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48時間後に君は死ぬ  作者: 蜃気羊


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 志度に告白されたのは高校一年生のときの夏だった。学校帰り、成り行きでそのまま二人で地下鉄の駅まで歩くことになった。志度とは中学校も一緒だった。だから、面識が無いわけではなかった。


 だけど、別に特別、仲がいいというわけでもなかった。同じクラスだったということ、そのとき、席が隣になったことがあり、給食のときや授業中にペアになったり、一緒に日直をやったりしたことはあった。

 志度の話は楽しかったし、ノリも意外に合った。だけど、それ以降、接点もあまりなかったし、友達のグループも違えば、共通の友達もいなかった。だから、このとき声をかけられたのは意外だった。


 そして、地下鉄の駅までは行かずに近くの公園のベンチに座って、話すことになった。自販機で缶コーラを二つ買って、ベンチに座った。

 志度と乾杯をして、コーラを一口飲んだ。炭酸が強くて、耳の奥が少し痛かった。

 目の前に見えるだだっ広い芝生には人気があまりなく、私と志度だけぽつんと二人っきりで残されたような世界観に思えて、妙に緊張した。時折、涼しい風が吹き、風が吹くたびに芝は風上になびいていた。


「なあ」

 志度はそう言って沈黙を破った。

「なに?」

「俺らさ、同じ高校に入学したのって、なんか妙な縁な気がするんだ」

「そう? 桜子だって同じだよ?」

「そうだけどさ、日奈子と桜子みたいに約束して、一緒の高校に入ったわけではないじゃん」

「そうだね」

「俺、日奈子のことずっと気になってたんだ。だけど、全然、今まで接点なくてさ、どうしようって思ってたんだ」

「――え。なんで私なの?」

「なんかわからないけど、ずっと気になってたんだよ。――どうしてだろうな」

 さっと強い風が吹いた。木々が揺れて、葉っぱが擦れる音がする。私は返す言葉が見つからず、しばらくの間、二人とも黙ったままでいた。

「――ねえ、どうして?」

 私は、ドキドキしながらようやく口を開いた。


「――俺さ、気づいたんだ。日奈子のことが好きだってことに」

「えっ」

「だから、俺と付き合ってください」

 志度は右手を私に差し出して、握手を求める姿勢をしていた。

 

 私は突然のことに戸惑った。これまで全く志度のことを恋愛対象として意識していなかった。というよりもまだ、私は高校一年生にもなって、恋愛をしようというスイッチが全く入っていなかった。

 だから、誰かと付き合いたいとか、デートしてみたいとか、そういう考え方の回路がいまいち欠けてた。だから、自分が恋愛しているのを想像できなかったし、誰かから思いを寄せられているとも思っていなかった。しかも、接点もあまりなかった志度にそう言われたから、余計に戸惑った。 

 私は右手で志度の右手を握った。こういうとき、どう言えばいいのかわからないけど、とりあえずいいよって言えばいいのかと頭の中で考えた。そして、一度大きく息を吸った。


「いいよ」

 私は小さな声でそう言った。声はなぜか少しかすれた。

「よっしゃ。ありがとう」

 これまで硬かった志度の表情が一気に笑顔になり、見るからに喜びを爆発させていた。こんなに私と付き合うって事実でテンションあげてくれるんだと、私は実感が持てないままそう思った。





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