シンシアに戻る
次の日、またドミニクから招待状が届いた。
それは、数日後に開催されるウィルコクス国から、グレイグ国の国立美術館に寄贈される彫刻の贈呈式の式典とパーティーの案内だ。
式典当日は、前回行ったメゾンに呼ばれた。
前回と同じ控室に通されると、そこにいたのは私の専属メイドのリーナと、クロエだった!
「シンシアお嬢様!お久しぶりです。お元気そうで何よりです」
リーナとクロエは嬉しそうに泣いていた。
私も嬉しくて涙が込み上げてきた。
「シンシアお嬢様。
お話したい事は沢山あるのですが、今日はシンシアお嬢様として式典に参加して欲しいというドミニク様からのご意向を聞いています。
今、シンシア様は声が出ないという事なので私が侍女として付き添います。」
とリーナが言った。
リーナとクロエの実家は男爵家なので、貴族籍はある。だから一緒に式典に参加する事はなんの問題もない。
リーナとクロエは早速準備に取り掛かっていた。
リーナはいつもヘアメイクを担当してくれている。
まず、髪色をストロベリーブロンドに戻して、胸まで届く付け毛を魔法で付け足していく。
アップスタイルにすると、輪郭からシアだとバレる可能性があるから、髪はあえて下ろしたままにしておく。
それからシンシア・ベルーガのトレードマークである濃いアイメイクと、マスカラをつけてメイクを仕上げていった。
リーナはメイクをしながら私がいなくなってからのことを少しだけ教えてくれた。
「シンシア様が出て行ってから私達は、セレクトショップ『ブラクストン』のオーナー夫婦に一旦帰っていただいて、シンシア様を探しに行こうとしました。」
確かにあの時、ドレスの買い付けと重なっていたわね。
「でも先に探しに行った執事のダントさんが戻ってきて、シンシア様を見失ったと言ったので、私達は国王陛下の所に行ってシンシア様が居なくなったと伝えました。
そうしたら、国王陛下はお怒りでシンシア様の薬入れにしているネックレスについていた魔法石の位置情報を探らせましたけどシンシア様は見つからなくて!」
いつものマントはウィルコクス国では一般的すぎて、街中に入ると確かに見つけられないかも。
「グレイグ国にいることを突き止めたのはドミニク様です。ドミニク様が広範囲の位置情報の捜索をさせたのです。
シンシア様は知らなかったかもしれませんが、ベルーガ家の奥様とお子様は王位継承権があるのでそれぞれの専属メイドは国王陛下から派遣されて来ているんです。だから私は雇い主である国王陛下の所に行ったのですよ。」
知らなかった!
国王陛下からリーナが派遣されていることも、ドミニクが一生懸命探してくれた事も。
「シンシア様が居なくなってから、私達は王城におりましたのでベルーガ家では何が起きているかわかりませんが、ダントさんの話によると…まあ色々あったみたいです。
詳しいことは私の口からは言えませんが…。
本当にシンシア様がご無事で良かったです」
と嬉しそうに支度をしてくれた。
ヘアメイクが終わるとコルセットを絞めて、クロエの新作のドレスを着た。
新作のドレスはハイネックになっている上に長袖で全体の肌の露出を抑えてある。
デコルテや腕の部分は薄いチュール素材で、そこに銀糸で刺繍が施されている。
手首につけている魔道具を隠すために手首の辺りのデザインが凝っているのでブレスレットが見えない。
やっぱりクロエのドレスはどんなドレスよりも素敵!




