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第四話

 剣聖。


 それは、剣を極めし者の頂点を示した言葉であり、称号である。


 それが嘘偽りではないことをロイは証明しようとしていた。


 




 「剣聖ですか...邪魔者が1人増えたようですね。しかし、グランマスターが顕現している好機。逃すわけにはいきません。」


 そう言うとケイズは詠唱を始める。


 「汝今我の問いに応えたまえ。その漆黒の翼は天さえ黒く染め上げる。」


 そこに現れたのは。


 ダークグリフォンだった。


 本来神聖な聖獣であるグリフォンだが、その容姿は黒い翼に赤い爪。


 間違いなく魔の手に堕ちていると言える。


 「さあ、魔剣のガキを葬るのです!」


 グリフォンの爪がライトに牙を向く。


 だが、その爪はライトには届かない。


 キン!!


 その剣はまるで閃光の速さだった。


 古の黒きグリフォンは血飛沫を上げる。


 「グオオオオオォ!」


 ライトには今何が起きていたのかさえわからなかった。


 これが剣を極めし者の頂点剣聖の力だと言うのか?


 信じられないほど強い。


 そうライトに思わせたのだった。


 「小癪なー!」


 ケイズは思い通りに行かない展開に苛立ち、今度は魔力切れのアリスに襲いかかる。


 「ブラックボルトーォォ!!!」


 だが、その黒い稲光を纏った弾丸を剣聖は真っ二つに切り裂く。


 「アリスには指一本触れさせねえぜ!?」


 しかし、ケイズも上位魔族。


 「フハハ。これはどうかな?」


 グリフォンがライトに飛び掛かる。


 それと同時に。


 「ブラックフレイム!!」


 黒炎がアリスを襲う。


 だが、そんなもの剣聖の力の前にはなんて事なかった。


 あっという間に黒炎を切り裂き、グリフォンは十字に切り裂かれていた。


 「見えなかった...」


 これが、アリスの保護者代理の力。


 声にもならないそれはその力の片鱗を見せただけでしかない剣聖への羨望か。


 アリスは思う。


 「私も...あんな風に強くなりたい!!」


 瞬間。


 アリスが白銀の光に包まれる。


 ヴァルキリーが心なしか笑いかけるように見えた。


 勝てる。


 ライトはケイズにもしかしたら同情するほどだったかもしれない。


 しかし、戦局は動く。


 「何を手こずっている。ケイズ。魔剣を取り返すとそう豪語していたではないか?」


 「その声は!?ライオス様。このような醜態を晒してしまい、誠に不甲斐ないばかりでございます。ただいま、剣聖と交戦中であります。もうしばしお待ちを...」


 「ふん。剣聖か。奴はお前の手には負えん。仕方ない。我も出向こう。」


 そう言うと天に黒く大きな渦ができ、降臨したのは。


 紛う事なき、四天王ライオスだった。


 ケイズがどこか畏怖してるように見える。


 「あれが、ロイさんと痛み分けたという四天王ライオス...」


 アリスは息を呑む。


 「何てことだ!いくら剣聖様と言えど魔王軍四天王は流石に分が悪いか...?」


 だが、剣聖は笑っていた。


 「ライオスか...あの時の決着つけようじゃねえか?」


 「ふん。貴様に遅れを取ることなどあり得ん。あの時の私ではないぞ!」


 瞬間達人同士の猛攻が始まった。


 アリスも湧き上がるその力を振るおうとする。


 「アイシクルランス!!」


 ケイズにそれの一部が命中する。


 「この程度!ライオス様の前で恥がかけるか!!」


 「ブラックボルト!!」


 「ホワイトシールド!!」


 そして、すぐさまアリスは指示を飛ばす。


 「ライト!先生方にこの状況を伝えに行きなさい!私が何とか持ち堪えます!」


 この学校の講師は一流であり、元々名を馳せた冒険者だった者もいる。


 現在の緊急事態を知らせるべきとアリスは考えた。


 「クッ。わかった。死ぬなよ!」


 ライトはすぐさま自分の分をわきまえ、使いに走ったのだった。


 「さあ。ケイズとやら?ここからが本番よ。」


