2 不安
「おはよう、京香。」
「明、おはよ!」
いつも俺たちはお互いの家の前で待ち合わせて一緒に登校している。
「最近生徒会忙しいみたいだな。俺の塾がない日に一緒に帰れないのはちょっと寂しいな。」
「ごめんね?文化祭が近いでしょ?事前に準備しなきゃいけないことが結構あるんだよ。」
「そうかぁ、まぁそうだよなぁ。でもやっぱ寂しい。」
「ふふっ。私だって寂しいよ?でも我慢でしょ?」
「なぁ、やっぱりキスぐらいはダメかな?付き合ってる実感というかさ、そういうの欲しいんだけど。」
「ダメだよ!バレたら本当にヤバいよ?ウチの両親約束とか凄く厳しいし!別れたくないでしょ?」
「バレないようにすればいいんじゃない?」
「いくら気を付けててもバレるときはバレるよ?私は絶対に明と別れたくないもん!」
そう言われるとなぁ…。
「わかったよ。我慢するよ。そのかわり手ぇ繋いで登校しよう!」
「しょうがないなぁ。良いよ、はい!」
まぁこれだけでも幸せだからいいか。
「今日は俺塾ないけど一緒に帰るのやっぱり無理そう?」
「んー、多分遅くなると思うよ。放課後になったら連絡するよ!」
「わかった。早めに終わりそうなら待ってるよ。」
「了解。あ!今日お昼なんだけど、生徒会室で打ち合わせしながら食べることになったから一緒には食べられないの。ごめんね?」
「昼も生徒会なのか?」
「うん、キッチリ詰めてかないと終わらなくなっちゃうから。」
「そうか…。わかったよ。無理すんなよ?」
「ありがと!じゃあね!」
そう言って俺たちはそれぞれの教室に向かう。
「いつもお熱いですなぁ!毎朝毎朝見せつけやがって!」
教室に入ると友人が冷やかしてくる。毎日手を繋いで一緒に登校してるので、ほぼ皆が俺たちの関係を知っている。
「まぁな、俺たちは相性がいいんだよ!」
「クソが!まぁでも確かにお似合いカップルだよな。やっぱり生徒会長の出る幕はねぇな。」
ん?生徒会長がなんだって?
「生徒会長が出る幕がないってどういうことだ?」
「いや、なんか生徒会長が須藤さんの事好きでアプローチしてるって噂を聞いたんだよ。」
「は?初耳なんだけど?」
「そりゃ本人達には言わんだろ。俺はお前らの事応援してるから伝えようかと思ったけど。」
そんな噂があるのか。京香大丈夫かな?信じてはいるがちょっと不安だ。
生徒会長、真鍋弘樹。3年生で成績優秀、女子にも人気がある。そんな奴が京香にちょっかいを?許せん!
今日は京香の事待っとくかな…。
放課後になり、京香から連絡が入った。
『ごめんね!やっぱり大分遅くなりそうだから先に帰っといて!夜電話するよ!』
『わかった』