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千里眼ジャンパー  作者: りこるぬ
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~中継ポイント町おこし~

前書きってなに?

気がつくと草木が茂った森の中で一人、俺は目を覚ました。


周りは朝なのか地面から短く伸びた草種に露が乗り、昼夜との気温の差と辺りには誰もいないことを思わせた。


「・・ん、外・・?」


身体を起こそうと手を突いた地面の冷たさが夢では無いことと、一体ここはどこなのかと考えるに容易かった。


また、地元の悪友が急に思いついたドッキリか何かに巻き込まれたのだろう。


そう考えると、昔の悪友との日々を想起し思い出したのか口元が緩み自然に半笑いになりながらゆっくりと立ち上がる。


「まったく・・今度はどんな無茶な遊びに巻き込んだんだ?」


立ち上がり、顔を上げると目の前には弓を構えてまさに今射ちますといった状態のツノの生えた鬼の様な小人がいた。


「えっ?」


呆気にとられた瞬間、左目に鋭い痛みと片方の視界は真っ暗になり、どんどんと左顔面が熱く耐え難い痛みに再度起き上がった身体は地面に背中から落ちる形で逆戻った。


瞬間


反動で草の露は跳ね上がり、起き上がり見渡そうと思っていた辺りの景色は思いもよらず見ることが出来た。


そこには、左目に矢が刺さり仰向けでもがく俺と矢を放ったであろう鬼のような小人が一仕事したかのように弓の構えを解き不格好に大股で俺の痛がる仕草を見ていた。


よく見ると小人はまさにファンタジー漫画でありがちなゴブリンのような風貌であり、体表の色は緑だった。


寒くないのかその格好と思う程、薄着が心配になったがのたうち回る自分自身の姿を見て考えを改めた。


見えている視点は幽体離脱しているかの様に宙に浮き、第三者視点のようであった。


どうやら辺りにはこのゴブリン一体しかおらず、見ようと思える範囲内には木々と俺の木の後ろに小さな空間と大きな岩があった。


この大きな岩を囲う様に木々が生えておりそこに日が差している為、専ら聖剣が刺さっていても不思議に思わないシチュエーションだ。


しかし、聖剣どころか鳥すらも飛んでおらず俺の目に矢がぶっ刺さってるこの現状は開幕初見殺しも良いところである。


そんな事を考えていると一歩一歩ゴブリンが不格好に大股で近づいてくるのが見えた。

おそらくとどめを刺しに来たのだろう。


ふと目が覚めて見知らぬ森で見知ったゴブリンに無残に殺されるのを第三者視点で眺めるだけなんて御免だ。


そう強く瞬きをした時、目の前には跳ねた露の代わりに赤い化粧をした草種が映った。


ザッザッと音を立てゴブリンが近づいてくるのが分かる。


痛みと共に身体の感覚が戻っていることを実感し、今戦うことよりもどう逃げ遂せるかを必死になって模索する。


「駄目だ、思いつかない・・」


そう言葉に出すとゴブリンは一瞬止まったように思えた。


痛みに身を捩り縋るように大きな岩に手を伸ばす。


その時、自分の身体を中心に景色が一変し目の前にいたはずのゴブリンはおらず背後には無かったはずの大きな岩があった。


状況の把握する程、焦りと痛みから余裕は無く然程状況は良くはなっていない事が岩の裏から聞こえるゴブリンの声から読み取れた。


「ギャッ?! ギャギャッッ!!」


ゴブリンの驚愕と怒声が響く。

折角、自身が仕留めかけた獲物が目の前で消えたなら驚き怒っても仕方ない。

久し振りに大きな肉が食べれると思ったのに的な感じなのだろうか・・考えるだけで悍ましい。


慣れない痛みと死ぬかもしれないと言う状況から訳の分からない事を妄想し始め本格的に現実逃避した時、状況はさらに展開した。


「ギャッ!」


ゴブリンが小さく叫ぶと草木を踏みしめる複数の足音が雑把に聞こえてきた。


「おーい、ゴブリン一匹げっとー。なんだこいつ?弓だけ持ってて矢がないぞー?どこ落としたー?」


人の声がする。

助かるかもしれない。


朦朧とする意識の中で岩にもたれ掛かってどうか見つけて助けてくれと願いながらありったけの声を出す事だけに意識を集中する。


言葉だけを意識して発する時は母音だけを簡潔に発せば良い。それだけで余計な力は必要とせずに力尽きかけていても最後の力を振り絞れるというものだ。



「アッー!」


力尽き薄れゆく意識の中、視界には岩の上から弓を構える人がぼんやりと映った。

後書きってなに?

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