表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
48/75

ゾンビ48


 振り下ろした。

 それだけで無数の姿が人型で無くなった。ついでに言うと弾け飛んだ。

 それだけの力を振るった実感は無い。だけど、結果を見る限りそういうことなのだろう。

 それだけ俺が逸脱していることを誇るべきなのか、

 それだけ俺が間違っているのか?


 そんなことは誰にも俺にもわからない。

 だけど、俺は俺のことを理解しなきゃいけないかもしれない。

 いや、だって明らかに過剰戦闘能力だろこれ。

 とはいえ、自重する必要もないし結果としてほとんどのゾンビがただの肉の固まりと化した。

 その際に壊れた俺の手足は現在も白い蒸気を上げて修復中だ。


 うん、これ明らかにゾンビじゃないよね。

 とはいえ身体が治らないのも困ったことなのでそういうものなのだと納得しておく。とはいえ、それを見られたとき他人がどう思うかは別の話になるんだけど。

 まあ、そこは誤魔化すか黙秘を貫くか………口封じはしたくないなぁ。

 でも、がっつり見られている上に言葉が通じないんだよな。

 うーむ、どうしたものか。


『そこは心配しなくてもいいようよ』

 刹那、頭の内を叩く声はアサガオのものだ。

 とはいえ、それはどういう意味で心配しなくていいのかな? 

『あたしが話した限りではこの世界の魔法使いのようなものらしいわね。といっても、彼女自身仲間とはぐれてこの国を目指していただけらしいので詳しいことはわからないけれど、少なくともいきなり殺しあうような関係にはならないと思うわ』

 いきなり殺し合いになるような関係が怖いっての。

 でも、それは朗報だけど、アサガオ人間と話せるんだな。

『これはこちらにしても僥倖ね。念話って言う不思議技術で会話が成立しているわ』

 その技術俺も欲しいけど、俺に二人の会話が聞こえていない時点で望み薄っぽいなー。


『そこはあたしが通訳するしかないわね。とはいえ、後で試して見ましょう』

 了解。期待しない程度に期待しておくさ。

 なんにせよ、言葉を交わす前に移動しないとな。ここは死臭が酷いだろう。ゾンビは死臭と音を頼りに駆けつけているっぽい。音はともかくとして匂い云々は王国内にいる時にある程度理解している。

 音はまだわかる。もしくは衝撃や震動だ。こんなもの感覚があればゾンビじゃなくても知覚できるだろう。でも、匂いは気付きにくいかもしれないけど、ゾンビは生きた人間に敏感だ。それは動きや震動だけじゃなくって匂いも含まれるのだろう。出なければ時折存在する生存した人間に群がらないだろうし、死体である俺達に誰一人として近寄らないのなら間違っていないだろう。


 とはいえ、色々試してみないといけないけどな。


 それは心の内で呟きながら足を進めていく。向かうのは街道の先………ではなく、王国の外周部を抜けた未知への方向だった。




 なんでですか?! 正体不明のゾンビたち………アサガオさんたちが向かうのは、王国の外周部、私が向かってきた方向に対しての直進、わかりやすく言うと王国の外側を回って直進しようとしているのです。

 いえ、意味はわかりますよ? 橋の閉ざされた王国に入れないとしてもそのまま進もうとしていることはわかります。

 けれど、そんなの自殺行為でしかない。そうでなくても死が周囲にあるのは分かっているのですが、どこに向かっても死が満ち溢れているのはわかります。

 だけど、それでも進むのは得策なんかじゃないのです。だって、私は生きているのです。そろそろ、休ませて欲しいのです。なのに、彼らは無言で歩き続けます。それが私には辛いのです。死ぬような目に合って、それでも生き延びてけれども歩き続けさせられるのです。

 彼等のようなアンデットならともかく、私は人間です。歩き続けるにも限界があるのです。

 そんな私の気持ちを汲み取ったのか、

『疲れたの?』

 脳裏に響く言葉、それはアサガオさんの声でした。

「少し………」

 本来は少しどころではなく、この場に倒れこんで泥のように眠りたい気持ちで一杯でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