攻防
桜花大学付属高等部 新館図書館
ビデオ観賞室
文芸部部長南野桜乃が、二人の部員を見つめています
「どうでした、良かったでしょ」
(理子ちゃん、沈んでるけどどうしたの?)
有沢理子は少しガッカリしていました
「桜乃部長、浦君と私
本当に必要だったんですか?」
(折角、上手く演技できたのに
なんですかこの不当な扱いは)
「当たり前だよ、ちゃんと画面に二人とも出てるよ」
(少しだけどね、二人の顔は出てるわ、うん)
テレビ画面を見ていた、浦鏡は挙手します
「浦君、発言を許可します」
「では、文芸部のミニドラマを見たのですが
理子さんと僕の出番が、殆ど無かったと思うのですが」
(僕はともかく、理子さんは結構期待してたみたいだからな)
「ほら~それはね~お察しくださいよ
二人とも、御免なさいね」
頭を下げる、文芸部部長南野桜乃
(やっぱり、出番が少なかったよね
ごめんね二人とも
理子ちゃん、本当にごめんね)
「桜乃部長も、頭を下げて下さったのですから
理子さん」
「そうですね、桜乃部長許してあげます」
(私の女優デビューが
桜乃部長も頭を下げてますから
許しましょう)
顔を上げる、南野桜乃
「有難うね、ちょっと私が喋りすぎて
尺が足りなくなったんだ
ふふ」
(恋愛短編小説三部作の、発案者としてはまだ語り足りなかったわ
ミニドラマじゃ足りないし)
「そういえば、桜乃部長
明日の予算申請会の準備は
万全ですか?」
(明日は生徒会側で立ち会うからな
正直複雑だ)
「資料は集めたわ
今年より多く予算を請求したから
許可されるかは微妙だけどね」
桜花大学付属高等部 新館生徒会室
生徒会会計長野美紀に呼び出された
浦鏡がノックをし入室します
「失礼します」
長野美紀は浦鏡に椅子を勧めます
「どうぞ、楽にしてください」
「では、失礼します」
(美紀さん、そこの席は会長が座る席ですよ)
「明日は、生徒会会計にとり重要な
部活動と委員会の予算申請が行われます
早速明日は、浦君にはお手伝いしてもらいます
貴方が、掛け持ちしている文芸部も
あくまで、公正に中立に対応してくださいね」
長野美紀は、浦鏡のネクタイを締め直します
顔を近ずけ、浦鏡の目をジッと見つめます
「お任せください、美紀さん
誠実に対応いたします」
「退出していいですよ、明日は宜しく」
浦鏡は、礼をし生徒会室を出ます
桜花大学付属高等部 新館大会議室
運動部、文化部、委員会が予算申請書を提出しています
対応するのは、生徒会会計長野美紀と生徒会役員と補佐の1年生です
文芸部部長南野桜乃は、予算申請書を審査員の浦鏡に渡します
(浦君、勝負です)
「文芸部です、宜しくお願いします」
「文芸部ですね、審査させていただきます」
(桜乃部長か、知り合いは嫌だな)
予算申請書を、受け取り目を通す浦鏡
「今年より、予算の請求額が増えてますが
理由を教えていただけますか」
「はい、多くのジャンルの本やDVDなどをを購入するためです
利用者の要望を取り入れ、今までよりも魅力的な図書館にする為に予算請求を増やしました」
「文芸部は、図書館の運営も部分的にしていますが
この増額分は図書館の運営に使うということで良いですね」
「はい、もちろん図書館の運営に使いますよ」
「では、平日の図書館利用者数を分る範囲で教えてください」
「生徒の入室の履歴を生徒会経由で
そちらに申請したのですが」
浦鏡は封筒の中から、資料を取り出します
「失礼しました、去年と今年の
図書館の利用状況ですが、まだ4月初旬ですから
なんとも言えませんが、横ばいまたは微増ですね
文芸部に対しては、図書館利用の広報活動の強化
希望書籍のアンケート調査を実施してください
去年よりも成果が分るように
客観的なものが良いですね
例えば、図書館の利用者の増加などですね
