近くの村の肉屋に獣を狩る仕事を貰い生計を立てている。
今はすごく幸せだ。
その夜。
「わたし...初めてだから...うまくできないと思うけど...」
「いいよ、俺もだから」
一ヶ月後の夕食時。
「どうしたの?」
「いや、夕飯を作り始めてから体が熱くて気分が優れないの...」
「なに、それは本当かい?」
「うん」
「医者に診てもらおう」
夕食を放置して村に向かう。
検査の結果、胎内に子供がいることがわかった。
俺達は喜んだ。
多分、世界で一番幸せな夫婦だと思えた。
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「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
仕事に行くシエルを見送る。
「よし...洗濯物しなくちゃ、あと...この子の名前考えないとでも二人で考えないといけないからなー...」
楽しみだ。
体に激痛が走る。
「.....ッ!」
「よーーやく見つけた.....エルデラ...」
「ルー...デリア...!」
剣を引き抜かれる。
「ハァ...ハァ...」
「急所は避けたわよ」
「なんで...?」
その場に崩れ落ちる。
「貴女のさっきの言葉からするにあの男とヤッたのね。許さない、あの男...あいつだけはなんとしても八つ裂きにしてこの世からいなくなってもらわなくちゃ...」
「なんで.....そんな...」
「貴女を汚したのよ...それにあんな奴を貴女がその身体で受け入れたことがムカつくのよ!!!!しかも貴女はあんな奴についてくし!!!くそ!!くそ!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。皮膚を剥いで体の臓器という臓器や全てを貴女に食べてもらいましょうか...エルデラ♡」
「いや...」
「いやじゃないよ」
「わたしはあの人に...汚されたんじゃ...ない...シエルと...愛し...あ」
「喋るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
腕を蹴られる。
「あらごめんなさい」
「......」
「死んでないわよね、とりあえず家の中に運ぶか」
扉を開ける音がする。
「椅子に座ってー、よしっ。上手にできた...回復薬は少量でいいか勢いよく喋られると困るしねー。ほら口を開けてー」
ポーションを飲まされる。
もうろうとした意識が少しずつ戻るが完全に戻っていない。
「奥の壁にもたれてもらいましょうか」
「ハァ...ハァ...やめて...」
「やめないわよ、んじゃあわたしがどれだけ傷ついたか痛みでわからせてあげるっ!」
「キャァァァァァァぁ!!!!」
痛み。
「ほぉらぁ!」
痛み。
「回復薬を飲ませて...よし!まぁ後は彼が来るまで待ちましょうかキッチンに隠れていればいいか...エルデラってさぁ胎内に子供がいるんだよね?良かったねぇ、その子供も生まれてくる前に死ねて。こんな世界辛いことばかりよ」
「ちが...う...いいことも...わるいことも...あ...」
「うるさい!!!!!」
意識が戻ってくるが体が動かせない。
地面にはべったりと血がついていた。
気づけば夕方だ。
もうダメかもしれない。
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仕事が終わり家の敷地内に入る。
草に何故か血が付いていた嫌な予感がする
扉を開けると部屋中血だらけ。
まさか...。
リビングに向かう。
すると目に飛び込んできたのは。
血だらけのエルデラ。
「大丈夫か!!おい!」
「...ッ!...後ろ!」
「はっ!」
ギリギリのところで躱す。
「死ね死ね」
壁に掛かっていた剣を構える。
「お前がエルデラを」
「死ね死ね死ね」
斬撃を防ぐ。
「汚らわしい男!!!エルデラを汚した!!!悔い改めさせる!!!!」
「くっ」
流石に防ぎきれない。
俺は隙をついてルーデリアの腹を蹴飛ばす。
ルーデリアは踏みとどまり剣を振る。
斬撃が頬をかすめた。
「うぉぉぉぉ!!!!!」
剣を突き刺す。
ルーデリアが倒れる。
すぐにエルデラに駆け寄り。
「おい...おい!しっかりしろ!」
「もっと...貴方と話したかった...もっと...貴方と過ごしたかった...」
「いいから喋るな」
「もう助からない...もう何も.....見えない...」
「あぁ、あぁ...」
「愛して.........る...どこの誰より.....も...」
「あぁぁ...死ぬなよ.....おい!」
「死ぬな...」
「ひひ、ひひひ貴女が悪いのよエルデラと幸せに暮らそとした」
ルーデリアを睨む。
闇を解放する。
体中に紫色のラインが現れる。
手を突き出す。
「死ね」
「あ、ぁあ...」
ルーデリアが心臓を抑え苦しみだす。
「あぁぁぁああああ!!キャァァァァァァあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「エルデラはもっと苦しんだ!我が子を思い死んでいった!!!」
「貴様ぁぁぁぁぁ!!絶対殺す!ころしてやぁぁぁぁ!!んぁ...」
血が噴き出し地面に倒れる。
「エルデラ...俺はどうすれば...う、うわぁぁぁぁ!!」