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学校が始まり、私は通学を始めた。クラスに入ると幼い同級生達が楽しそうにグループを作って会話をしていた。私が教室に入ると、江利が声を掛けてきた。私は江利に自分の席の場所を教えてもらった。自分の席に座ると、江利は前の席に座った。
「日奈子、大丈夫?」と江利は心配そうな表情でそう言った。
「うん。大丈夫だよ」
私はそう江利に返事をした。江利はクラスで唯一、私と志度が付き合っていたことを知っている。だから、志度が死んだことが私にとってどんなことであったのかもわかっているはずだ。
「私より、江利は元気だった?」
「うん、私はこの通り、元気だよ。結構バイトしたから疲れたんだけどね」
「そうだったんだ。年末年始だからコンビニも忙しかったでしょ?」
「うん、大晦日もシフト出たんだけど、大晦日はめっちゃ暇だったさ。最後の3時間くらい立ってるだけだったから、むしろ辛かったわ」
江利はそう言って笑った。
「そっか、みんな家で紅白観て、おせちでも食べてる感じだよねきっと」
「そうそう。ホント、外に出ないんだね。その代わり2日からものすごく忙しかったよ。マジで時給と割に合わなかったわ」
「どれくらい忙しかったの?」
「目回るくらい」
「マジで。大変だったね」
「うん。しかもさ、うちの店、今すごい人手不足なんだよね。だから、高校生なのに大人がやる仕事させられたりとかさ、結構めんどいのさ」
「そうなんだ」
所詮、高校生がやらされる仕事なんてたかが知れてるだろと一瞬、思ったけど、ぐっと気持ちを抑え込んだ。
「ねえ、日奈子もやらない? バイト」
「え、キツそうじゃん」
「だけど、すぐに決まるよ。お小遣い欲しかったら言ってよ。私がオーナーに言うから」
江利がそう言ったとき、ちょうど先生が教室に入ってきた。江利は話を止めて、自分の席に戻った。




