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under 500 Ⅱ

見守り扇風機

ひとりになった。


昨日の夜に。


今年、初めての熱帯夜だった。


フラれてから、水分はかなり蒸発した。


涙も、かなり出た。


でも、ほとんどは汗だった。




ボワンボワン言ってる。


僕と同じ年齢と思われる、古びた扇風機が。


部屋の上を見ても、何もない。


横長の白い長方形は、どこにも無い。


生まれてから今まで、クーラーを浴びたのは、車内くらいだ。




今日も暑い。


温度計は、30度を示していた。


鼻をつく、湿気のニオイ。



彼女にフラれて、気付いた。


誰も、僕を見ていないと。



彼女は、断れない性格。


そう、彼女の友達に聞いたことがある。


こういう運命なんだ。


僕は、こういうのがお似合いだ。


今、感じているのは、扇風機の生ぬるい風だけだ。




ん?




少しの違和感を感じた。


確か、寝る前は扇風機を首振りにしたはず。


そのまま寝てしまい、起きてそのままだから、首が止まっているのはおかしい。


誰も見ていないと思っていたが、同い年くらいの扇風機は、見てくれていた。


そういうことか。




カチッという音と共に、扇風機は左に首を動かし始めた。


ただの、不具合か。


そうだよな、そうだよな。


それでも、なんか嬉しい気持ちになった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 日常の中の小さな救いにどうしようもなく元気付けられることってありますよね。物事は何でも自分の気の持ちようなのかも知れないと思いました。 同い年の扇風機、というワーディングが優しくて、とても好…
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