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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
29/75

ゾンビ29

 当然ダメだった。

 いくら勇者といっても強かったとしても全方位から襲い掛かってくる死体の群れに俺は抵抗しきれなかった。

 最初は囮たちのおかげで何とかなるかとも思ったが、囮の連中も噛み疲れるなり死体と化してそのままゾンビに変っていった。つまり、時間が経てばたつほど俺を囲む死体の数は増えていった。

 俺は長剣を振るう。その回数だけゾンビは身体を両断され、四肢を欠損していくのだが、それ以上の数の死体がゾンビとなって俺に群がってくる。

「クソッ!」

 気がつけば360度全ての視界がゾンビで埋まっていた。近寄ってくる姿や手足を切り飛ばしていくがそれでも足りない。

 そして、ゾンビは生きている人間に向かって寄ってくる習性があるようだ。それに気付いたとき、俺は完全に囲まれていた。

 本来なら身体能力に任せて飛び、屋根を経由して逃げることもできたかもしれない。だけど、今はそんな余裕すらない。手近にいるゾンビを剣で切り裂いて間を持つのが精一杯だ。

 だけど、そんな場当たり的な行動にも限界が来る。

「あっ・・・」

 長剣が音を立てて砕け散ったのだ。もともと、護身用に持っていたような数打ちの既製品だ。何十体ものゾンビを切って限界が来たのだろう。俺の要であったそれは無残に砕け散り、俺の力唯一の武器はなくなった。

「っ!」

 同時に引きずり倒される俺。

 武器という加護をなくした今、俺にできることは何もない。

 そして、無数の牙が俺に襲い掛かる光景を最後に、俺は意識を手放した。


 俺の意識は浮上する。

 あれ? 何があったんだっけ?

 明日の会議の資料そろえたっけな?

 そんなことを思いながらまぶたを開けば、


「がーぐー」


 俺は歩いていた。

 両手を前に突き出しながら歩いていた。


『ん?』


 なんかおかしいな。身体は思ったように動かないし、声も思ったように出せない。

 だけど、意識ははっきりしている。

 そして、考える。

 そして、周りを見る。

 死体だらけだ。だけど、その死体はどれもが動いている。


 ・・・・・。


 まじか。

 もしかして俺、ゾンビになったの?

 勇者として召喚されたのにゾンビになったのか?

 なんだよそれ、どんな罰ゲームだよ。

 だけど、現実だけは変らない。

 よたよたと歩く身体を自覚しながら俺は溜息をつきたくなる。


「がーぐー」


 でも、ゾンビになってからしばらくした。

 この身体は便利だ。

 使い慣れてくると人間以上の動きと力が出来るようになった。


「がーぐー」


 相変わらず言葉は喋れないが、勇者以上の力が、速度が手に入った。

 とはいえ、生きた人間がいないので娯楽はゾンビを蹴散らすくらいしかない。

 だけど、死ぬことがなくなって壊れた身体まで再生してくれる恩恵があるなら、これはこれで蟻かもしれない。

 睡眠はなくなった。コンビニのように24時間営業だ。だけど、その分色々試すことはできる。

 とりあえず、ゾンビを解体した。

 映画にあるように頭を破壊すると動かなくなる。これは定番通りのようだ。

 基本的には頭の破壊がゾンビを殺す唯一の方法。

 手足を千切っても胴体を半ばから裂いても死にはしなかった。でも、胴体から真っ二つになったゾンビは丸一日たつと動かなくなった。その原因まではわからないけど、一定以上の欠損を追ったゾンビは時間経過で動かなくなるらしい。


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