表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

第三話

 アリスは幼馴染のライトとの日々を思い出していた。

 

 思えばライトは周囲とは違っていて、私にも分け隔てなく接してくれていたなあと。


 「アリス。君がこの学園に入学していただなんてびっくりだよ。こんな形で再開するとは。」


 「それは私も同じよ。ライト。でもこの勝負負けられないわ。」


 そう、アリスにはあの大魔導師レイから教わったという自負がある。


 故にこの勝負アリスにとって本気で行く以外の選択肢はない。


 「そうか...ならこっちも遠慮なく行かせてもらう!!」


 ライトは詠唱をする。


 「火の精霊の加護を今我受けたまう。ファイアーボール!!」


 アリスも続いて。


 「我を守りたまえ!ホワイトシールド!」


 少女は火球を防いで見せた。


 しかし、普通のファイアーボールよりもやはり手応えがある。


 そうアリスは思った。


 「今のはほんの小手調べさ。さあこれはどうかな!?」


 「こちらもそれは同じかしら!!」


 2人の勝負の行方は。






 かくいう剣聖はアリスの様子がどうも気になり、学園に潜入し、実技テストを遠目から見ているのだった。


 「来ちゃったな...」


 ロイは親バカなのかもしれない。


 「フレイムアロー!!」


 どうやら、少年はアリスに炎の矢を向けた。


 んん。2人とも本気の雰囲気が見て取れるな。


 「アイシクルランス!!」


 飛び道具には飛び道具で応戦か。


 なかなかに見てて面白い。


 アリスの様子を見て取ると見事な戦いぶりだ。


 これは心配し過ぎかな。


 そう思い、帰ろうとすると木陰に人影のようなものがあった。


 「何か怪しいが、考え過ぎか?」


 しかし、それは杞憂ではなかったのだった。


 




 アリスと少年は息を切らしていた。


 「ハア...ハア...」


 戦いは膠着している。


 「アリス...君強くなったんだね。これでも僕もこの学園では期待されてる方らしいんだけどな。」


 「まあ、ならあなたに勝てば箔がつくってものね!」


 アリスはニヤリと笑みを浮かべるとすぐさま攻勢に移る。


 「汝今我の問いに応えたまえ。麗しき戦姫ヴァルキリーよ!力を貸したまん!」


 アリスの後ろに戦姫ヴァルキリーの姿が見えた気がした。


 そして、白銀の少女は光に包まれる。


 「何て神々しいの!?」


 「あれが氷の微笑の実力なのか!?」


 「ふん。あんなものライト様なら!!」


 周囲の声は様々だった。


 「なるほど。それが君の切り札か。一か八かやるしかないね。」


 そう言うとライトは構える。


 「剣神カミスよ!今我の求めに応じ、その力を貸したまえ!」


 そう言うと、天から一振りの剣がライトの前に刺さった。


 両者切り札を切り、最後に立っているのはどちらなのか?


 しかし、この勝負に思わぬ横槍を入れられることになる。


 「この時を待っていました。さあ、我々のもとに本来あるべきその魔剣グランマスターお返しいただきます。」


 どこからともない声が聞こえて来た。

 

 周囲もざわめいている。


 まさか...


 アリスはヒンヤリ汗を浮かべる。


 そのまさかだった。


 「皆さん!!死にたくなければ逃げなさい。魔族よ!!」


 アリスの声がこだました。


 そう、ライトが呼び寄せたその剣は魔族に伝わる古の宝具グランマスターだったのだ。


 「なんて事だ...僕のせいで。」


 ライトは唖然とする。


 「ライト!」


 思わずアリスの声に背筋がシャキッとなるライト。


 「しょうがないから一緒に闘ってあげても良くってよ。」


 その声にライトは何とか執りなす。


 「ああ、今はこいつを何とかするのが先だな。」


 そこに現れたのは、やはり黒い目に赤い瞳孔。


 正真正銘の魔族だった。


 一目散に逃げる生徒たち。


 人知れず避難誘導に徹していたのは剣聖だった。


 「嫌な予感当たっちまったな。」


 アリスには時間を稼いでもらわなくてはならない。


 生徒たちの避難が終われば目一杯剣聖の力を振るってやるからな。


 そう思って託したのだった。


 




