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ニューゲームにチートはいらない! 作者:三木なずな

第三章

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10.チェックメイト

「この日を待っていた、今日こそお前を確実に殺すジュリエット」

「思い通りになどさせて」

「ククク……ふはーっはははは!」

「なにがおかしい!」

「状況が分かってないようだな、ジュリエット!」

「なに!?」

「この状況が、お前にとっていかに絶体絶命なのか、まるで分かってないようだな」

「……」

 ジュリエットが黙った。それまで怒鳴りあっていた二人だが、ロミオの自信と意味深な物言いに躊躇が生まれたみたいだ。

「クムスの勢力範囲外におびき出され、部下も全員無力化された、人払いの魔法もかけてある。助けは来ない」

「人払い?」

「小僧は気づかんかったのか」

 ヘリンがいう。

「どういうことだ?」

「まわりを見ろ」

 言われておれはまわりを見た。すると気づく。

 人の気配がまるでない事に。

 クスクロの本拠は裏路地にあるが、ちょっとでればすぐ大通りだ。

 しかも建物が崩壊して――ヘリンが丸ごと砂にして消し去るということまでやってしまった。

 なのに人気がまったくない、騒ぎになってる様子もない。

「気づくのが遅いのじゃ。建物が崩落した時に何もない時点で気づくべきじゃぞ」

「あっいや、状況がめまぐるしく変化したもんだから……」

 全然そっちに頭が回らなかった。

 良くないよな、今度はもっと気を付けよう。

 おれが反省してる間にも、話が更に進む。

「今のお前は一人だ、一対一なら、おれ様はお前には負けん」

「正気かロミオ! わたしになにかがあれば真っ先に疑われるのはお前なのだぞ」

「だから色々手を回してクスクロの方にお前が出向くように仕組んだ、何かあっても生け贄になってくれる連中がいる。それに――」

 ロミオはおれをちらっと見た。

「都合良く生け贄が増えた、おれ様に疑いがかかる可能性はますます減ったというものだ」

「生け贄?」

「小僧のことじゃ」

「え? それって……えええええ? おれが王女殺しの犯人にされるってことか」

「濡れ衣じゃな」

 ヘリンは楽しそうに頷いた。いやそれヤバイって。

「ロミオ、お前は一つ計算違いをしている」

「ほう?」

「どれだけ策を弄してわたしを閉じ込めようと、わたしはお前に負けない。一対一ならお前には決して!」

「ふっ、誰が一対一って言った。そもそもなんでこのおれ様が一対一でたたかわなきゃならんのだ。というかジュリエットよ、お前何か忘れてないか」

「何?」

 忘れてる?

 ジュリエットはまるで心当たりがないって顔をする。

「剣にいきすぎて脳みそまで筋肉にでも侵されたかジュリエットよ。この建物に入ってなんか足りないものなかったか? んん?」

「たりないもの……」

「クスクロの構成員!」

 叫んだのはおれだった。思わず口からそれが飛び出た。

 ロミオはおれをまたちらっとみて、にやりと笑った。

「そうだ、クスクロの連中だよ」

 パチンと指を鳴らすロミオ。直後、どこからともなく男達が姿を見せた。

 何人かは見覚えがある、アーロンの部屋に駆け上がるまでおれが倒したクスクロの構成員だ。

 人数は軽く三十を越えてる、相当な数だ。

「うおおお……」

「がはー、がはー」

 だけどもその様子はどこか変だった。

 ほとんど全員が白目を剥いて、その目が血走ってる。

 更に筋肉もむきむきだ。何人かに至っては盛り上がった筋肉で服が破けてる。

「ロミオ!」

「こいつらがやれば、まさしくクスクロの連中が犯人ってことになる」

「貴様ぁ……」

「さあ、ここが因縁の終着だ。ジュリエットォォ!」

 ロミオの叫びと共にクスクロの構成員が一気にジュリエットに襲いかかった。

「これしき――くっ」

 ジュリエットは応戦しようとして、膝ががくっとした。

「小僧にやられた分じゃな」

「……ッ!」

 木刀を握って、ジュリエットに向かって駆け出した。

「助けるのか」

「もちろんだ」

「まっ、それもいいじゃろ」

 ヘリンは何もいわず、おれについてきた。

 おれはさっとジュリエットの前にでて、かばうように立った。

「ルーカス殿!?」

「おれがやる!」

 第一陣の構成員が飛びかかってきた。その数10。

 開けた場所、さっき倒した時と違っていっぺんに襲いかかってきた。

 木刀を握る、動きをよく見て、全員の隙をまとめて把握。

「楽はいかんのじゃ」

「――っ!」

 ヘリンの一言で気を引き締める。

 意識して、引き締めた無駄のないシャープな動き。

 鋭い先動きカウンターで男達を叩く。

 四人までがふっとび、一人が木刀の鋭い突きで肩を貫通した。

「お見事!」

 ジュリエットの喝采が聞こえる。

 ちょっと恥ずかしい、それをごまかそうとして、木刀を抜くために構成員を蹴った――その時。

 ドカーン!

 目の前が真っ白になった、頭がぐわんぐわんと揺れた。

 なにが起きたのか分からない、気がついたらおれは木刀を地面に立てて、かろうじて立っていた。

「小僧!?」

「ルーカス殿!」

 女二人の声が同時に聞こえてきた。

「な、お……」

 なにが起きたんだ、というのが言葉にすらならなかった。

「ロミオ! 何をした!」

「大したことはしてない。証拠隠滅もかねてな、死んだら爆発する様にしただけだ」

「死んだら……爆発、だって……?」

「こいつら、全員な」

「なっ」

 全員? 全員って、クスクロ構成員全員か?

 木刀を杖替わりにして、霞む視界の中確認する。

 構成員はまだ30人以上いる。それはつまり「爆弾」が30個以上あると言うことだ。

 なんということだ。

「ロミオとやら」

 ぞくっとした。横から聞こえてきた声にぞくっとした。

 ヘリンだ。彼女は今までに見た事の無い様な、満面の笑顔(、、、、、)でロミオを見た。

「まともに死ねると思うなよ」

 ヘリンがとんでもない殺気を放っていた。

「お前のことはさっきから見ていた。こうすれば良いんだろ?」

「むっ?」

 次の瞬間、おれは何者かに引っ張られた。いつの間にか背後に忍び寄せたクスクロ構成員に引っ張られた。

 ヘリンとの距離が開いた、直後、ヘリンも同じように別の構成員に引っ張られた。

 奇襲を受けて、おれ達が引き離される――やられた!

「離せ! 離すのじゃ!」

「やっぱりな。引き離せばお前は力が出ない」

「あの一瞬で見破ったのか」

「ふっ」

 口角をゆがめるロミオ。

 こいつ、頭がいいぞ。

「ついでにこうもしておこうか」

 パチンと指を鳴らす、構成員の一人がおれを攻撃。

 カウンターで反撃する――が構成員は木刀を思いっきり抱きかかえた。

「離れろ小僧!!!」

 叫ぶヘリン、とっさに木刀を手放す。

 ドカーン。男が爆発して、木刀もろとも吹っ飛んだ。

「これでもう何もできないな」

 引き離されたヘリン、満身創痍のジュリエット、そして木刀を失ったおれ。

 絶体絶命、そんな言葉が頭によぎった。
書籍版発売中です、こちらもよろしくお願いいたします。
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