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8 Stranger of me
「でさでさ〜そいつがね〜」
僕をストーカーしながら聞いたことがあるかどうかのおぼろげな思い出話を語ってきたやつの名前は氷室といった。僕が覚えていないだけで僕と面識があったのだろうか。まだわからないがひとまず知り合いということで自己解決しておこう。
「今日はなんでこんなとこにいたの?」
「少し買い物に...」
どこかぎこちないやり取りの中に少しの嘘を混ぜる。ライターであるということを大っぴらに言いたくない、というと言い過ぎだがさっきであったという認識の人に自分の職業をペラペラと話すようなことは避けたいのだ。
「あっ、そうだ!LINE交換しない?」
内心面倒だと思った。
(こいつ距離の詰め方が尋常じゃない)
だがここで拒否するというコミュニケーションを取れない自分の能力に絶望しつつも変わらない生活になにか一つ味変を加えても面白いのでは無いかと思った。LINEを交換することも不思議なことではない。だって知り合いなんだから。そうやって自分の失敗の言い訳を心のなかで並べ終わったところで氷室は用事があると言い出しそこから反対側に走っていった。
(用事があるなら付いてこなければいいのに...)
名前とは正反対の熱い性格だと思った。




