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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
69/75

ゾンビ69

説明会です

 それは始まった。

 アール達にとって初めての終わりであり始まりであった。


 アブシュノワールと呼ばれる王国。それは近隣諸国の中で海に面した領地を持ち、非常に豊かな国土と一番の歴史を誇り、勇者召喚という世界での切り札を持つ大国であった。

 ただし、その勇者召喚という強力な手札を持つために、王都の戦力である騎士達の戦力レベルは他国に比べると非常に低いものであった。

 だからこそ、王国内でゾンビが発生した際は組織的な行動が間に合わず、ゾンビに感染してしまった国民や貴族を隔離することができず、結果として全国民が罹患してしまう結果となった。

 もちろん、優れた騎士や貴族がいたからといってこの状況を避けられたかと問われれば、必ずしも否とはいえない。しかし、それでも、ここまで加速的に感染することが無かった可能性だってある。

 なにより、この国のトップがとった行動、それが一番の問題だったのだろう。

 部下を指揮してゾンビの拡散を止めるよりも先に、この国の切り札である勇者召喚だけに固執してしまったのである。

 結果として、騎士は現場判断だけでしか動けず、召喚された勇者たちは何の経験もない異世界人ばかりだった。

 異世界召喚の恩恵を受けて優れた力の持ち主も多かった。

 しかし、彼、彼女等は優れた力はあったとしても、そのほとんどがただの一般人でしかなかった。多少の訓練をつんだところで、押し寄せる死者の波に飲み込まれれば一般人となんら変らない。それどころか、一部の異世界人はゾンビと化すことで生前以上の力を持つ化け物になったと言う報告すらある。


 結論。


 王国は滅ぶべくして滅んだのだ。

 一点突破の破壊力を召喚するのではなく、王国が一体となって亡者の駆除に乗りでていれば違う未来があったのかもしれない。

 無論、そうなっていればアールは記憶を失うことなく、勇者候補の一人として召喚されていたかもしれない。しかし、結局は結末は変らなかったかもしれない。それが早いか遅いかだけの違いで、揃ってゾンビエンドだった可能性のほうが高い。その場合はアールやアサガオが理性のあるゾンビになっていたかどうかもわからないし、結果としては現状のほうが良いのかもしれない。


 なんにせよ、たった今を持って、王国内の全ての命が消えた。

 小動物や昆虫は含めない。

 全ての人間の命が消えた。

 アブシュノワールは死者の王国と化したのだ。


 その死者の王国の中で語る自分はなんなのか?

 そして、なんでアールや朝顔のことを知っているのか?

 簡単なことだ。


『俺』


 はあいつ、アールに林檎にされた。


 グシャグシャに磨り潰されて雑草の肥料にされてしまった。

 だけど、その過程で俺とあいつの意識は少しだけつながった。

 全てが伝わったわけではないし、あいつには俺の何かが伝わったかもわからない。

 だけど、俺の意識は浮上した。


 再構築されて行く身体。それは生前? もしくはゾンビ化した時と同じように巻き戻っていく。大地と石畳に散った肉片を引き寄せながら、体を形作っていく。 見た目だけでいうならできの悪いホラー映画だ。

 とはいえ思考も安定してきた。

 林檎になっていたときは睡眠中の夢心地のような気持ちだった。正直、このまま意識が拡散して死んでしまっても良かった。それだけの恐怖を感じたから今更生き返れなくても後悔はなかったはずだ。

 だが、俺は許せなかった。

 勇者の時ですら傲慢だった俺を死者に落としたゾンビ、そして、それ以上の力を手に入れた俺を磨り潰したアール。


 許せなかった。


 あいつだけは許せない。

 俺以上の力を持っていることを許せない!

 俺を蹂躙したことが許せない!

 

 許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。

 許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。




 そして、俺は肥溜めの底で再誕した。


「最悪の気分だ」


 自然と言葉を口にした。

 その直後。


『がーぐーは死者使役スキルを会得しました』


 ?!

 なんだそれは?

 空から落ちてくる声。そんな印象だった。だけど、そんな戸惑いは別にして、空から落ちてくる声は続く。


『死者使役スキルはスキルのレベルに応じて、レベルの範囲にいる死者を自由に操作することができます。なお、操作に関してはマクロを設定することによって、効率的に死者を動かすことが可能です。なお、マクロの紹介に関しては設定タブの項目から………』


 空から落ちてくる言葉は終わらない。俺は半ば放心しながらそれを聞き続ける。

 だけど、これは………なんだ?

 言葉だけでなく、膨大な情報が脳内に押し寄せる。その情報量に脳が割れそうな痛みを訴えて俺はうづくまる。だけど、空から落ちてくる声と、脳に流される情報量は変らない。

 俺は悲鳴を上げてのた打ち回る。

 だけど、それにも終わりは来る。


『死者使役スキルレベル1は半径一キロメートル以内のゾンビを操作可能です。なお、範囲内に与えた指令は固体が破壊されるまで継続されます。その指令は固体が範囲外に移動した後も永続で継続されます』


 脳に押し寄せる情報の波が収まってきていることに安心しながら、俺は苦痛に唇を浮かべながら笑う。


 これは力だ。

 圧倒的な力だ。

 なんでこんな力が………スキルとやらが手にはいったかなんて知らない。

 だけど、この力があれば、俺は復讐することができる。


 再構成された体を大の字にして広げながら俺は笑う。


「復讐だ」


 逆恨みとかそんな言葉とかは関係ない。

 俺はあのガキが許せなかった。

 女を殺したのは俺だし、俺が殺された理由だってわかる。

 あまりにも一方的でわがままな復讐だ。

 それでも、許せないなら、流すことができないなら行動するしかないだろう?

 俺は人間の屑だ。人間ですらなくなってしまったかもしれないが、人間としての感情は残っている。

 だから、


「お前も林檎にしてやるよ」


 俺の一方通行の復讐が始まる。


まさかのがーぐー再登場

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