俺は推しと登校する
俺、鳳陽介はまだ陽も上り始めていない朝の5時に目を覚まし1階の台所へと向かった。
「母さん、おはよう」
「おはよう、陽介。今日も作るんでしょ?一花ちゃんの分のお弁当」
「そうだよ。だからこの時間に起きてるんだ」
「でもすごいわよね。あの子ってあの『STARDUST』のリーダーなんでしょ?そんな子が陽介にお弁当頼むなんてね」
「まあ白河さんが何を思って俺に頼むのかはわからないけど、頼まれてるからには俺は全力で作るだけだよ」
「ふふっ、そうね。大好きな一花ちゃんに心込めて作らないとね」
「ばっ、そういうことを言わないでくれよ!否定はしないけどさ。でも俺と白河さんは釣り合わないから…」
「そこなのよね。なんとか陽介もそういうので活躍できたら釣り合うんでしょうけど…陽介がやるなら声優かしらね?」
「まあ、万が一俺がそういう業界に入るようなことがあればそこを目指すけど…」
「もしまだちゃんとした進路決めてないなら、そういう専門学校行く?」
「え?」
「陽介って太陽が産まれてから私とかお父さんにほしいものもねだってこなかったでしょう?今だってバイトしてるみたいだし」
「それはそうだけど…声優になれるかどうかわからないんだよ?」
「でもやってみたいとは思うんでしょう?」
「うん……」
「だったらやるだけやってみたらいいのよ!お金なら私達陽介がなにかほしいものがあったときのために毎月貯蓄してるお金があるから、専門学校でも大学でも…さすがに私立の医学部4年間は足りないけど賄えるわ!だからそろそろ陽介がやりたいことをやりなさい!」
俺は、予想外の母さんの言葉に驚きと嬉しさを覚えながら、
「うん、わかった。俺声優目指すよ」
心に秘めた夢だった声優を目指すことを母さんに伝えたのだった。
そして、俺は自分と白河さんのお弁当を作り終えると高校の最寄り駅へと向かった。
「俺が声優として人気が出たら、白河さんとも釣り合うんだろうか…」
そうひとりごちていた時だった。
「おはよう、鳳くん!」
「なっ、白河さん!?」
「そんな驚くことないでしょ?」
「まあそうなんだけどさ…」
「でしょ?じゃあここで会えたことだし、一緒に登校しよ?」
「わかったよ」
駅で会う予定だった白河さんとのまさかの遭遇に俺は心の高鳴りを必死に抑えながら白河さんと話をするのだった。
「白河さんは今日は早退?」
「ううん、今日は特に仕事も入ってないし最後までいるよ?」
「そうなんだ。あっ、そうだ!次のライブのチケット当たったからまた見に行くからね」
「鳳くんが見に来るんだったら頑張らないとね!」
「別に俺が見てようが見てまいが頑張ってもらわないと困るけど…」
「それはわかってる!でも鳳くんには私の頑張りをちゃんと見て欲しいし…」
「なんだって?」
「ううん、なんでもないよ!…それより、今日もお弁当作ってくれたんでしょ?」
「もちろん。今日は和食系にしてるけど大丈夫?」
「全然大丈夫!いつもありがとね!」
「いいよ。俺も白河さんに弁当作るの楽しいし」
「そっか!ならいいけど!」
「でも白河さん、その格好だとホントあの『STARDUST』の白瀬 花に見えないね。その格好でも可愛いけど」
「そう?まあ確かに鳳くんにしかバレなかったもんね。…というかこの姿でもかわいいって思ってくれてるんだ」
「…白河さんなにか言った?」
「なんでもないよ!じゃあ今日も1日頑張ろうね!」
「そうだね。まあ俺はいつも通りやるだけだけど」
こうして俺と白河さんは学校まで話しながら登校したのだった。俺としては推しとこんなに話せて嬉しい限りだけど、白河さんは俺と話してて楽しんでくれてるのだろうか…そんなことを考えながら俺は自分の教室へと入っていく……
早速本文投稿しました。僕推しの方とはキャラが違う気もすると思いますが、まだ若い頃の話なのでそこは気にせず読んでいただけたらと思います!
こんな駄作ではございますが、皆様評価や感想のほどいただけたらと思います!これからもよろしくお願いします!