 アリスは魔族に啖呵を切る。


 「真剣勝負に水を挿すなんて無粋ですわね。」


 白銀の少女の目は限りなく鋭くなっていた。


 ライトは少し臆しながらも必死に戦おうとしている。


 「フフフフフ。それは申し訳ない。ですが本当に悪いのはあなたたち人族でしょう?その剣は我々魔族の宝。人のモノを取ってはいけないと親に教わらなかったのですか?」


 魔族は綺麗な手取りでこう言う。


 「初めまして、そしてさようなら。私は魔王軍四天王ライオス様の第一の下辺ケイズと言います。」


 どうやらかなり大きな玉を引いてしまったらしい。


 四天王の補佐ともなると魔族でも上位の強さを誇るだろう。


 ライトは必死に魔剣を握り締めている。


 「アリス。何か策はあるか?」


 「策?そんなものございませんわ。相手は格上です。生徒の避難が終わる時間を稼ぐだけで私たちの役割は終わりでしょう。」


 「了解した。」


 2人の身体は先程の真剣勝負で暖まっている。


 先手を切ったのはライトだ。


 魔剣グランマスターから稲光が発せられる。


 「うおおおお!!!!」


 踏み込みの速さは並のものではない。


 魔族も黙って見ているわけではない。


 「ブラックフレイム!!」


 黒い炎が間合いを詰めるライトを脅かそうとする。


 そこに。


 「ホワイトシールド!!」


 アリスの魔法が炸裂する。


 魔族の攻撃にも耐えうるそれはアリスの努力の賜物だった。


 そして、ライトの剣は確かにケイズに届く。


 「グ!!小賢しいですね。その剣でなければ痛くも痒くもないのですが。」


 そう。


 魔剣グランマスター。


 魔族に古から伝わる4つの魔剣の一つ。


 それは、ライトくらいの使い手でも魔族を脅かすには十分の代物だった。


 だが、相手は上位魔族。


 突如ケイズは黒いオーラを発する。


 それは、あまりにも禍々しかった。


 思わずライトも息を呑む。


 そして。


 「今度はこっちの番ですよ!!汝今我の求めに応じたまえ。暗黒を司る幻の剣、今顕現せよ!」


 ケイズは黒い小さな渦から一振りの剣を取り出す。


 「フフフ。これはもう一つの魔剣デスソードです。特別に私ごときにライオス様から一時的にお借りしました。これであなたたちを亡き者にします。」


 思わずアリスも身がすくむ。


 「こんな時にロイさんかレイさんがいれば...」


 いるはずもない2人の頼れる戦士に思いを馳せる。


 否。


 自分がやらなくてはならない。


 そうアリスは覚悟した。


 そしてライトにも発破をかける。


 「ライト!奴の注意を引きなさい。生じた隙に私の必殺を捻じ込むわ。」


 「ああ、やるしかないな。」


 ライトはもう一度間合いを詰め込む。


 その速さはまるで雷光のようだ。


 しかし。


 「止まって見えますよ!」

 

 すかさずケイズの横なぎが飛んでくる。


 だが。


 「ホワイトシールド!飛びなさい!」


 それはライトのジャンプ台となり、ライトは空中から縦に魔剣をぶち込む。


 「ガン!!」


 それをデスソードでケイズは受け止める。


 「今だ!」


 「ええ!白銀の猛虎よ!今我に力を貸したまえ。ホワイトサーベルタイガー!!」


 白銀の猛虎が顕現し、ケイズの脇腹に噛みつく。


 「クッ!!」


 ケイズにはしっかり効いているみたいだった。


 「鬱陶しい!!」


 ライトを死角にして、ケイズは黒い光線デスビームを放つ。


 「アリス危ない!」


 「魔力が!」


 アリスはそう訴え、もうダメかと思い目をつむる。


 キン!


 アリスにデスビームは当たることはなかった。


 そして、目を開けるとそこにいたのは。


 「アリス。待たせたな。」


 剣聖その人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