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11話 従属を誓う永遠の約束


武器を決めてからは早かった、ダガーを複数本使って戦闘をこなすようになった私は人並外れた身体能力を得ることになる。ミナの作った物語の中には戦闘や魔物の概念もあってそれは当然この世界で存在している当たり前の事だった。でもそれはミナの世界では違っていてそういった世界には必ずレベルや魔力だったりHPや防御力などのパラメーターがあった。あの女の世界ではゲームと呼ぶものでレベル上げなどのシステムがあったのだけれど、もちろんそれが適応されると思って戦っていたわけではなかった。けれどいつの間にかどんどんと強くなっていく内に思った。もしかしてこれ、この世界にもレベルっていう概念があるのかもしれない、と。


そうして戦闘が楽になっていくにつれて難易度をどんどんあげていったら、いつの間にか人並外れた身体能力を得てしまった。それなりの高さの壁なら越えられてしまうし、憧れていた空中で回転するなんて芸当も今では楽にできてしまう。そんなある日ティリーがレイラを見付けてくれて戻ってきた。案内されるままに会いに行くと私の予想が当たってしまっていて、なんだかとても胸が苦しくなった。


「レイラちゃんは私のことをすぐに分かってくれたわ、このお家の中でノアちゃんを待ってるの」

「レイラ……本当に苦労をさせてしまったのね」


ティリーに案内されたその家は町から離れた小さな家だった。私自身人よりも苦労している自覚はあるけれど、比べ物にならないくらいの苦労を与えた事が安易に想像できた。だってレイラのマナは私が居なければ意味が無い、きっとそのせいで解雇されたのね。扉をノックするとそこには見知った顔のまま大きくなった女性が立っていた。私の顔を見るなり泣き出す彼女はボロボロでこちらまで悲しくなってしまう。


「エレノア様……なんですね、分かります。私の体の内で燻っているマナがはっきりと、エレノア様だと言っています……!」

「本当にレイラなのね……、私はもうエレノアではないけれど。それでももう一度仕えてくれるかしら、私の目的のために貴女の力を発揮して欲しいの」

「もちろんです。……例え貴女様の進む道が悪の道でも、私は一生を捧げていたのですから」


跪いて私への忠誠を誓ってくれる彼女は昔のままの綺麗な女性だった。どうしてこんな所にいるのか、どうしてエレノアの従者を辞めることになってしまったのか。その答えを聞かせてもらうことにした。


「なんでこんなことも出来ないの」


頭の中に反響しているエレノア様の言葉で手が震えた。ある日ある時から急激に身体の制御が効かなくなった事に気が付いた。今まで出来ていた仕事が全然捗らなくて倍の時間が掛かるようになった。エレノア様に忠誠を誓ってお屋敷に来た時に確かにマナが発動してしっかりと業務をこなしていたのに。何かがおかしい。大体、エレノア様はあんなことを言わない。私の主人であるエレノア様はどこに行ってしまったのか。


奥様に何かがおかしいと伝えても笑うばかりで信じてはもらえなかった。旦那様に異変を伝えても放っておけと言うばかりだった。日に日に落ちる効率に苛立つエレノア様が私に暇を与えたのはいつだったか。私のマナが忠誠を誓った方に反発するはずがない、だからあなたはエレノア様じゃないのでしょう。そう問いかけただけなのに激しく激昂したあの人が私に手を上げて屋敷を追い出した。痛む頬よりも私が気になったのはエレノア様の行方でした、本当のエレノア様はどこに行ってしまったのか私が知りたかったのはそれだけなのに。


「私は……どうしてもエレノア様の行方が知りたかった」

「本当にごめんなさい……私も私に起きたことを話すわ」


私もずっとミナの行動を見ていた訳ではなかったからそんな瞬間があったことは知らなかった。今までの事をレイラに伝えて何度も謝って、私の大切な従者にまでこんな思いをさせてくれたあの女にはうんと痛い目を見てもらわないと気が済まないわ。


レイラのマナは従属を誓う永遠の約束と言うかなり重たいもの。その名前の通り永遠にあなたに従いますという誓いを立てることで効力を発揮する。主人のために身体能力が上がったり、行動を起こすことに何かしらの恩恵を受けられるもの。だから中身が入れ替わってあの女になった事でその力を発揮する事が出来なくなったのね。レイラを連れて帰りたかったけれど、私は変わらず教会でお世話になっている。強くなった事もあってお金を稼ぐことは出来ているし、ミレナとも教会で会った時に情報共有が出来るから重宝していたけれどレイラも一緒にとなると手狭かもしれない。


「でしたら、こちらの家を解体してここに家を建てましょう」


そう言ったのはレイラだった。何を言っているのかと驚いたけれど至って大真面目な様子。家を建てるのも解体するのもかなりの時間を要すると思うし技術者を探すのだって大変、そう考えていたけれど任せてほしいと強く希望するからその点に関しては一任する事にした。もちろん使えるお金を十分に渡して。


「これだけの資金が頂けるのなら1週間もあれば十分です。ノア様と再会しマナを取り戻した私に出来ないことはありません」

「本当に無理だけはしないでちょうだいね」

「もちろんです」


そうしてその場を託した1週間後には小さなお家と閑散としていたこの土地はなくなっていて、大豪邸という訳では無いけれどしっかりとしたお屋敷らしい建物が建っていた。ティリーとふたりでこれは本当に夢ではないのかしらと確かめ合ったほどには余りにも現実離れしていた出来事だった。いくらレイラのマナが従者として完璧なものでもこれは本当にどういう事なのかしら……。


「レイラあなたこれどうやって……」

「企業秘密とさせて頂きます」


絶対的に秘密にされたお屋敷の作成については何も分からなかったけれど内装だけは間に合わなかったとの事で一緒に進めていくことにした。この間渡したお金だけじゃやっぱり足りなかったのね。いえここまで立派な家を建ててしまった事自体が本当にすごい事なのだけれど。


また1週間ほどかけて内装を決めていく、そこからはどんどん足りないものを足していったり直したりして最終的には1ヶ月くらいかかったのかしら。この頃にはもうお屋敷として機能していたので、神父様にお礼を伝えて教会を出てからはたまに寄付をして今までの恩を返している。ギルドではもう顔も知れて私の事をエレノアだと訝しむ人も居なければ、緊急で頼みたいクエストを受付の方が持ってきてくださったり。不安のある討伐の依頼は大体私に持ってきてくれるようになった。たまにシャルとも顔を合わせるからその度話していてたまに一緒に依頼を受けたりなんかもした、と言っても私の依頼にシャルが着いてくる形だけど。彼も小さな短剣のようなものを扱っていてとても身軽だったのを覚えている。


城下町ではもうノアといえば強くて美しく心の優しい女性として知れ渡ったわ。ミレナから聞いている話だと、あの女は相変わらずユウリ様にまとわりついてくるらしい。最近では王子様も辟易としてしまってルイから向けられる敵意にも悩んでいるとのこと。ミレナにも相変わらず汚い言葉を使ってくるらしいけれど、慣れてしまったのかケロッとしていたから驚いてしまった。ミレナは本当に強くて最強のヒロインかもしれないわね。


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