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仕事なのに、一睡も出来ずに朝を迎えてしまった。志度が死んですでに10年近く月日は流れていた。生活するために書店員になり、よくわからない医学書や理工書をせっせと棚に並べて、疲れるだけの日々だ。
だけど、仕事は行かなくちゃ。
ベッドから起き上がった。身体はずっしりと重たく感じた。今日も大量に入荷してくる本をせっせと、陳列しなくちゃいけないんだよ。私は。だから頑張って――。
アパートを出て、歩き始めた。
朝から日差しが強く感じた。今日もきっと暑くなりそうだ。私はiPhoneをいじりながら、ゆっくりと歩いていた。iPhoneがバイブレーションし、LINEの通知が来た。
『今日も一緒にお昼食べよう。そっち行く予定だから』
優からだ。
『いいよ。お昼のとき、声かけるね』
私は返信しながら、いつもの路地を歩いていた。昨日、死んでもいいやって思ったけど、なぜか優は私のことを必要としてくれている。
――なんでだろう。
右側から鈍い衝撃を受け、私は左側へ飛んだ。




