表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が神様になるまでの46の嘘。  作者: mr.iwasi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

17.親友

ラボの影。漆黒のアビスを纏った俺は、龍馬が栞を追い詰める姿を黙って見ていた。

 龍馬は悦に浸り、すべてを語った。46回のループ、栞のカードに仕込んだブレーカー、そして玉木の死が「素材」であるという事実。


「……全部、繋がっちまったな」


俺の脳内にある『アビス』の回路が、その会話を鮮明にデジタル録音していく。

 龍馬は俺を「心のない人形」だと思っている。だが、彼は忘れている。俺の心は壊れても、玉木とカードで遊んだあの日の「遊び心」だけは、バグのように消えずに残っていることを。


「……悪いな、龍馬。俺は、あんたの最高傑作(人形)にはなりきれそうにない」


俺は震える指で、アビスの通信機能を開いた。

 送り先は一つ。

 今まさに、死地へと向かっている親友のデバイス。


【玉木隼人の視点:暴かれる世界】

アダバイスの触手が街を裂く轟音の中、俺のスマートフォンが激しく振動した。

 送られてきたのは、一通の音声ファイル。


『――君がここに来るまで、実に46回も待たせてもらったよ』

『彼には死んでもらう。それが、この世界の素材を完成させるための最後の一片だからね』


スピーカーから流れる龍馬の冷酷な声。そして、栞が泣き叫ぶ声。

 俺の頭の中で、バラバラだったパズルが完成していく。


「……そうか。そうだったのか、栞。お前は……一人で、何十回も……」


俺が死ぬたびに、彼女がどれだけの地獄を見てきたのか。

 俺が「英雄」として死ぬことが、龍馬の描いたシナリオ通りだったということ。

 身体の芯から、これまでにない激しい「怒り」と「熱」が込み上げてきた。


【玉木隼人の視点:真実の覚醒】

「……ふざけんなよ。俺の命も、栞の涙も……お前の実験道具じゃねえんだよ!!」


怒りに呼応するように、手元のレッドドラグーンのカードが、見たこともない漆黒と紅蓮の混じった色に染まり始めた。

 孝太朗が送ってくれた「真実」という名のノイズが、龍馬の管理システムを内側から破壊していく。


「孝太朗……届いたぜ。ありがとな。……あとは、俺が全部ぶっ壊す」


【未来の栞の視点:絶望の中の光】

力を失い、床に這いつくばっていた私の耳に、遠くから凄まじい咆哮が聞こえた。

 それは一周目のレッドドラグーンとも、二周目の黄金の炎とも違う。

 すべてを拒絶し、運命を焼き尽くすような**「反逆の炎」**。


「玉木君……?」


「無駄だ、栞君。彼のカードも、私のシステム下にある。怒ったところで結末は変わらな――」


余裕の表情を浮かべていた龍馬の言葉が止まる。

 ラボのモニターが次々と爆発し、エラーメッセージが真っ赤に染まった。

 

 【WARNING: SYSTEM OVERWRITE BY SUBJECT: TAMAKI HAYATO】


龍馬が落としたはずのブレーカーを、玉木の「意志」が力ずくでこじ開けようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