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ニューゲームにチートはいらない! 作者:三木なずな

第二章

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04.正比例する好感度と殺気

 なんか知らないうちにヘリンと一緒に買い物に行く事になった。

 というか、本当になんで?
 ビアンカにはヘリンの行動が伸びた理由を聞いただけなんだが、なんでそれで一緒に買い物に行くことになったんだ?

 わからん。
 そのビアンカはヘリンの手を引いて、少し離れたところで何か話してる。

「おい小娘。手をつないで買い物じゃと? 何故わしがそんな事をする必要がある」
「行動範囲、伸ばしたくありませんか?」
「当然じゃ、一刻でも早くこの忌々しい状況とはおさらばしたいわ。それとこれと何の関係がある」
「さっき一瞬だけルーカス様の事をいい人、だと思ったのではありませんか?」
「なっ。何をいう、そんなはずがなかろう」
「顔が赤くなるの、制御出来る様になった方がいいですわよ」
「――ッ!」

「つまるところそういうことだと思いますわ。あなたがルーカス様に気を許せば許すほど……はっきり言えば好きになればなるほど行動範囲が広まると思いますの」
「ばかも休み休みいえ! た、例えそうだとしても、一緒に買い物に行くことに何の意味があるのじゃ」
「ルーカス様とふれあっていれば、自然とその魅力の虜になる、そういうことですわ」
「はっ」

 ビアンカはヘリンと何かを話してる。
 距離が遠くてほとんど聞き取れないが、ヘリンが怒ったり鼻で笑ったりする表情だけ見える。

 ……本当に大丈夫なのか? だんだん心配になってきたぞ。
 しばらくして、ヘリンだけ戻ってきた。

「うっ」

 目があって、思わず呻いた。
 睨まれた、おもいっきり睨まれた。

 それだけじゃない、ヘリンの体には思いっきり殺気が出ていた。
 いままでで一番強く、肌にピリピリ突き刺さる殺気。

「へ、ヘリン?」
「――めん」
「え?」
「認めん、わしは認めんぞ!」

 ヘリンは手刀を突き出してきた。
 風を斬って唸る手刀。
 はやい! というかやばい。

 初撃はぎりぎりかわした、反撃の暇もない。
 顔をかすめる、生暖かいもの頬を伝う
 ぞっとした、いままでで一番ぞっとした。

 殺気も、攻撃の鋭さも、ピンチに感じのも。
 ヘリンと出会ってからで一番のもの。

 二撃目が飛んできた。持ったままの木の枝で後から先に動いて、ヘリンの攻撃の隙をつく。
 木の枝はおでこをついて、ボキッと折れた。
 しまった! 木刀じゃなかった。木の枝だから当たった瞬間そのまま終えた。

 やばい、なんか武器になるもの探さなきゃ次が飛んでくる。
 と、思ってたが。

「……」

 ヘリンはおでこをさすって、攻撃を止めた。
 半径二シャークに入ってて元の力が発揮できてるから、木の枝は傷一つつけられなかった。それでも彼女はあたったおでこをさすった。
 悔しそうな顔でそこをさすって……なぜか涙目だ。

「い、痛かったか?」

 ちょっと申し訳ない気分になった。
 ヘリンの体に何が起きてるのか分からない、もしかして二シャーク以内であってもまだなんか例外があるかも知れない。

「本当ごめん、痛かったか?」

 手を出して、おでこをさすろうとする。

「ええい、触るでないわ」

 ぱしって払いのけられた。ますます涙目になられた。

 ?
 ??
 ???

 一体どうなってるんだ?
 分からないけど、とにかく謝ろう。

「ごめんな、おれのせいで」
「謝るでないわ! わしを圧倒するほどの男がそんな情けないまねをするな!」
「お、おう」

 なんか分からないけど怒られた。
 離れたところに立つビアンカに視線を向ける、目で助けを求める。
 が、ビアンカは何もいってこない。ニコニコしてて、何もいわない。

「ほれ!」
「え?」

 きょとんとした。ヘリンが何故か手をつきだしてきたからだ。

「な、なに?」
「手を握るのじゃ! はよせい!」

 あっ、つきだしたんじゃなくて、差し出してきたのか、これ。
 えっと、握ればいいのか?
 おれはヘリンの手を握った。

「小さい……柔らかい……」
「――っ! やっぱり死ね――って反撃するな! わしに勝つなあ!」

 ヘリンのわめき声が響く。
 ふくれあがる殺気と、鋭さを増す攻撃に晒される中、おれは、ヘリンと初めてのお買い物に出かけたのだった。
書籍版発売中です、こちらもよろしくお願いいたします。
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