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私は占いの店に行ったあと、一人でサッポロファクトリーに寄った。アトリウムの吹き抜けには今日もクリスマスツリーが輝いていた。昨日、志度と一緒に眺めた光景、そのままだった。
当たり前だ。クリスマスが終わるまで、この巨大なクリスマスツリーは撤去されない。そんなことはわかっている。
私はそのまま、エスカレーターを登り、三階からアトリウムを眺めることにした。適当なベンチに座り、アトリウムのクリスマスツリーをぼんやりと眺めることにした。昨日のことを思い出した。そして、25歳の私に戻りたくないと思った。もし、戻ったとしても25歳の志度が存在している保証はどこにもない。
――だったら、今できることをするしかない。
私は立ち上がり、地下鉄の駅に戻ることにした。駅を出て、私は走り始めた。雪はしっかりと降りつもっていて、雪道は朝のようにツルツルと滑らなくなっていた。志度のバイトが終わる前に志度のコンビニに行くことにした。
志度が働いているコンビニの前に着いた。携帯で時計を見たら21時57分だった。窓越しにコンビニを覗くと、志度はまだレジにいて、もうひとりの店員と話していた。私は店内に入った。志度は話に夢中で、私が店内に入ったことに気づかなかった。私はホットドリンクコーナーに行き、ココアを手にとった。ちょうど、もうひとりの店員がレジを出た。私は迷わずにレジに行った。
「あれ、日奈子じゃん」
「また会いたくて来ちゃった」
私はココアを志度に渡した。志度がココアのバーコードを読み取り、レジの操作をした。私は財布を取り出し、120円を志度に渡した。
「俺も会いたかったよ。やるな、日奈子」
「志度、どうしても話したいことがあるの」
「なんだよそれ。死ぬわけじゃないんだから」と志度がそう言ったあと、私は少しムスッとした表情を作った。
「マジなやつ」
「――オッケー、わかった。日奈子、雑誌コーナーで待ってて。すぐ準備するから」と志度はそう言って、お釣りをくれた。
私は志度に言われたとおり、雑誌コーナーでファッション誌を読んでいた。コートのポケットにココアを入れた。ポケットからココアの温かさを感じた。少ししてから、志度がやってきた。志度の気配に気づき、私は志度の方を振り返った。志度は呆気にとられている表情をしていた。私も思わず、呆気にとられた。
「――おまたせ」
志度はようやっとそう言った。
「ううん、大丈夫。――どうしたの?」
「いや、大丈夫。外出るか」と志度は出口の方を指差してそう言った。




