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君が神様になるまでの46の嘘。  作者: mr.iwasi


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16/20

16.計画通りのシナリオ

46回目の世界。

 私は、ロストナイトが始まる直前のラボにいた。

 これまでの経験から、龍馬がどのタイミングでアダバイスを呼び出し、どの回路で孝太朗君を制御しているかはすべて把握している。


「……後藤龍馬。これで、終わりよ」


私は銀色の瞳を光らせ、サムライクロックを構えた。

 これさえあれば、彼の陰謀が成就する前に時間を止め、すべての「起点」を消去できる。


【後藤龍馬の視点:支配者の嘲笑】

龍馬は、迫りくる栞を前にしても、椅子に深く腰掛けたまま動じなかった。

 その手には、古びた、しかし精密な小型のリモコンが握られている。


「小瀬栞。……いや、『未来から来た観測者』と呼ぶべきかな。君がここに来るまで、実に46回も待たせてもらったよ」


「……何ですって?」


私の動きが止まる。龍馬の口から出た「46回」という数字。

 それは、私しか知り得ないはずの地獄の回数だ。


「君は勘違いしている。プロトカードという技術は、私が作り出したものだ。……そして、君が頼り切っているその『サムライクロック』。……そのタイムリープ機能の根幹に、私が『ブレーカー』を仕込んでいないとでも思ったのか?」


【未来の栞の視点:沈黙する時計】

「嘘よ。……そんなはず……!」


「試してみるがいい。……スイッチ、オフ」


龍馬が親指でリモコンを押し込んだ。

 カチッ、という小さな音が、ラボの静寂に響く。


その瞬間、私の全身を支えていた銀色の光が、電球が切れるように唐突に消失した。

 構えていたサムライクロックのカードが、どす黒いすすのような色に変わり、ただの紙切れとなって床に落ちる。


「あ……がはっ……!!」


カードを通じて供給されていた膨大な魔力が逆流し、私は膝をついた。

 身体が重い。タイムリープの代償でボロボロになっていた肉体が、カードの補助を失い、一気に悲鳴を上げ始める。


【後藤龍馬の視点:絶望の宣告】

龍馬はゆっくりと立ち上がり、私を見下ろした。


「君が何度も過去に戻り、私の計画を邪魔しようとするたびに、私はその『データ』を収集していたのだよ。君のリープは、私の研究を加速させるための最高級のシミュレーションだったわけだ」


彼は私の足元に落ちたサムライクロックを、無造作に踏みつけた。


「感謝するよ、栞君。おかげでアダバイスの完全な制御法が見つかった。……もう、時間を巻き戻すことはできない。ブレーカーは落とした。……君の46回にわたる足掻きは、すべて私の手のひらの上で踊らされていたに過ぎないんだ」


【未来の栞の視点:暗転】

「……そんな……。じゃあ、玉木君は……」


「あぁ。彼には死んでもらう。それが、この世界の『素材』を完成させるための最後の一片だからね」


窓の外。

 46回目、いや、これまでで最も巨大なロストナイトの亀裂が空を裂く。

 カードを失い、力を失った私に、もうそれを止める術はない。


龍馬の冷たい笑い声と、遠くで響く玉木君の叫び声。

 私は、自分が救おうとしていた世界が、実は龍馬が仕掛けた巨大な「罠」だったことを、最悪のタイミングで知ることになった。

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