プロローグ1 回想
「貴方たちは、こちらの手違いでお亡くなりになりました。本当にすみません!!」
僕たちの前で、少女が土下座しながらテンプレ的なセリフを言っていた。
周りを見てみると、真っ白の空間にここだけが生活感が溢れる、いかにも女子の部屋って感じになっている
。
僕の左横には妹の楠森 咲。
右横には兄の楠森 冬二がいる。
二人とも、思考がついてきていないみたいだ。
知らない場所に、知らない少女が土下座しながらあのセリフ・・・
これが、よくある転生物の小説のテンプレ的展開なら、僕たちは本当に死んだことになる。
少し、思い出してみよう。
~回想~
僕の名前は楠森 新。
現在18歳。高校を卒業してすぐに就職した新社会人だ。
趣味はネット小説を読むことで、転生・転移物が好きだ。
黒髪で少し童顔。身長も少し低めで、体系は少し筋肉あるくらい。
こんな姿なのでよく若く見られる。
18歳より若く見られるもんだから、
会社の面接に行く時に社員の方に面接に来たことを伝えると
「内は、バイト雇ってないと思うんだが?それにバイトは高校生からだろ?」
って言われた。名前を伝えたことで、採用試験受験者ということを分かってもらえたが、
結構ショックだった。家の部屋で少し心の汗が出たのは内緒だ。
今では、その社員さんの元で、いろいろ学んでいる。
僕は今日会社が休みなため、家のソファーでゴロゴロしながら、
スマホで好きな転生物の小説を読んでいる。
「アラタ兄、ゴロゴロしてないで、何処か遊びに行こうよ」
「仕事始めで少し疲れているからパス。休日はダラダラするに限る」
楠森 咲。
現在16歳。今年高校に入学したばかりのバリバリピチピチのJKだ。
黒髪のストレートで、身長は平均位。
頭脳明晰・スポーツ万能、おまけに美少女。
男女に人気のあり、男性女性ともに告白されるらしい。
この前は確か、小学生の女子に告白されていたような・・・
「アラタ兄、変なこと考えてない?」
「イエ、ナニモ。」
こんなに、告白されているのに一度も受けてないし、
これまで彼氏もできた事がないらしい。
「そんなことよりアラタ兄、カラオケいこ~よ!カラオケ!!」
と言って、咲は僕の体を揺らしてくる。
やめい、小説に集中できないだろうが!
「僕なんかじゃなく、彼氏でも作って彼氏と行けばいいだろ?」
「!?アラタ兄のバカ~~~~~!!」
「グホ!」
そう言って、咲は僕の腹に拳を叩きつけ、部屋へとかけていった。
腹を押さえて悶絶する僕、いや、マジ痛い。
「うお!どうした咲、って早!いったい何が・・・ああ、なんとなく察したわ」
楠森 冬二。
現在20歳で、大学生だ。
趣味は、ゲームでジャンルは問わないでいろいろやってる。
大学でも、ゲーム製作をやっているとか・・・
黒髪オールバックで、身長も高い。
ゲーム製作の資料として、剣術や柔道、サバイバルゲーム(略してサバゲー)
何かもやっていたので、体格がガッシリしている。
咲とはさっき、廊下ですれ違ったんだろう。
咲の様子に驚いていたトウジ兄だが、
ソファーで悶絶している僕を見るなり納得している。
「お前、また咲を怒らすようなこと言ったのか?」
「いや、僕はただ、僕と遊びに行くより彼氏と行ったらどうかと言っただけだよ。」
僕の回答に「はぁ~」とため息を付くトウジ兄。
「お前、いい加減気づけよ」
「?気づくって何に?」
また、トウジ兄にため息を付かれました。
いや、まったく分からないんだけど?
トウジ兄は、冷蔵庫から買い置きしてあるコーヒーを持って、部屋に行ってしまった。
トウジ兄気になること言って、何も答えずに行くのやめてほしいんだけど・・・
実をいうと、僕はトウジ兄や咲とは実の兄弟ではない。
小さいことに両親を亡くした僕を、母さんの妹家族である楠森家が引き取ってくれたのだ。
なので、トウジ兄と咲とは従兄妹ということになる。
叔父さん叔母さんは、仕事で家にはあまり帰ってこないので、
今もトウジ兄と咲の三人しかこの家にはいない。
「よーし!気を取り直して次の話読むぞ!」
そして、僕は次の話に進んだ・・・
そこからの記憶は思い出せない。