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聖水はやっぱりすごい

本日2回目の投稿となります。

やっと落ち着いたところで、フランクさんの置いて行った長細い箱を開けた。

箱の中身は小さな濃いブルーのサファイアのペンダントトップのついたシンプルなネックレスだった。

飾り気のないデザインがフランクさんらしい。



その時、ドミニクが

「シア、疲れてない?」

と入ってきた。


私がネックレスの箱を持っていたので

「一旦片付けるね」

と受け取ってドミニクはびっくりした顔をした。


「これパッと見た感じ単なるネックレスだけどかなり高価な魔道具だよ。

博物館級だね。チェーンも含めて一つの魔道具だよ。

どんな事からも守ってくる強い守護魔法が付与されているね。

こんなの見たことないよ。多分、遺跡から出土したか、または代々受け継がれたか…。

ユールサイト子爵領の事を考えると、多分、出土したんだろうね。

シアの婚約者になる皇太子には悪いけど、これはずっとつけておいた方がいい。

ユールサイト第一小隊長はシアの事を本当に心配したんだね」

と言った。


「フランクさんは、グレイグ国で私を保護した人だもの。

人身売買で売り飛ばされそうになったんじゃないか?とか本当に心配してくれたのよ。

このネックレス、そんな高価なものならお返ししたほうがいいのかしら?」

とドミニクに相談すると、


「2回も迷子になった平民を案じて贈るものではないけど、でも返却するのは失礼に当たるね。

シアも何かプレゼントをお返ししたら?

そうだね。

元気になったら守護魔法を付与したハンカチを作ったら?」


と私の気持ちを知らないドミニクに提案され、

「リーナ、シアにこのネックレスをつけてあげて。」

とドミニクはリーナに指示を出して、リーナはネックレスを着けてくれた。


…ネックレスを常につけているって、フランクさんの事忘れられなくなるじゃない…


戸惑う私を見て

「この国の魔道具は凄いな。そのブレスレットといい、ネックレスといい」

と、ドミニクは関心している。


「ブレスレットは借り物よ」

と言うと


「そうかもしれないけど、こんなにすごい魔道具はもうウィルコクス国では遺跡からほとんど出ないよ。

今、出土したら国宝だね。

でも、この国ではもしかしたら珍しくないのかもしれないよ。

遺跡発掘をしている地域が沢山あるらしいからね。

まあ何も考えず、ゆっくり休むといい」

とドミニクは言って部屋を出て行った。


私は1人になるとペンダントを触った。

フランクさんの事忘れられるかしら…。

それに私がここに居れるのはいつまでなのかな?

もしかしたらみんなと会うのはこれが最後かもしれない…。

 


目覚めてから1週間が経った頃。


「ごめん、シア。3日後にグレイグ国騎士団の入らずの森の防衛の祝賀会が開かれるんだった!

すっかり忘れていたよ。

しかもこんなに魔道具を使った魔力切れからの回復が遅いとは知らなかったから。シアが目覚めてすぐ、診察前に安易に出席の返事を出してしまったんだ。

本当にすまない」


とドミニクが謝ってきた。


どうする?体は痩せてガリガリだし、体力もまだまだだし。

多分、これが『シア』として人前に出る最後かも知れない。


…どうにかして出席したい。シアとしてフランクさんに逢いたい。


そういえば!

アイテムボックスに聖水の入ったタンブラーが入っているのを思い出した!


私はアイテムボックスからタンブラーを出した。

そして、あの時の水を、グラスに注いだ。


何か変化が起きるかもしれない!

マリーナ第二王子妃の魔力切れだって、多分この聖水のおかげで回復したんだもの。



キラキラ輝く水は、グラスに注ぐと、宝石のように光り輝いた。


光り輝く水を一口飲んでみた。


すごい勢いで体力が戻る!


二口目。

痩せた身体が元に戻って行った。

そして、艶なくカサカサだった髪が艶々になった!



グラス一杯の聖水で、体力、魔力、筋力も元通りになった。


目覚めたらまず聖水を飲めば良かったんだ。

聖水ってすごい!知らなかった!


「リーナ、クロエ!お願いがあるの!」

クロエとリーナに急遽、ドレスを作ってもらえるようにお願いした。



いよいよ、パーティーの当日。


私はクロエに火祭りをイメージしたドレスを作ってもらった。

ドミニクさんからもらった守護ネックレスはシンプルなデザインなのでそのままつけたままだ。



声が出るようになった私はうっかり話さないように、特別に『声が出なくなるポーション』をドミニクに作ってもらった。


「このポーションが効くのは2時間だけだからね!

強いポーションだから1日に一本しか飲めないから気をつけて!」

と、馬車に乗る前にドミニクにポーションを渡されてた。


「ありがとう、ドミニク!」

と、ドミニクに抱きつくと


「このお礼は高くつくよ?

さあさあ、シアは今、婚約者がいるんだから兄妹のように気軽に抱きつかない!

じゃあ楽しんでおいで」

とドミニクに見送られて馬車は会場へと向かった。

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