特に何も無いお話
桜花大学付属高等部 新館職員室
文芸部部長南野桜乃は、恋愛短編小説三部作を
顧問の鈴木華教諭に届けに来ていました
「良くできました、桜乃ちゃん
締め切りまでに完成しましたね、偉いよ」
鈴木華教諭は、南野桜乃の頭を撫でます
「華先生、気持良くないですね
撫でられても」
「私は気持ち良いかな
そうだ小説の感想聞きたいでしょう、ね~」
「そうですね、その為に職員室に来ましたから
どうぞお聞かせください、参考にしますので
今後の創作の為に役立てます」
「では、最初に締め切りを良く守りましたね
短期間に良く仕上げました
そして、もう一つは
1年生2人と協力した点です
文芸部部長として、良く出来ました
小説の中身は、読みやすい内容だったよ
短編だから、気楽に読めるしね
良かったんじゃない
不適切な表現も無かったし
良い意味で、高校生らしくて良いんじゃない
それから、やっぱり違うよね
浦君の文章は、男の子が書いたって感じがするよね」
「そうですね、硬い文章です
何となく、理子ちゃんの文章と比べると
良く分りますよね」
「そうだね~」
南野桜乃の、頭を撫で続ける鈴木華教諭
「華先生、文芸部がお手伝いしている図書館の広報活動ですが、
メールでも希望の書籍やDVDを募りましたら
アンケート用紙なんかと、比べものにならない位に
メールが来ました」
「さすが、文芸美部長南野桜乃
作戦勝ちだね、えらいえらい」
「有難う御座います
ところで華先生、内藤先生何処にいらっしゃいますか?」
「すぐ戻って来ると思うよ、ほら机に携帯あるでしょ」
「じゃあ、私は内藤先生に読んで貰いに行きます
それでは」
お辞儀をして、職員室を後にする南野桜乃
手を振って見送る鈴木華教諭
内藤正義教諭は、廊下で南野桜乃と目が合います
(あれは文芸部の部長か)
「内藤先生、どうぞ読んで見てください」
南野桜乃は、駆け寄り恋愛短編小説三部作を渡します
「前に言ってた小説か」
「そうです、どうぞお読みください」
さらっと、小説を流し読みをする内藤教諭
「良いんじゃないか、自由に書いていいのが文学作品だからな
例えば一人でも、読んで共感してくれたのなら」
「内藤先生、上手い事言ったと思ったでしょ
まあ、良いですけど」
「あまのじゃくだな南野
貰っておくよ、次も頑張りなさい」
「はい、楽しみにしてください」
「楽しみにして待ってるよ」
学年主任緒方綾子は、加藤良子教頭と一緒に
佐藤舞教諭の模擬授業を見ています
たまたま、荷物で手が塞がっている
佐藤教諭に袋を差し出した時に
加藤教頭に、1年の学年主任でしょと言われ強制的に連行され、
一緒に佐藤教諭の授業を見ています
(佐藤先生、授業は普通かな話は面白くないけど)
加藤良子教頭は、学年主任緒方綾子教諭に意見を求める為に
声をかけますが、反応が有りません
すぐに緒方教諭は気が付きました
(あまりにも、退屈な授業で寝てたみたい
二人が見てる訳だから、意見を求められてる状況か
何か言わなきゃ)
「そうですね、生徒に対して
何か詳しい資料を、見せてあげては良いのでは
説明するだけなら、出来てますよね加藤教頭」
「そうね、説明だけならね
でも工夫が必要ね
生徒が飽きてしまうから」
「生徒たちに、質問したり答えて貰えば
良いんですよね加藤教頭」
「佐藤先生、そういう方向で授業を進めましょう
受け身だけではなく、生徒たちには自発的に回答して貰ったりね
しかし、与えるだけではいけませんよ
少しずつで良いですから、基本は教科書の範囲は必ず
授業で消化してください」
「はい加藤教頭、今日は緒方主任も来ていただき
有難うございました」
佐藤教諭は頭を下げます
「どういたしまして、加藤教頭
そろそろお茶に、行きましょか」
「そうですね、佐藤先生が用意出来たら
行きましょうか」
加藤教頭の話を聞き
佐藤教諭は急いで、鞄に教科書などを詰め込んでいます
その姿を見る、学年主任緒方綾子教諭
(佐藤先生、そんなにお茶しに行きたいのかな)
「佐藤先生が、用意出来たので行きましょう
緒方主任」
浦鏡は、ボックスから図書館へのアンケート用紙を回収しました
(少ないな、5枚か)
勿論、自分でもアンケート用紙に希望書籍を書いています
そんな浦鏡の、耳を触る桜カレン
(また、愛子さんか)
浦鏡は後に振り向くと、桜カレンが耳を触っていました
「カレンさん?」
「浦君、耳を触られ反射的に愛子ちゃんだと判断するとは
パブロフの犬と同じ反応だね」
「そうかもしれないですね、無意識に判断してしまいましたよ」
「そういえば、文芸部のミニドラマ見たよ
でもあれ、部長さんの小説のアピ-ルがほとんだだったよね
でさ浦君何で、ずっと顔が正面向いて無かったけどなんで」
「演出だよ、よく見てるねカレンさん」
(まあ、桜乃部長の演出だからな)
「へ~、そういえばさ浦君、蹴られてたよね
マジで痛そうだったよ
ちょっと失礼」
南野桜乃は、ワイシャツをずらし
浦鏡のお腹を見て触ってみます
浦鏡は若干、顔をしかめます
「特に跡も無いね、でも痛かったんだね
顔しかめてるし」
(条件反射みたいなものかな)
「少しかな、スタントマン使ってないからね」
「そんな事で、いちいちスタントマン使わないわよ
まあ良いわ、怪我も無くて安心したわ」
「有難う御座います、カレンさん」
「クラス委員として当然の事だから
体に気をつけなさいね浦君」
桜カレンは、浦鏡の耳を触り、去って行きました
お疲れ様です、10話まで完成です
それでは失礼いたします