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気が付きたくなかった事

本日2回目の投稿となります。

それから部屋中を埋め尽くす花を見て、


「シア、みんなから沢山の花とメッセージだよ。ほら、ベッド脇の机にはメッセージカードが沢山置いてある。

直接、メッセージを言いたい人を部屋に入れていいかい?」


「ええ、いいわ。」

と返事をすると、ドミニク自らドアを開けに行った。


入ってきたのは執事のダントだった。

「シンシアお嬢様!お体は大丈夫ですか?

何かご要望はありますか?」

と涙ぐんでいた。


「ダント、元気だった?また貴方に側にいて欲しいわ」

と言うと


「もちろんでございます」

とダントは答えた。


それから、ドアから現れたのは、お父様とお母様とお兄様とお姉様だった。

みんなゆっくり部屋に入ってきた。

皆、泣きそうな顔をしている。


始めに口を開いたのはお母様だった。


「シアちゃん、今までごめんなさい。私達、みんなあなたに甘えていたのね。

シアちゃんがいなくなって初めて気付いたの。

シアちゃんは、節約のために、私のドレスをリメイクして公務をこなして。

合間に領地の資金繰りを考えたり、公共事業をしたり。

私達が何も考えずに散財して、やりたい事しかしない生活を送れたのは、シアちゃんの我慢の上に成り立っていたのね。

私が公務を放棄したのは、この太った体型やたるんだ顔を揶揄されて恥ずかしかったの。それで人前に出るのが嫌になってしまって。

その後の事は何も考えず長年、引きこもっていて…。

本当にごめんなさい」


たしかにお母様は若い頃、ウィルコクス国の真珠と言われたくらい美人だった。

そんな自分と今の自分を比較したのかしら。


「シア、私は急に領地から出て来なくなった妻が心配で子供達に気を配らなくなったばかりか、領地経営も放棄していた。

本当にすまなかった」

とお父様が謝ってくれた。


「シア、お前は私より年下なのに何をやらせても簡単に完璧にこなす。そんなシアに嫉妬して勝手に拗ねていたんだ。

しかも私達に節約を求めるくせに毎日違うドレスで出かけて行くお前を、自分ばっかり散財していると思って困らせたくて私は全てを放棄していた。

今ならそれが間違いだとわかっている。本当にごめん」

お兄様も謝ってくれた。


「シア、貴方は小さい頃から天使のように可愛かったわ。

お母様に似たストロベリーブロンドに、お父様に似た淡いブルーの瞳。それに比べて私は、お父様譲りの灰色の剛毛と、お祖母様譲りの濁ったグリーンの瞳。そして、顔はお祖父様譲りで、エラが貼っていて…。

貴方は可愛らしい上に頭もよくて、貴方を見ていると本当に自分の欠点ばかりが目について。

しかも外に出ると、年下である貴方と比べられる事が多くて…引きこもりになっていたの。

でもそれは私が努力もせずにただ拗ねてただけだってやっとわかったの。

外見だって、貴方を羨んでばかりで自分を磨く努力をしなかったわ。

今は、みんなで公務を分担しているのだけど、人前に出るために頑張って自分を磨く努力をしているわ。

今までごめんなさい。

まだ素直にはなれないけど少しずつ頑張るわ」

と姉様から言われた!。


確かに、姉様は私の知っている姉様より綺麗になった!


「シア。みんなの気持ちを聞いてどう?

私は、ここまでシアを追い詰めたベルーガ家を許す気持ちはまだ少ししか無いけど…シアにとっては家族だからね」

とドミニクが言った。


「もういいの。終わった事だもの。

我が家が公爵家である事を皆が思い出してくれたならそれでいいわ」

と私が言うと、ドミニクはちょっと納得できない顔をしていたけど、


「わかったよ。シアがそれでいいなら」

と言った。



それからしばらく皆で他愛のない話をした後、

お父様が

「安心したよ。実は今、私達はそれぞれ公務として外遊の途中だったんだ。

だから、名残惜しいけど、元々の外遊予定だった国に行くよ。

シンシア、しばらく療養しなさい」

と言って、部屋から出て行った。

皆バラバラの国に向かったようだ。


私が倒れたと聞いて、心配で急いでこの国に来たそうで、毎日、眠ったままの私に話しかけてくれていたそうだ。

公務も溜まっているから仕方ないね、とドミニクは言っていた。



皆が出て行った後、


「シア、目覚めたばかりのシアに話すことではないのかもしれないけど…国王陛下からご連絡がある。」


と、ドミニクから手紙を渡された…。 


私は手紙を、ゆっくり読んだ。


内容は、今回のツユミム帝国軍との戦闘に対する労いの言葉と、私が眠っている間に私とグレイグ国皇太子殿下との縁談がまとまったという内容だった。


国王陛下としては、私の従魔がユニコーンだろうと予想し、色々と考えたが、国益を最優先に考えた結果であろう事は手紙からも伝わってきた。



…知らないうちに、会ったことのない皇太子殿下との縁談がまとまってしまった。


シンシア・ベルーガとして、美術館のパーティーに参加したけど、会ったのは第二王子夫妻だった。

皇太子殿下には会ったことないけど、マリーナちゃんと姉妹になれるならいいのかしら?

でもマリーナちゃんはシンシアと、シアが同一人物であると言う事は知らない。



今まで現実的では無かった、『どこかに嫁ぐ』という事が目の前に差し迫った。


頭の中で色々と考えた時、いつの間にかフランクさんと過ごしたユールサイト子爵領での事を考えていた。



…今はじめて自分の気持ちに気づいた。


私の立場上、フランクさんを好きになってはいけなかったのに…目が覚めてからずっとフランクさんの事を考えている。


この気持ちに気づきたくなかった…。


でも、政略結婚をしないといけない身として、恋を知れたのは良かったのかも知れない。

誰かを好きになれて良かったのかも知れない…。

この気持ちを封印して嫁がなきゃ。



もしも、皇太子妃になったら、何かの度に警護をするフランクさんを目にするのかしら?

平常心でいられるかしら?



この日は目覚めたばかりで色々考えて、疲れてしまいすぐに寝てしまった。


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