料理
桜花大学 教員寮
内藤正義教諭は、落ち着かない表情で座っています
(平常心、平常心を意識しよう
あまり、部屋をジロジロと見ては失礼だ
深呼吸をして、落ち着こう)
内藤正義教諭は、大きく息を吸いこみ
吐き出します、
(良い匂いだ、さすが華さんの部屋だ
無意味に、過呼吸しないように注意しなければ
華さんに見られたら、いや考えないようにしよう
恐ろしい事は
華さんは、先ほどから手が進んで無いな
失礼かもしれないが、声をかけさせて
いただこう)
「華先生、どうしましたか?」
鈴木華教諭は、後ろを振り向きます
「朝にパスタを、茹でたままにしていて
パスタが固まってしまって、どうすれば良いでしょうか?」
(華さんの、エプロン姿は実に良い
しっかり記憶しておこう
いや、結婚すれば毎日見れるじゃないか
可能性は、十分ある
当たり前じゃないか
最も近くて、最短距離の存在は
自分自身じゃないか
確か、固まったパスタだったな
どうするかな)
「華さん、私がやりましょう」
「実は料理は、ほとんど作らないんですよ
舞の事は、厳しく言えませんね
では、ぜひお願いします、内藤先生」
(もう一回、パスタを茹でてみるか)
エプロンを脱ぎ、内藤正義に渡します
「内藤先生、どうぞお使いください
服が汚れるといけないので」
「使わさせていただきます」
「良くお似合いですよ、内藤先生」
(微妙だけどな、男性には似合わないと思いますよ華さん
貴方には、似合いますが)
「ところで華さん、ツナ缶は有りますか」
「何か、他にも作ってくれるんですか?」
「はい、自信はありませんが」
鈴木華教諭は、キッチンの中を捜します
(華さんには、天から料理の才能は与えらなかったようだな)
内藤正義教諭は、数10分後には2品を完成させていました
トマトを絡めたパスタとラザニアです
「どうですか、華さん」
「とても、美味しいですよ
これならお嫁さん必要ないですね」
コロコロと笑う鈴木華教諭
(ラザニアは、ダメだ
パスタを調子に乗って、入れたのがまずかったな
半端にパスタが、余ったから入れたのは
マズかったな
華さん、洒落になりませんよ
その発言は、いや待てよ
料理は、俺が作るという事で
解決するじゃないか、苦手な事は得意な方がすれば
万事解決だ)
「ところで、華先生
ラザニアは、ダメでしたね
やっぱりパスタを投入したのが、失敗でした」
「いえ、十分美味しいですよ
短時間で、二品も作れたんですから
尊敬しますよ」
「華さんに、誉められて安心しましたよ
先ほどの話しですけど」
鈴木華教諭は、ラザニアを突いています
「何の話しですか?」
「いえ、何でもないです」
(今日の、収穫は華さんに手料理を誉めてもらえた事か
また、機会が有れば
食材と調味料をちゃんと用意しよう
流石に今日の様な状況では、料理を作るのは辛かったな
良く2品も出来たものだな)
ドアをノックして、佐藤舞教諭が入って来ました
「お二人とも、今日は有難うございました
すっかり元気になりました」
(佐藤、君は30分ほどの睡眠で体力が回復するのか
タフなんだな君は
せっかく、華さんと一緒に食事をしていたのに
空気が読めない、女だな君は)
「いらっしゃい、舞ちゃんここに座りなよ」
隣の席を叩く、鈴木華教諭
「では、失礼します
これ食べて良いですか」
佐藤舞の目は、料理に注がれます
「内藤先生、良いですよね
美味しかったですし、舞にも食べさせてあげても」
「勿論ですよ、佐藤全部食べてくれ」
「内藤先生、頂きます」
鈴木華教諭は、笑顔で食べる佐藤舞教諭を
ニコニコと見つめてます
「美味しいですね流石、内藤先生
でも、ラザニアは普通ですね
パスタが入ってるんですよ」ね、チャレンジしたんですか
挑戦することは良いことですから、頑張ってくださいね
新しい料理作ったら、教えてくださいね」
(佐藤は、普段は鈍いのに食に対しては鋭いな
その言葉だと、また食べさせろと言う意味だな
華さんにお願いされたら、喜んで作るんだけどな)
「舞ちゃん、しっかり噛んで食べなよ
野菜ジュ-スもどうぞ」
佐藤舞の、グラスに野菜を注ぐ鈴木華
(華さんは、気が付く良い人だ
あの野菜ジュースは、加藤教頭が懸賞で大量に当てた物だ
佐藤が毎日飲んでいる、佐藤は何だかんだで元気だし
効くのか?
寝起きで、よく食べれるな佐藤
これだけ食べれれば、体調はもう大丈夫だろう)
お疲れ様です、失礼します