8 エピローグ
翌日、京香に会わない様早めに家を出た。
「おい、大丈夫だったのか?何度か連絡入れたのに、返信ねぇから心配したぜ?」
「あぁ、ごめん。家帰ってすぐ寝ちまったから。」
「まぁいいけどよ。うまくいったか?」
「…京香とは別れた。細かいことは今は勘弁してくれ。」
「え?!そ、そうなのか…。残念だったな、俺も応援してたんだが…。」
「いや、悪かったな。」
「それはいいが、大丈夫か?」
「大丈夫だ、俺が決めたことだから。」
「…そっか、お前がそう決めたんならそれでいい。」
「ありがとう。」
気を使わせてしまった。ただ俺はそう落ち込んではいない。胸にポッカリと穴が開いたような喪失感はあるが。
それから半年ほど京香の待ち伏せにあったりしたが、俺に脈がないと諦めたのか、それからは京香との接点は無くなった。
また、相談に乗ってくれた俺の友人が友達を使って生徒会長の噂を広く流したようで、生徒会長は女生徒の人気も全くなくなり、寂しく卒業していった。
3年生の夏頃、京香が仲の良かった男友達の一人と付き合い始めたと聞いた。
「明、京香ちゃんの話聞いてる?」
夕食を摂っていると母さんが話しかけてきた。
「何が?」
「京香ちゃん、妊娠したんだって。ご両親が頭を抱えていたわ。」
話を聞くと、俺と付き合っていた頃の反動なのか、親への反抗期なのかはわからないが、タガが外れてしまったらしい。
「それでね?京香ちゃんは高校をやめるって。相手の子が卒業してから結婚するって。それでご両親の会社で面倒見るって言ってたわ。」
「そう。大変だね。」
そんなことにならないように、俺と付き合うときに約束させたはずなのにな…。
…2年後。
今俺は大学2年生だ。努力の甲斐あって一流と呼ばれる大学に入ることが出来た。
彼女も出来た。高校時代の失敗を糧に、付き合う前にどんな価値観をもった子なのか、相手には俺がどういう風に付き合って行きたいかをしっかり話し合った。
「私も相手を思いやるってすごく大事だと思うよ。男の人と付き合った事は無かったけど、出来ればちゃんと付き合いたいし。
前の彼女さんの事はこの間聞いたけど、まぁ人によってはそんなことで別れるの?って意見もあるだろうけど、私は明の気持ちもわかるよ?
明の事を第一に考えた行動をとってたら、多分明も別れてなかったよね?そういう事だと思う。」
「俺は器が小さいのかなって悩んだりしてたんだけど。」
「それを判断するのは2人の関係性がどうかによるよ。何でも許すことが器の大きさになるワケじゃないと思うよ。」
「ありがとう。気が楽になった。」
「どういたしまして。それより私との関係は満足してる?明とはちゃんと話し合っていこうって思ってるんだけど?」
「そうだね。概ね満足してる。」
「概ね?」
「もっと先に進みたいかなって。」
「えっ?…エッチなことはちょっと恥ずかしいんだけど…。」
そう言いながらも今日めでたく卒業出来ました。
本当にありがとうございました!
最後までお読み頂きありがとうございました。