14
5年前。
志度と一緒に手すりにもたれて、アトリウムが一望できる2階の踊り場から大きなクリスマスツリーを眺めていた。クリスマスツリーは地下から3階くらいまでを貫いている。クリスマス色の電飾が木をぐるぐると覆っていて、それらの光の反射で赤やゴールドの大きなオーナメントがファンタジックに反射していた。
ドーム状になっている天井ガラスの中央から、青白い電飾の帯が左右に広がって吊るされている。アトリウムの中は青白く、ツリーのカラフルな電飾が混ざり合い、淡い空間になっていた。
「ねえ、写真撮ろうよ」
私はそう言って、携帯をバッグから取り出した。
「いいね」
志度は笑顔でそう言った。私は携帯のカメラを起動した。右手で志度の腰を掴み、左腕をいっぱい伸ばした。そして、志度の身体に首をもたれて、志度と私とクリスマスツリーが入るように自撮りした。
自撮りし終わったあと、手すりの後ろにあるベンチに座った。志度はベンチに座っている間も私の左手をつないでいた。
「なあ、日奈子」
「なに?」
「日奈子って最高だな」
「最高ってどういう意味?」
「最高って。――好きだってことだよ」
「――私も。最高に好きだよ」
「――照れるな」
フッと笑ったあと志度はそう言った。
「照れないでよ。好きだよ。本当に」
「なあ、日奈子」
「なに」と私が言ったとき、志度は私にキスをした。




