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第二話

 これは見事な剣だ。


 いくつもの剣を鈍に変えてきた俺が言うのだから間違いない。


 まるで持ち主だった人の魂が宿っているようだ。


 そして、俺は目の前の敵に身体を向き直す。


 「やはり、アリス貴様は邪魔だな。」


 サマスは憎々しげに言う。


 あの黒い目に赤い瞳孔。

 

 間違いない。


 「サマス。お前は魔族だな。」


 「フハハハハ。察しがいいな剣聖。そこの愚鈍な娘とは訳が違うようだ。」


 「てめえ。もういっぺん抜かしてみろ。」


 ロイの表情は凄む。


 「おお、怖い怖い。だが、剣を手に取ったところで足手纏いがいることには変わりないよなあ!!」


 サマスはすぐさまアリスに魔法を放つ。


 「デスビーム!!」


 魔族の指の先端から鋭く黒い光線が放たれる。


 しかし。


 「え?」


 気づいた時にはサマスの指は全て宙に舞っていた。


 「ぎゃああああぁぁ!!!!」


 サマスは無様な悲鳴を上げる。


 「剣聖舐めんじゃねえええ!!!」


 必死に抵抗しようとするサマス。


 怯えた様子で魔法を乱射する。


 「ブラックボルト!!ブラックボルト!!」


 剣聖は呆れたように。


 「そんな子供騙しは俺には通じん。これで終わりだ。」


 そう言うと、その刹那。


 サマスの首は宙に舞った。


 ボトン。


 「こ、れが、剣聖のチカ、ラ...」


 アリスの意識は闘いを見届けてすぐに途切れた。


 すぐに治癒魔法をかけねえとな。





 アリスは目を覚ます。

 

