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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
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ゾンビ71

 なんにせよ、馬車が手に入ったことにより、移動はともかく馬車が詰んでいた荷物を手に入れることはマリスにとって幸いだった。

 生鮮食品は無かったにしても、保存食料と多少の衣料品と生理用品が手に入れられたのは僥倖だろう。男の俺にはわからないけど女性にとっての生理用品は大切らしい。もっとも、それ以外にも手にするものはあったのだけれど細かく言っていれば切りが無いので馬車に死蔵したままにしていた。


『武器くらい持ったら?』


 その発言はブーメランだ。そもそも、俺は剣道の経験も無ければ槍なんて振るったことも無い。アサガオは剣なんて振れるのか?


『日本刀なら多少は』


 え? 君のいた世界って本当に俺と同じ日本?


『それこそ言葉がブーメランになるけれど、あたしの実家は古い家だから、茶道と同時に剣術を学ばされるような狂った家だったわ』


 剣道ですらなく剣術ってところに恐怖を覚えます。あくまで言葉遊びでしかないけど、剣道は心を磨くための道であって、人を殺すのが(すべ)ってイメージあるからね。


『間違ってないわよ? 剣術は人を殺すための手段であって心の磨き方じゃないもの。柔道だって道という言葉がつくけれど、柔術は殺すための業がごまんとあるわ』


 なんか聞いちゃいけない話題っぽいな。


『別に構わないけど? あたしの実家は焼津って言うのだけれど、その親戚は紅家っていってね、頭どころか身体の狂った人が多かったわね』


 身体が狂った?


『素手でコンクリート砕くのよ』


 マジで?!


『マジよ。まあ、その女の子はともかく、その彼氏は頭が狂っていたけれどね』


 どういうこと?!


『この世界では関係の無いことよ。ともあれ、、無駄話が過ぎたわね』


 無駄話ではなかったと思うけど、アサガオが肩をすくめていることを見ると、これ以上関係ない話をするつもりはないようだ。だからこそ、俺は話題を戻す。


『アサガオは武器を持たないの?』

『さっきも言ったけど、刀の経験はあっても、この世界の剣の経験はないわ。西洋の剣は振った事もあるけど、あたしには合わなかったわね』


 俺なんかには剣と刀の違いなんて良くわからないが、アサガオがそういうならそうなのだろう。まあ、それでも、豆知識でいうなら刀は当ててから引く。剣は重さで押しつぶしながら斬る。そういうイメージだ。でも、刃を当ててから引くってむずかしくないか?


『振り下ろしながら引くのよ。こればかりは言葉で伝えられないわね。感覚の問題よ』


 そういう意味では小説とかマンガであるような両断て難しいよな。


『あんなのはそれこそ漫画の世界よ。甲冑を着たような人間を両断できるのは化け物だけよ』


 まあ、俺達がそんな化け物なのだけど、お互いに武器は要らないってことね。


『んー、そうともいえないかしらね? 例えばアールはあたしよりも力があるわ。物理的な破壊力を考えた場合、素手で殴るより槍か鈍器のようなものがあったほうが良いかも知れないわね』


 あー、それはあるかもね。さすがに拳を振るうたびに砕け散って蒸気を上げるのは旅人としてもゾンビとしても良くない。だって、すれ違う人に疑われかねないし。

 とはいえ、武器のというか、武術の経験なんてないしな。


『マリス、馬車に何か良い物無いかしら?』


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