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異世界オブ・ジ・エンド  作者: 神谷 秀一
26/75

ゾンビ26

物凄く短いですが序章終わりな感じです

「あーうー」


 戻りますよ。

 アサガオがいたところにね。

 アサガオが死んだところにね。

 でも、ひとつだけ可能性があるんだ。

 俺の望みが秘められた可能性。


 アサガオは死んでいた。

 図書館の奥で死んでいた。

 苦痛に歪んだ顔をまた見た。


 間に合わなくてごめん。


 俺は彼女を抱きしめる。

 冷たかったって思う。

 死体の温度だった。

 だから言うよ、


『ごめん』


 て。


 俺は口腔を開ける。

 抱きしめた彼女の身体を包みながら唯一の可能性を探る。

 わかりやすく言うなら、


 噛み付いた。


 俺自身が死体だからアサガオの体温はあまり感じない。

 元々、温感や痛覚が鈍くなっていたこともある。なんにせよ、抱きしめた身体は暖かいという感想よりも、死後硬直で硬いなという見も蓋もない感想を抱いた。

 この感想を聞かれたら死体でも殴りかかってきそうだけど、今はそんな感想を置いておく。

 だから、俺は血に汚れた彼女の首筋についた、俺の噛み跡を見下ろしている。

 がーぐーという生ごみ以下のように肉を食い千切ったりはしていない。ただ、噛み付いただけだ。

 もちろん、そんな行為に何の意味はないかもしれない。

 だけど、とある可能性だけあったのだ。

 そして、


「あーうー」


 奇跡・・・ではないが、ありえた可能性が起こった。

 なぜなら、アサガオの首筋に合った俺の噛み跡が薄れたかと思えば、裂けていた動脈や皮膚が塞がり始めたのだ。

 普通だったら世界か神に感謝して祈りを捧げるところだろう。

 だけど、これはそんなわかりやすい話じゃない。

 もっとシンプルを超えた迂遠な話だ。でも、シンプルに伝えないと相手はショックを受けること請け合い。

 だから、本来閉じられたままだったはずのまぶたが開かれて、その瞳が焦点を結んだとき俺は言った。


『ゾンビの世界にようこそ(あーうー)』


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