成果が出たなら、前向けに検討させていただきます」
南野桜乃は、浦鏡をニコニコと見ています
「分りました、少なくと予算については去年より減ることは無いのですね」
(浦くん、そういうことは貴方も作業をお手伝いするんですよ
文芸部部員なんですからね)
「そう考えていただいて結構ですよ」
「今年は優秀な1年生が居ますので
早速作業に取り掛かります、ではお疲れさまでした」
(まあ、そうなるか文芸部の部員だからな)
南野桜乃は礼をし、大会議室を退出します
途中で振りかえります
「浦君、帰りに図書館に来て手伝ってね
じゃあね」
「お疲れ様です、伺います後で」
浦鏡は座り直します
「では、次の方どうぞ」
桜花大学付属高等部 新館体育館
生徒会会計長野美紀は、浦鏡と対峙しています
ラケットを持って
「美紀さん、なぜ私達はバトミントンをする事になっているのでしょうか?」
「浦君、運動部の予算申請書を見てやはり
実際に、体育館の備品の使用状況を
確認しに来たのですよ
実際に来て見まして、施設のメンテナンスの必要性が確認できました
このまま帰るのも、良いのですが
運動不足ですので、バトミントンに付き合ってください
では、じゃんけんポン」
引き分けが続きます
「浦君、私に先行を譲りなさい」
「どうぞ、お譲りしましょう」
長野美紀のサーブから、始まります
山なりのサーブを打ち返す浦鏡
(バックハンドになるように
左隅に打とう)
狙い道理に、長野美紀がバックハンドで打たせる事に
成功します
(一気にスマシュで決めてやる)
浦鏡はラインギリギリにスマシュを打ち込みます
ですが長野美紀に返されます
(可笑しいな、決まったと思ったんだけどな)
(浦君、甘いですねバックハンドで
打たせて、スマシュを打つ作戦とは初歩の初歩
私には通じません
実力が同じ程度なら、通用しますが
実力差が有るのですから、無駄です
浦君を左のラインに誘いましょう
そして右のラインにスマッシュです」
長野美紀のスマッシュが右ラインギリギリに決まります
今度は左にスマッシュが決まります
(強いな、なんとか1ポイントだけでも取ろう)
長野美紀がラケットを浦鏡に向けます
「浦君、マッチポイントです覚悟しなさい」
(パーフェクトで決めます浦君)
浦鏡は対角線上にサーブを打ちます
後方のラインギリギリに
(よし、一気にスマシュを手前に打つぞ)
勢いよくダッシュし、ジャンプスマッシュを打ち込みます
(流石に美紀さんも取れないだろう、
後方から一気には此処までは)
長野美紀は浦鏡が、ジャンプスマッシュを打とうとネットに詰めて来るのに
気が付き、足から滑りこみます、ラケットに何とか当てます
シャトルは、浦鏡の後方にゆっくりと落ちました
(決まったわ、ビデオに撮っておきたいぐらいに
完璧に決まったわ)
「完勝したわ、浦鏡」
「いや~凄いですね
最後の攻防では執念を感じましたよ」
(さすがに、あそこまでやられるとはな)
「さあ、浦君ネットとポールかたずけるよ」
「承知しました」
(後でストレッチしておこう、腕や手首は入念に)
桜花大学付属高等部 新館図書館
浦鏡は座っている、南野桜乃の前に座ります
「浦君、これを食堂に設置してきてください
食堂と先生方の許可は取ってありますので」
四角いボックスとアンケート用紙を浦鏡の
前に置きます
「桜乃部長、仕事が早いですね
図書館でDVD見れるんですね
今日初めて、知りました」
「見れるけど、古い作品がほとんだよ
今年は要望が多ければ、新作を検討するよ
浦君行ってきなさい、そのまま帰るのを許可します
そういえば、バトミントンデートしてたのですね」
「違いますよ残念ながら
試合をしたのですが、惨敗でしたよ
では食堂へ、設置してまいります」
南野桜乃は頷きます
お疲れ様です、10話まで書ければと頑張ります
失礼します