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48時間後に君は死ぬ  作者: 蜃気羊


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 どこにも行くあてがなくて、結局、国道沿いのファミレスに入った。もう、明日の学校なんてどうでもよかった。どうせ、寝たら元の25歳に戻ってしまうんだから、17歳の私の生活なんてどうでもいい。

 とりあえずドリンクバーを頼み、志度はコーヒー、私はカフェオレを飲んだ。窓側の席に座り、トラックとタクシーしかほぼ通っていない国道を眺めていた。雪は本格的に降り始めていた。


「私、眠れないんだよね」

「マジで。もしかして不眠症?」

「そう。結構前から」

「病院行ったほうがいいよ」

「もう、とっくに行ってるよ。眠剤出されてる」

「そうなんだ」

「だから、今日はさ、私が眠らないように監視して」

「いや、逆だろ。それ」と志度は笑いながらそう言った。

 

「いいの。今夜だけでいいから」

「ってことは、オールか」

「そうだね」私はニコッとしてそう言った。

「こういうとき、酒欲しくなるよな」

「飲めるの?じゃあ、飲もうよ。一杯おごって」

「なに飲む?」

「ハイボール」

「やるな」

 志度はそう言って、呼び出しボタンを押した。


 ハイボールが入ったグラスが出された。私はグラスが来るまで、未成年だということをすっかり忘れていた。店員は疑いもせず、そのまま酒を出してくれた。目の前にグラスがもうあるんだから、すでに私達の責任ではないと思った。

 志度とグラスを合せた。グラス同士がゆるく触れた音がした。志度は慣れたようにハイボールを飲んでいた。私もハイボールを口に含んだ。安いウイスキーの苦味と炭酸を口の中で感じた。ハイボールを飲み込むと食道がアルコールで熱くなるのを感じた。

「お酒、一緒に飲むの初めてだね」と私はそう言ったあと、もう一口ハイボールを飲んだ。

「そうだな。日奈子と飲むと思わなかった」

「他の人とは飲んでたの?」

「まあね。俺もそういうお年頃だから」

 志度のグラスはもう残りわずかになっていた。


「ピッチ早くない?」

「こんなもんでしょ」

 志度はグラスを飲み干して、呼び出しボタンを押した。 

「それより、俺は日奈子のことが心配だよ」

「私の心配なんてしてくれるの?」

「当たり前だろ。寝れないのはヤバいよな」

 そう志度が言ったとき、店員が来た。志度はまたハイボールを頼んだ。

「もう、慣れちゃった。調子いいときは普通に寝れるし、寝れなくても、眠剤飲めば、寝れるときもあるから、まだマシなほうだよ。私の不眠は」

「そうなんだ。今まで知らなくて悪かった」

「いや、志度が謝ることじゃないよ。私、初めて志度に言ったんだから」

「俺さ、もう少し、日奈子のこと知る努力したほうがいいと思うんだ」

「十分してるでしょ」と私は笑ってそう言い返した。

「いや、してなかった。もっと一緒にいる努力とか、そういうことすればよかったって思う時があるんだ」と志度がそう言ったあと、おかわりのハイボールを店員が運んできた。


「なあ、日奈子。俺がもし、あの時、死んでたらどうなってたんだろうな」

 志度はそう言って、ハイボールを口づけた。過去のことがフラッシュバックした。何か満たされないあの寂しさが胸に溢れるのを感じた。 

「――寂しいに決まってるでしょ。それに苦しいよ」

「悪い。変なこと言ったな」

「志度に死なれたら困るよ、私。何も面白くない20代を過ごすことになるんだよ。目標もなくね」


 私は泣きそうになるのをごまかすためにハイボールをまた一口飲んだ。 

「なあ、日奈子」

「――なに」

 私がそう言うと志度は両手で私の左手を握った。


「いいか、よく聞けよ。ずっと一緒にいよう。どんなアクシデントも今日みたいに乗り越えよう。そして、二人で幸せを掴もう。思いのままに」

 志度の目が少し潤んでいるのがわかった。私は残された右手で志度の手をさらに握った。我慢できなくなった涙が一粒流れ出した。そして次々と涙が溢れ、頬を伝った。







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