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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
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ゾンビ61

 皆さん、こんにちは。

 私はマリス・アンドロビッチです。略してビッチと呼ぶと、三小節以上の火魔法で火達磨にするので気をつけてください。

 くせっ毛な赤茶色の髪を肩まで伸ばした、そばかすが少し気になる小柄な魔法少女です。

 そんな自己紹介で自分を思い出しながら現状に混乱している十六歳の私です。

 そして、なにに混乱しているかというと、


「がうー」


 目の前に熊がいます。

 うずくまって鼻先を私に向けるブラックベアーがいます。

 ちなみにこの野生の獣は森の中で出会ったら、己の命を諦めるか誰かを犠牲にして逃げ延びろという究極の二択を迫られる動物です。

 それが、なぜか失っていた意識を取り戻した時、目の前にいました。

 あれ? 私はなんで意識をなくしたのでしょうか? それを思い出すべく思考しようとした時、頭の内側にアサガオさんの声が届きました。


『安心なさい。とりあえず暴れるような心配はないわ』


 そんな声に振り返れば、旅装束姿の黒髪の女性、アサガオさんが立っていました。相変わらず目の奥に光はなく極端に青白い肌でした。というか自称ゾンビですから仕方が無いですよね。まあ、私の中ではゾンビというか、ゾンビ?という新しいジャンルが生まれかけてますけど。

「それで、これはどういう状況でしょうか?」


『アールが森の中で出会って戦って勝利して、食われるか肉になるかの選択を迫ったそうよ』


「なにその究極の二択?!」

 どちらを選んだにせよ死へ一直線の実質選択不可ですよね?

 というかアールさんなんで無事で帰ってきてるの?!

 魔物ですら避けて通るような野生の化け物ですよ? なんで普通に戦って勝っちゃうんですか?!

 アサガオさんと違って話したことはないですけれど、別のベクトルで狂った存在なんだと理解した瞬間でした。

 なんにせよ誰が食べるのか、肉になった後どうなるのかすら謎過ぎます。

 人食い熊であるブラックベアーの肉なんて誰も食べたくないでしょうしね。


『だから、あたしも選ばせて上げたの』


 アサガオさんて自分のこと常識人のように振舞っているけど実は違う。


『肉になるか馬になるか選ばせて上げたの』


 この人大分頭がおかしい。

 斜め上に傾いた方向性はアールさんとは違う別ベクトルの選択肢だった。しかし、肉になると言う選択肢だけは決して外れないようでした。でも、肉にしてどうするのでしょう?


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