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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
27/75

ゾンビ27

 浮上する意識、だけど、身体が覚えるのは倦怠感。

 矛盾した感覚を覚えながら、あたしの意識は浮き上がっていく。

 そして、それまでの出来事に朧がかかったような感覚に目がくらむけど、それはあくまで一瞬だ。

 全身が鉛になったかのような錯覚に襲われながらも、あたしは自分の体が動くことを自覚した。

 あれ?

 あたしは眠っていたのかな?

 身体が重いのは風邪でも引いたからかな?

 そう思いながら開いたまぶたの先に映ったのは、


「あーうー」(ゾンビの世界にようこそ)


 アールの悲しげな顔だった。

 え? どういうこと? 状況がまったく理解できない。

 なんであたしの眼前にアールがいるのか? 寝顔を見ていた? いや、彼はそんなことはしない。ゾンビだけど、人の嫌がる事をしないのが彼だ。なのに、なぜ、そんな状況になっているのかあたしは考える。

 そして、

「っ!」

 思い出した。

 あの絶望を。

 自分の死を。

 

 そう、あたしはあのゾンビに殺されたのだ。

 儚い抵抗はした。だけど、全ての手札を無くした上で首に噛みつかれて、その肉を引き裂かれた。

 痛み以上に衝撃を感じた。

 動脈を裂かれたからこそ、意識は一瞬にして暗闇に落ちた。

 そこから続くのが先程の意識の浮上だ。

 あたしは生きていた? アールが治療してくれた?

 いえ、どちらでもないでしょうね。だって彼が答えを言っていたもの。


「ゾンビの世界にようこそ」


 そう言っていた。つまりはそういうことなのだ。

 今まで「あーうー」しか言っていなかった彼が聞き取れる言葉を言っていたことは気になったけれど、それ以上に自覚してしまった。


「うーあー」


 あたしはゾンビになったのだ。



 マジか、って思う。

 でも、それは紛れもない事実のようだ。

 人の言葉を言おうとして唇から漏れたのは、

「うーあー」

 うん、アールと逆になっただけのうめき声だ。というか、身体は動くんだから横隔膜だって舌だって動かして声くらい出せて欲しい。

 まあ、そんなことは今後の改善課題として、あたしは改めて思う。

『ゾンビになってしまった!』

 それがわかったところで何も変らないから溜息一つ。

 アールから視線を切って俯いた時、あたしは自分自身の状況を知る。

 血に濡れた自身の身体にぞっとした。

 でも、でも・・・それ以上に、自分の肌を塗らす血に・・・あらわになった自分の肌・・・というか、現状に・・・

「うーあー」(きゃああぁぁぁーーー)

 自身が上げた悲鳴と同時に振るわれた手の平が、

 轟音。

 目の前のアールを吹き飛ばした。


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