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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
40/75

ゾンビ40

 さて、始めようか。

 え? 何を始めるかって?

 そして、その上で私は言うけど私はアールではないよ?

 じゃあ、私は誰かって言う質問は受け付けない。あえて言うなら、調律者? もしくは裁定者かな? わかりやすく言うとこの世界を作っている神という存在に近いかもしれない。だけど、完全な神様ではないからイレギュラーを見逃してしまうし、イレギュラー以外の規格外の存在が生まれたことを見逃してしまった。

 そもそも、アールって言う存在は面白いね。

 だって、異世界召喚なんていう事象自体が私の想定外だったというのは、それを連発した上に、あんな規格外が生まれたことを許してしまった。

 本来なら即刻消去した上で世界のバランスを取り戻さなければならなかったんだけど、そんなことをするよりも面白い結果が生まれてしまった。

 とはいえ、この世界は終わろうとしているのに、こんな面白い種が生まれてしまったら終わらせるなんて勿体無いじゃないか。

 いやいや、邪推しないでくれよ? この世界は終わりかけているだけで終わっていないし、ゾンビエンドまではまだ程遠い。しかし、後百年位したら死体しかいない世界になる予定だったので、早々に視界からはずして放置する予定だったのだ。

 だけど、これはどうだろうか? 新しい流れが生み出されようとしている気がしてならない。

 無論、彼彼女だけで何とかできる問題じゃない。

 なぜならこの世界の半分は死んでいるのだから。

 死者に覆われかけているのだから。

 普通の世界なら魔物に被い尽くされて滅亡するか、人間が魔族と魔物を蹂躙し尽くして完全平和を目指した後で、人間同士で殺しあって混迷するだけなんだけれど、この世界だけは特殊だ。

 ゾンビという存在が人間も魔族も等しく感染し尽くそうとしているのだ。当然、その後に待っている世界はただの停滞だ。

 なのに、動きが生まれたんだ。

 些細なさざなみにもなれないような、ただの波紋。

 だけど、私はそれを見た。見つけてしまった。

 見なければ良かったなんて思わない。むしろ、見過ごさなくて良かったと思ってしまったほどだ。

 なら、次はなにを見せてくれるのだろう? そう思うと、別の世界を見ることすら億劫になってしまう。

 さてさて、本当に気になってしまう。

 こんなに終わった世界の中で死にながら次のステップに進もうとしているのだ。

 もっと私を感動させて欲しい。

 特に、アール君は良い。

 あの叫びはたまらなかった。

 大切に思い始めた少女が殺された時、これの叫びは格別だった。

 空気が震えた! 大地が軋んだ! そして、私の心が躍った!

 もっと見せてくれ、君の心の輝きと苦しみを! そう思った直後に君は動いた。そして、敵に拳を振るった刹那、

 轟音!

 揺れたのは大地。

 震えたのは空気。

 打ち砕かれたのは肉体。

 私は絶頂した!

 電撃にも似た刺激が全身を貫いた。

 四肢が弛緩し、立ち上がることすら困難だった。

 映像を見上げることしかできなくなった私の前で彼は蹂躙した。

 許せない存在をりんごという果実に見立てて磨り潰した。それこそ徹底的に。存在することを許せず、踏み潰してにじり込んで踏み込んだ。あそこまでの殺意を私は見たことが無かった。思わず頬が上気し、下腹が熱くなった。

 ああすごい。本当にすごい。

 こんな感動は久しぶりだ。

 もっと、見なきゃいけない。

 そして、視線を逸らしてはいけない。

 だから、私はこう言おう。


「君を逃がさない」


 未来永劫。もしくは、君という存在に私が飽きてしまうまで。

 でも、できることなら、死なない君をいつまでも見させて欲しいかな。

 だけど、遠くから見るだけなのは退屈だ。

 時がきたらそっちに行って見よう。

 俯瞰するだけではなく、直接見て、触れるために・・・


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