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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
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ゾンビ73

お久しぶりです。ゆっくりとですが続けていきたいですね。

 突然だけど武器が壊れた。

 まあ、元々、そこまで期待していなかったけど壊れてしまった。

 残念という気持ちよりも、ああ、そんなもんだよねという気持ちのほうが強かった。

 なんせ、俺の体はゾンビだ。人間の頃に比べれば明らかに力が強い。人間の使う武器を人外が使えばそうなるだろうなと思ってしまう。

 とはいえ、強度の強い武器が手に入れば今より楽はできるんだろうなと思ってしまう。


『あたしの実家では専用の武器を作る職人がいたわよ』


 アサガオ、お前の実家は基準で考えないほうが良い。


 というか現代日本で専用武器職人がいる状況が想像できないよ。

 むしろ、現代日本にそんな乱闘種族がいることのほうがびっくりだ。


『失礼ね。とはいえ、否定できない家族がいることが恐ろしいわ』


 自作ナイフとかネットで公開している連中すらいるしな。


 もっとも、それらの多くは形だけだったり、目的意識が限られた方向性だったりしたが。

 なんにせよ今の俺達には足りないものが多すぎる。

 それを理解するためにも意見の交換は必要かもしれない。


 まあ、なんにせよ移動することは変らない。

 俺達は荷物をまとめて馬車に移動する。その後に続くのはクマさんによる移動だ。


「クマさん、ありがとうございます」

 マリスの感謝の言葉に小さく喉を鳴らすクマさん。

 なんというかマリスにつられてクマさんと呼んでしまうが俺の声は届かない。

 でも、個人的には複雑だ。あれだけ蹂躙してしまったクマさんがこうやって一緒に行動していることに。

 いや、当然俺に対しての恐怖はわかっている。

 でも、なんでここまで従順なのだろうと?

 そこに対しての答えもわかっている。当たり前のことだがクマさんに対してのマリスの行動と態度だ。

 だが、それでも、ここまで態度を変えたことに対して疑問に思ってしまう。


『まあ、裏切ったら殺すけど』


 そんな心の声が聞こえたのか、歩くクマさんの体がビクリと震えた。


『わ、私はあなたに対しての叛意はありません………』


 ああまあ、それはわかっているんだけどね? でも、アサガオとマリスにも敵意なんて持つなよ?


『ビッチさんは私にとっての天使です!』


 え? 何それ? クマさんの中で何があったの?

 というかクマさんにとっての天使って人型なのクマ型なの?!


『あの方の優しさは無限の愛で成り立っています。私のような畜生に対して憐憫の気持ちを持っていただけるだけでも嬉しいことなのに、あなた達のような人外の存在にも心を砕いているのですから』


『ぶっ殺すぞ畜生風情が』


 再びクマさんの身体がビクリと震えるがご愛嬌だ。

 とはいえ、確かにマリスはクマさんに懐いているというか優しいようだ。

 こんなにも優しさを振りまく俺には怯えているようだけど。

 納得いかん。


『アール、あなた自分を見詰め直した方が良いわよ』


 アサガオ、俺の心はガラスハートなんだ。言葉と気持ちを選んでくれないとハートブレイクだ。


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