84/84
84
揺すられて目が覚めた。座ったまま寝ていた。右肩を軽く揺すられている。まだ瞼は重く、首を起こす気にもならないくらい眠かった。それでも無言で何度も右肩を揺すってくる。私は右手で揺すっている相手の手をつかもうとしたが、右手は自分の肩にあたった。そして、また、何度も右肩を揺すられた。
私は左腕を枕にしていた。左腕は軽くしびれている。首を上げ、身体を起こした。そして、右側を見ると志度が立って笑っていた。私は思わずにやけてしまった。志度が右肩をポンポンと軽く叩いたから、首を右にひねると志度の人差し指があたった。そのあと志度の笑い声が聞こえた。
窓の外は夜明け前の青さだった。雪はやんでいて、すでに歩道を歩いている人が何人かいた。
「おはよう」
志度の声だ。
「おはよう」
私は初めて志度に起こしてもらった。私は立ち上がり、ドリンクバーに行った。そして冷たい烏龍茶を取り、席に戻った。
「なあ」
「なに?」
「ずっと一緒にいれるな」
志度はそう言って、微笑んでた。志度の表情を見て、私は生きるってこういうことなんだと思った。