 「中々生意気ですね。いいでしょう。私の本気を見せて差し上げます。」


 そう言うと、デスソードを天に構える。


 その瞬間。


 天から舞い降りる黒い光にその魔剣は包まれた。


 「これで最後です!ハアアアア!!!」


 アリスはホワイトシールドを張る。


 しかし、あっという間にその障壁をケイズは叩き斬り、アリスの目前へと迫る。


 だが、アリスの手前の地面から光が放出される。


 それは、ケイズの目を眩ました。


 「グオッ!?」


 「今ね!」


 アリスはとっておきをぶっ放す。


 「ライトニングキャノン!!」


 その光線はケイズの胸を貫くのだった。






 一方、ロイとライオスは常人には目で追う事ができないほどのスピードで攻防を繰り広げていた。


 「剣聖!?腕を上げたか?」


 忌々しくロイを睨むライオス。


 ロイは意に介さず、言う。


 「お前が弱くなったんじゃねえのか?」


 「ハハハハ。面白いことを言う。だが、忘れたか?私がデスソードを握る意味が?」


 アリスがデスソードを回収しようとした矢先、ライオスの元へと魔剣は飛んでいってしまう。


 まるで本当の持ち主のもとに帰ろうとするように。


 「しくじりましたわ!」


 アリスが悔しそうにする。


 だが、ロイは焦らない。


 「ああ、本調子のお前を倒してこそ意味がある。アリス!お前は手を出すな。」


 「何を言ってるいるのです!?」


 「これは漢の決闘だ。たまには俺の我儘を聞いてくれ。」


 ロイの真剣な目に思わずアリスは気圧された。


 「...わかりましたわ。好きになさい。」


 瞬間、ロイの闘気が練り上がる。


 「それで良いのだ。面白くなってきたぞ。」


 ライオスも一騎打ちの提案に満足そうにしている。


 「貴様ごときに引き分けたとかいう噂もここで殺すことで終わりにしてやる!」


 ライオスは一気に常軌を逸したスピードでロイに詰め寄る。


 剣聖も地面が割れるほどの初動で真っ向から向かう。


 ズン!


 周囲の空気が切り裂かれるように衝撃が広がる。


 「まるで目で追えない...」


 アリスは悔しさを噛み殺す。


 達人同士の攻防はそれは熾烈なものだった。


 「ウオオオオオ!!」


 ロイは鋭い剣筋をライオスに向ける。


 四天王も負けじと。


 「ハアアアア!!」


 その拮抗した勝負を先にロイが動かす。


 「オラア!」


 ロイの剣が確かにライオスを捉えた。


 「グハッ!!」


 ライオスが口から血を流す。


 そうしているうちに剣聖側に応援が駆けつける。


 「あそこです!」


 ライトが指し示す方向には互いに闘志を煮え滾らす達人たちがいた。


 「剣聖様!」


 そこに魔道講師レムたちが駆け寄る。


 「クッ!貴様との勝負またも引き延ばすことになりそうだな。」


 「逃しやしないぜ!」


 しかし、黒い渦がまたしてもライオスのそばに立ち込め、伸びてきた手に四天王は引っ張られた。


 「剣聖よ。次はない。」


 「こっちの台詞だ。」


 2人はそう言い放ち、一つの難が去るのだった。


 




 こうして、アリスの波乱の学校生活の幕が開けるのだった。


 アリスは今回の功績で学年で最上位の成績を収めた。


 アリスはCクラスに配属されることになる。


 教室に入ると様々な声が聞こえてくる。


 「おい、見ろよ、アリス様だぜ?」


 「ええ、氷の微笑、皮肉らしいけど何かカッコよくない?」


 「しかも剣聖様とも知り合いで、大魔導師レイの弟子だとか。」


 周囲の冷たかった視線が一部羨望と尊敬の眼差しに変わっていた。


 そして、担任の教師が入ってくる。

 

 「皆さん。席についてー。」


 そこにいた思いも寄らない人物にアリスは驚きの目を隠せなかった。


 「こんにちは!皆さん。今日からこのクラスの担任になる治癒魔導師のレイです!よろしくぅー!」


 その元気の良い挨拶にアリスは呆気に取られているのだった。

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