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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
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ゾンビ4

 うん、なんというか思ったよりも難儀でした。

 そもそも、脳が指令を発してから体が動くまでの時間差がありすぎる。まあ、そこはわかっていたことなので許容した。だけど、手を動かすという指令だけなら簡単なんだけど、その先の何かを掴む、もしくはつまむという行為までにもタイムラグが発生するのだ。横顔が素敵な・・・略して横顔司書さんは生前の行為が脳にインプットされていたからスムーズにできたかもしれないと思い始めてしまった。


 あ、ちなみに今の俺の住処は図書館です。移動するの面倒だしね。

 ということで横顔司書さんと不特定多数の誰かたちとルームシェアを行いながらリハビリトレーニングに身をやつす毎日です。

 ちなみに、軽い絶望を感じながらも、ちょっとずつ前進もしてきているので、絶望し切れていない矛盾した状況。

 なぜなら、俺には睡眠が必要ないからこそ24時間訓練することができる。(逆に言うならそれしかすることがない)

 その結果、肉体の反応速度が少しだけ上がった・・・気がした。

 そして、物を掴むことにも成功した。すげー時間かかったけど。

 とはいえ前進だ。

 少しだけ反応速度が良くなって物をつかめるようになった。歩くときも手を前に出さないようになったし、歩き方もあまり足を引きずらないようになってきた。

 ・・・まあ、人間の動きと比べたらまだまだゾンビだけどな。


 更に三日経ちました。

「あーうー」

 言葉だけは変わりませんね。

 相変わらずのクオリティーであり、話す相手もいないからどうでもいいやと思わなくもない。とはいえ、いつか生きた誰かと会ったときに・・・うん、問答無用で殺されそうだな。死んでるけど。

 でも、男子、三日合わねば活目せよだっけか?

 ふふふ。活目しましたとも!

 なんと俺は! なんとなんと俺は!


 床に落ちた本を本棚に戻していました!


 地味すぎるって? やかましい、というかどいつもこいつも落としていくだけだから歩き辛いんだよ! しかも、勝手に転んで床や本を血や腐肉で汚していくんだからタチが悪い。

 ということで、のろまながらもしゃがむ、腕を動かす、掴む、立ち上がる、本を本棚に戻すというプロセスに従って動けるようなところまで来たのだ。

 まだまだ動きがぎこちないし時間もかかるけど、最初に比べれば随分と人間らしい動きになってきたものだ。

 脳からの指令のタイムラグも、最初に比べれば短くなってきているし、後はできることを増やしていけばいいだけなのだ。

 だから、反復練習の材料として落とされた本を拾って床に戻すという行為をひたすら繰り返していた。まあ、娯楽ですらないしただの作業でしかないんだけど、それでも何もしないでいるよりもいいし、眠ることができないなら尚更だ。

 あー、久々に眠ってみたいけど、そのまま起きることはありませんでしたも怖いしなぁ。

 まあ、なんにせよ、体を動かすことは大切です。その上で色々試してみよう。

 あ、ちなみに本を見ることができました。

 うん、見ることはできたよ。ページもめくることもできました。

 その上でこう言おう。


 読めるか異世界文字なんて!


 まずは翻訳こんにゃくをゲットすることから始めたいと思ったゾンビライフでした。


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