四コマ
よろしくお願いします
午後三時 人のまばらな食堂
デザートセットデラックスバージョンに
なんとか別れを告げることが出来た
浦鏡はグッタリしていた
彼の顔を突く有沢理子
(浦君、さすがにキツイかな?でも面白です
意外です、浦君は乾燥肌?)
されるがままの浦鏡
(これは気持ちいい?いやいや指先では
少し硬すぎるかも)
「さあさあ、浦君もう結構時間も経過してますし
私も、浦君には飽きましたよ
反応せずに眠るとはダメですよ
ところで、話は変わりますが
図書館は文芸部がお手伝いしているのはご存知ですよね?」
「はい承知しております、
つまり、文芸部に入部した僕は図書館に
理子さんと図書館へ行けばよいのですね」
「そういう事です、行きましょう」
有沢理子は右手にトレーを持ち
左手は、浦の手を持ち立ち上がります
トレーを返し、食堂を後にします
「理子さん、先ほどからなぜ手を絡ませるのですか?」
「嫌ですか?」
「いえ、どう対処するべきかと思いまして」
有沢理子は浦鏡を引き寄せます
二人の顔が近ずきます、視線は外しません
そんな二人を興味深げに見る人も
時々います
「告白する絶好なシュチュエーションです
放課後の帰り道、二人は急に立ち止り
見つめあう、浦君さあさあ」
有沢理子はじっと浦 鏡を見つめ続けます
浦は、暫く考え頷きます
「俺の女になれよ理子」
有沢理子は一瞬固まり
肩を震わせ笑います
「全然だめだよ、浦君真剣に考えてよ
もう一回」
「強引な男はダメでしたか
では、君の事がもっと知りたい僕にこれから教えてほしいんだ
だから・・・」
「ダメですね、上手く言おうと思って頑張りましたが
最後まで続きませんでしたね」
「では、君しかいない
これからも君以上の人はいないよ
だから、付き合ってください」
「う~ん、普通です50点」
「もう最後にしますよ、ちらちらと人に見られるのは
精神的にきますので
いきます、ずっと君が好きだった
これからも先、この思いは変わらない
付き合ってください」
浦鏡は有沢理子から目を離さず見つめます
(もう良いかな、浦君じゃこれ位が
限界かな)
有沢理子は、浦の顔を観察します
「もう出ないかな?浦君
そうだね思いつかないって顔してるから
勘弁してあげましょう」
浦鏡は頷きます
「参考になれば幸いです
さあ行きましょうか理子さん
図書館へ」
有沢理子は浦の手を取り
走りだします
「なんで走りだすの理子さん?
まだお腹が落ち着かないのですが」
「浦君、私は失態を犯してしまいました
文芸部南野桜乃部長をお待たせしていました
急ぎましょう」
二人は図書館へ
走り急ぎました
図書館前
南野桜乃は、此方に走ってくる二人に
手を振っています
有沢理子は息を整えています
浦鏡は南野桜乃にお辞儀をします
南野桜乃は浦にニッコリ笑いかけます
「理子ちゃん御苦労さま
さあ中へ
浦鏡君初めまして
文芸部部長の南野桜乃です、これからよろしくね」
浦に手を差し出します
浦鏡は南野桜乃と握手しています
南野桜乃はブンブンと手を振ります
「浦鏡と申します
お世話になります桜乃部長」
「うんうん、二人とも行くわよ
理子ちゃんは二階の本の整理してね」
「はい、桜乃さん」
図書館に入ると有沢理子は階段で二階へ
向かいます
「浦君は此方へ」
浦鏡は南野桜乃の後に付いていきます
南野桜乃は扉の前で立ち止ります
「浦君この中の本を整理しますよ
さあ、入りましょうか」
浦鏡は部屋に入ると鞄を置き
無造作に置かれた本を整理していきます
「桜乃部長、ジャンル別に分ければ良いですよね」
「うん、まだパソコンに入力していない本ばかりだから
浦君、口を開けてね
はいあ~ん」
浦鏡は南野桜乃の手からクッキー食べます
「どうどう?感想聞かせてよ」
浦は目を閉じてクッキーを味わいます
「無糖ですか?、少し硬めの食感ですね
バターの香りが僅かにしますね」
「う~ん、改良の余地ありだね
もう少し砂糖を多めに焼き上げる時間も
短めにしてみよう」
「サッパリしてますので、沢山食べれそうですよ」
「また今度、味見をしてもらうから楽しみにしててね
話は変わるけどね浦君、理子ちゃんには今
短編の恋愛小説を書いてもらってるの
浦君も書いてみない~」
「まあ、僕でお役に立てるのであれば
書かせていただきます」
「有難う、これで短編恋愛小説三部作
として文芸部で発表できるよ
理子ちゃんと浦君と私でね
理子ちゃんには同級生の男の子に告白するまでのお話を
浦君には、同級生の女の子への恋心に気が付き
告白しようと空回りしまくる話をお願いね
コメディタッチの作品も欲しいんだ
私は年下の男の子に告白する話ね」
浦は作業を続けながら聞いていました
「了解しました、僕なりに全力を尽くします」
(なるほど、だから理子さんはやたら恋愛関係の
話で絡んできたのか?
