見守り扇風機
掲載日:2022/06/20
ひとりになった。
昨日の夜に。
今年、初めての熱帯夜だった。
フラれてから、水分はかなり蒸発した。
涙も、かなり出た。
でも、ほとんどは汗だった。
ボワンボワン言ってる。
僕と同じ年齢と思われる、古びた扇風機が。
部屋の上を見ても、何もない。
横長の白い長方形は、どこにも無い。
生まれてから今まで、クーラーを浴びたのは、車内くらいだ。
今日も暑い。
温度計は、30度を示していた。
鼻をつく、湿気のニオイ。
彼女にフラれて、気付いた。
誰も、僕を見ていないと。
彼女は、断れない性格。
そう、彼女の友達に聞いたことがある。
こういう運命なんだ。
僕は、こういうのがお似合いだ。
今、感じているのは、扇風機の生ぬるい風だけだ。
ん?
少しの違和感を感じた。
確か、寝る前は扇風機を首振りにしたはず。
そのまま寝てしまい、起きてそのままだから、首が止まっているのはおかしい。
誰も見ていないと思っていたが、同い年くらいの扇風機は、見てくれていた。
そういうことか。
カチッという音と共に、扇風機は左に首を動かし始めた。
ただの、不具合か。
そうだよな、そうだよな。
それでも、なんか嬉しい気持ちになった。