 そこは見知らぬ天井だった。


 「あら、アリスちゃんこんばんは!!具合はどうかしら?」


 見知らぬメガネの女性がそうアリスに問いかける。


 「大丈夫です...あの剣聖ロイ様は?」


 「ああ、ロイのやつ。ちょっと買い出しを頼んだけど、その内戻ってくるわよ。今は安静にしてなさい。」


 アリスはひとまず指示に従った。


 聞きたいことは多い。


 だが、どうやら魔族の手からは一旦逃れたようでアリスは安堵した。


 「アリスちゃん。どうやら事は深刻よ。」


 ホッとしたのも束の間で、アリスは身構える。


 「大体は察しがついています。失礼ですが、あなたは?」


 「ああ、私ね。私は治癒魔導士のレイって言うの。一応ロイの姉よ。」


 通りでどこか、面影のある顔をしていると思った。


 「そうよ。大方察しはやっぱりついてるみたいだけど、魔族が復活し始めてるみたいね。」


 「ですが、わかりません。どうして私が真っ先に狙われたのでしょう?」


 「それなんだけど...」


 レイが言葉を濁す。


 そんな矢先に。


 「戻ったぞ。姉さん。」


 「ロイ。ちょうどいいわ。あんたにも話がある。こっちに来て座りなさい。」


 そして、3人で話は続く。


 「あなたは英雄タキトの血筋。それだけでも不穏分子を潰しときたいって筋も読めるんだけどやっぱり...」


 「他にも理由があるんですか?」


 アリスはまだ解せないと首を傾げる。


 「あなたはおそらく...先代王の娘よ。両親を知らないみたいだし、驚くのも無理ないわ。」


 白銀の少女の口はポカンとしていた。


 「白銀の魔女セイルスの伝承は聞いた事あるかい?」


 剣聖は少女に問う。


 「ええ、存じております。」


 「なら話は早い。君は魔族との混血の先代王とセイルスの間に賜った子だと思う。」


 ロイは静かにそう告げた。


 「私は確かに親を知りません。ですが、この白銀の髪も、魔族に狙われた理由もやっと得心が行きました。」


 レイはアリスが話を飲み込んだところで付け加える。


 「現女王はあなたにロイを護衛に付ける判断をされたわ。あなたは魔族の中でも皇族。きっと、他の継承権を持つ者に狙われたと考えているわ。」


 「だから、俺が護衛に就くことになった。これからよろしく頼むよ。アリス様。」


 助けてもらった分、罰が悪かったのかアリスはこう言った。


 「特別に...アリスと呼ぶことを許してあげるわ。後、口調もこれからは砕けた感じでいいわよ。」


 どこか、照れた様子のアリスにロイは少しキュンとした。


 アリス様可愛いとこあるんだな。


 そうロイは思ったのだった。






 とは言っても。


 自分の身は自分で守らなくてはならない。


 アリスはそう思っていた。


 そして今はレイに弟子入りを志願し、日々魔法の勉強と修行に勤しんでいる。


 月日は経ち、一年が過ぎた。


 すると、アリスは魔法学園に入学したいと言い始めた。


 すっかり、俺も親代わりとしての役目に慣れたが時々アリスの我儘に振り回されている。


 「ロイさん。確かに私は魔法学園でも肩身が狭い思いをするかもしれません。ですが、いつか一人でも生きていけるように準備したいのです。」


 そう言われると俺も弱かった。


 魔法学園に入学する年齢になり、同時に成人も迎えることになる。


 そして、俺は入学祝いに何かプレゼントをと、姉と街を散策していた。


 アリスには何が良いか。


 俺は歩きながらしばらく顎に手を置いて我儘なアリスに気に入ってもらえる物はないかと考えていた。


 姉はそんな様子を見かねて言う。


 「このブローチなんか良いんじゃない?」


 「ん?そうか?このペンダントもアリかなと思ったんだが。」


 姉は真珠が埋め込まれたブローチを推し、俺は十字架のペンダントが良いと主張する。


 「はあ。あんたそれナヤ教のシンボルみたいじゃない。国によっては良い顔はされないわよ。」


 姉の最もな指摘を受けて俺は思わず根を上げる。


 そして、プレゼントはブローチに決まった。


 




 俺たちはケーキを用意し、自宅でアリスの成人を祝う。


 「まあ!レイさん。こんな素敵な催し久しぶりですわ!」


 え?俺は?蚊帳の外?


 女性陣2人で和気藹々としてところ水を挿すわけにも行かないか。


 「まあ、ロイさんにも一応感謝申し上げますわ。」


 相変わらずツンツンしてるが、時折見せるデレも悪くないなあ。


 そして。


 「アリスちゃん。私たちから成人祝いよ。」


 俺は奥の部屋からプレゼントを持ち出し、両手を後ろに梱包された小さな箱を。


 「ジャーン。」


 「ジャーンって。ロイさんやだ古い。」


 アリスは俺のセンスを疑ってる。

 

 だが、箱を開けると表情を一変させる。


 「まあ...綺麗。」


 アリスは涙を浮かべ、俺たちに。


 「こんな素敵なプレゼント...ありがとう。」


 俺たちはアリスをこれまで父と母のように気にかけてきた。


 それが報われたようでどこか俺も涙腺が崩壊していた。


 「アリス(アリスちゃん)おめでとう。」


 俺とレイの声は不思議と重なったのだった。

 





 そして、更に月日は経ち、魔法学園に入学する日がやってきた。


 「見てあの子氷の微笑でしょ?」


 「よりによってこの学園を選ぶなんて...」


 周囲の声は冷たい。

 

 だが、アリスの心は満たされていた。


 ロイとレイの暖かさに触れたことによって。


 その首にはあのブローチが下がっていた。


 早速入学早々筆記テストだ。


 さらに実技試験もその後控えていて、両方の結果でクラスが実力を鑑み振り分けられるらしい。


 アリスはレイのもと必死に魔法の修行と勉強をしてきた。


 そのアリスの実力が今測られるのだった。


 結果。


 筆記テストはまずまずの手応え。


 さすが近辺で最難関の魔法学園タナスト校。


 かなり準備してきたが、結構の難易度だっただろう。


 そして、いよいよ実技試験はくじ引きで当たった者同士の一騎打ち。


 相手は。


 「あなた、もしかして、ライト?」


 「君はまさかアリスかい?」


 そこでアリスは幼馴染のライトに出会ったのだった。


 今ここでアリスの実力が明らかになろうとしていた。

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