でも、あれで役に立ったのか?)
気がつくと、南野桜乃は浦の前に立っています
彼の手を握り、彼の目を見つめます
「私の小説ではこのシュチュエーションで
年下の男の子を押し倒してキスするの
どうかな?浦君」
「良いのではないでしょうか
必要な描写でしたら」
「そうだよね~作者が必要と思うんだから
入れてみるよ、やっぱり恋愛小説には
キスは絶対必要だと思うの
流石にそれ以上はね
此処では発表は無理っぽいけど
教頭先生に、何て言われるか想像するだけでも
怖いわ
話しは変わるけど
私の名前、南野桜乃って何か気にいらないの
何か緩い感じがするの考えすぎかな
浦君?」
「そうですね、僕の考えを言わせて貰いますと
それほど気にしなくても良いかと
結婚すれば名字が変わる
場合もありますし
しかし、ご両親が名付けてくださったのですから
大切にした方がいいですよ
きっとご両親が時間を掛け
愛情がこもっていると思います
僕は素敵な名前だと思いますよ」
「私は、本人を目の前に
恥ずかしがらずに名前を
褒める浦君もある意味素敵だよ」
南野桜乃は鼻がムズムズしてきました
小さな部屋での作業、そして換気も不十分だったのです
くしゃみをしそうになります
我慢しようと思いますが
抑えられなくなり
浦の顔にくしゃみが飛ばないようにと考えますが
浦鏡とは5センチも離れていません
そして口を開け、息を吸い込み目を瞑ってしまいます
もう、くしゃみは止まりません
(浦君、ごめんなさい
もう出ちゃいます、不可抗力だから
ごめんね)
浦鏡は南野桜乃の鼻の動きの変化を感じました
そして彼女が目を瞑った時に
目を見開きます
(桜乃部長の鼻がヒクヒクと動いたな
目を瞑った、
しまった本の整理で
ホコリが出ているからな、くしゃみが出るのは十分に予想できる事ではないか
部屋に入った時点で、換気の為に窓を開けるべきだった
どうすれば、くしゃみの直撃を回避するべきか
桜乃部長との距離が近すぎる、手を離してください桜乃部長
でもくしゃみを我慢しようと手に力がはいり
離せない状況だ、ではどうするば
この部屋の本の整理は、まだ終わっていない状況だ、
彼女を後に振り向かせるという回避体勢では若干危険だ
逆に僕が後に振り向くと、くしゃみの顔面での直撃は回避できるが
後頭部に桜乃部長のくしゃみがどうすれば
そうか、これだ緊急避難としておこう
桜乃部長が怒ってしまったら、素直に謝罪しよう)
浦鏡は、南野桜乃のくしゃみを回避する為に
南野桜乃を抱きしめます
ほぼ同時に桜乃はくしゃみをしました
南野桜乃は一瞬何が起こったのか分りませんでした
(なんで抱きしめられてるの?壁が見える
右には浦君の横顔
あ~)
浦鏡は直ぐ桜乃から離れます
「桜乃部長失礼しました、緊急避難の行動ですので
お許しください」
浦鏡は頭を下げます
(そうなんだ、そうでしたね
くしゃみを、避ける為ですよね、びっくりです)
「こちらこそ、すいません
ちょっとビックリしましたけど
いや~ドキドキしましたよ」
(桜乃部長、まだ手は離してくれないのですね
忘れているのか?)
ドアがノックされ、ドアから有沢理子が顔を出します
「なんですか?この状況は
見つめ合いながら手を握って、キスをする一歩前ですか
そういうことで桜乃部長、浦君が安全と思っての行動だと思いますが
個室で男性と二人切りですから
お気を付けください」
「はい、気をつけるね理子ちゃん、これは色々と偶然が重なっただけだからね
安心してね
でも浦君は大丈夫だよね」
浦は南野桜乃に見つめられています
「勿論です、理子さんも桜乃部長もご安心ください」
浦は二人に頷きました
「理子ちゃん。浦君
ひと段落付いたから、今日は解散にしますね
二人に頼んだ小説よろしくね~」
「了解です、ではお先に失礼します、
桜乃部長と浦君」
ドアを閉めて有沢理子の顔が引っ込みました
「桜乃部長もう少しですので、終わらせますね
ついでに」
「よろしくね。私は3階を見てくるから
此処は頼みます、今日はお疲れ様」
「お疲れ様です、桜乃部長」
バタンとドアが閉まります
浦は、本を整理し終えると椅子に腰かけます
(腕が少し張ってるな、そうだ今日は
デザートを食べすぎたから
散歩へ行こう)
浦鏡が外へ出ると外は暗く
なっています
桜花学園の門を抜け、通学路を歩きます
(糖分を多く摂取したから、早歩きで60分ぐらいで
いいかな?しかしそれではう~ん
まだ不十分だな)
浦鏡に声を掛ける男性がいます
「あの、すいません今何時ですか?」
浦は思考を中断します
「そうですね、もう六時前ですね」
「もうそんな時間ですか
実は四時間ほど歩いて此処まできました
友人とそのまた友人で旅行に来てまして
恥ずかしながら、置いて行かれてしまいまして
携帯電話も財布も車に置いていまして」
「それは大変でしたね
この先に交番がありますので電話を借りては
どうでしょか?」
「交番に電話ありましたっけ」
「電話ぐらいは有るとおもいますよ
電話が嫌でしたら、お金を借りれば良いのでは」
「交番でお金を貸してもらえるんですか?」
「貸して貰えるそうですよ」
「いや~でも・・・・・
そうだここから一番近い駅はどこですか」
「そうですね、徒歩で7分ほどですね」
「明日返しますんで、お金貸してもらえませんか
明日改札口に返しに来ますので」
「あいにく手持ちがないので」
「そうですか・・・」
男性は立ち止ります
「では失礼します、交番はまっすぐに行けばありますから」
浦 鏡は交番に向かいます
(しょうがない、お節介かもしれないが
四時間も歩いて来たと言っていたし
すっかり暗くなっているから
保護してもらおう)
「あの~すいません
宜しいですか」
交番の警官は頷きます
「どうぞ、まあ座ってください」
浦鏡に椅子を勧めます
「どうしましたか?」
「実は保護をしていただきたい人がいるのですか?」
「詳しく話してくれるかい」
「僕が通学路を歩いていると、男性に話しかけられました
男性は友人とそのまた友人と旅行をしていたそうです
しかし、置いて行かれたそうです
車に携帯と財布を置いたままだったそうです
そして四時間歩き続け此処にたどり着いて
僕に話しかけてきたそうです
ですから僕は交番に電話がある
お金を貸してもらえる
この二点を男性に言いました
しかし都合が悪いようで
僕も何とか助けになればと思いまして
お節介と思いましたが
交番で保護して頂きたいと
思いまして、その男性の特徴は白髪で
大きな黒いバッグを肩からかけています
見れば直ぐ分ると思いますよ」
「詳しい説明有難う、無線でパトロール中の人に声掛けてもらいますから
ご苦労さんでした」
「はい、対応して頂き有難うございます
では、失礼いたします」
「暗くなってきましたので
気をつけて帰ってください」
浦 鏡は礼をして交番を後にします
(たとえ自己満足でも
良いことをすると非常に清々しいな)
お疲れ様です、少し長めに書けたかと思いましたが
そうでもないようです、失礼いたします